数ある小説の中から、本と音楽が出会うマッチングサイト「Book Ground Music」より投稿された、[Alexandros]の曲が合う小説を一覧で紹介させていただきます。(現在のバンド名の表記はすべて大文字ですが、こちらでは頭文字だけ大文字表記で統一させていただきます。)
かつては[Champagne]という名前でしたが、武道館で改名後、大きく飛躍したドロス。多種多様な彼らの活躍に相応しく、Droshky!やDon’t Fuck With Yoohei Kawakami、spit!に代表される毒の効いた音楽から、Starrrrrrr、City、ムーンソングなどのしっとり歌い上げるバラードまで、曲のバリエーションは豊富ですね。
曲に合う小説も5冊用意しましたので、併せて読んでいただけると嬉しいです。
まずは、初心者の方にもおすすめの定番5曲をはりきってどうぞ。(毒はないので安心してください)。
※戸田よぺ子氏とVo.川上さんは同一人物です。
Oblivion
大人になり少年は 鐘の音を聞いた
(作詞:川上洋平)
この楽曲は物語形式で歌われます。一言でいうなら、王である父親から指輪を譲り受けた少年が大人になり、決意を抱いて未来へ突き進むという内容です。
もともとはLITHIUM HOMME(リチウム・オム)というブランド服のPR曲として書き下ろされた楽曲で、そのためRun Awayとの両A面シングルでは、様々な服装に身を包んだメンバーの姿を伺うことができます。
ちょうど改名直前に発売されたシングルなので、その点でも特筆するべき一曲ではないのでしょうか。ライブでは楽曲後半、ベースの磯部さんがコーラスを行うことでも有名です。
Oblivion×遠田潤子『オブリヴィオン』
タイトルが同じ「Oblivion(忘却)」であったことと、最終的に成長した主人公が、未来に向かって歩き出すというイメージがぴったりだと思い、選曲しました。一方は残酷で深い闇から光を見出し、もう一方は今までの人生を振り返る点も似ています。
遠田潤子『オブリヴィオン』のあらすじ
森二が刑務所を出た日、塀の外で二人の「兄」が待っていたー。自らの犯した深い罪ゆえに、自分を責め、他者を拒み、頑なに孤独でいようとする森二。うらぶれたアパートの隣室には、バンドネオンの息苦しく哀しげな旋律を奏でる美少女・沙羅がすんでいた。森二の部屋を突然訪れた『娘』冬香の言葉が突き刺さるー。森二の「奇跡」と「罪」が事件を、憎しみを、欲望を呼び寄せ、人々と森二を結び、縛りつける。更に暴走する憎悪と欲望が、冬香と沙羅を巻き込む!森二は苦しみを越えて「奇跡」を起こせるのか!?
(BOOKデータベースより引用)
Thunder
ほんの少しの間 君の世界に居たかったのです
通り雨だった 遠くで光った
(作詞:川上洋平)
当たり障りない毎日を過ごしている、主人公の「僕」が唯一心残りにしているのは、雷鳴が轟くときに飛び込んでいった、「あの世界」のことです。
もう二度と辿りつけない世界に、僕はもう一度行きたいと強く望んでいます。しかし、「この世界」に身を置く彼には、行く手立てがありません。
なぜこうも行きたがるのか。その世界に、「君」がいるからなんですね。
君がいる世界に会いに行こうとしても、どうしても行けない。明け方になったら目覚めてしまう。フィラップ(造語)という特殊な歌い方で歌われる、切ない一曲となっています。最後の一フレーズが美しいので、ぜひ一度聞いてみてください。
Thunder×田丸久深『僕は奇跡しか起こせない』
thunderが雷の中、打ちつける白い雨とハイトーンのフィラップが印象的な楽曲であるのと、雨の日しか現れることができない幽霊の物語ということで、現実味はさておき、彼岸と此岸を行き来するという点で印象に残ったので選びました。
田丸久深『僕は奇跡しか起こせない』のあらすじ
十歳で突然死んだ幼なじみの真広は、養護教諭になった二十五歳の紗絵の前にいまも姿を現す。人々に幸福をもたらす「キセキ」として。世の中の奇跡のほとんどは、じつは彼ら「キセキ」たちがこっそり手助けすることによって起こっているという。真広はなぜ「キセキ」になったのか。そして、彼が最後に起こす奇跡とは…?第10回日本ラブストーリー&エンターテインメント大賞・最優秀賞受賞作。
(BOOKデータベースより引用)
Starrrrrrr
光る誰か見て私は泣いた 己と見比べ ただただ泣いた
(作詞:川上洋平)
GEROLSTEINER(ゲロルシュタイナー)という硬水炭酸水と音楽を掛け合わせたコラボ曲「feat. GEROCK企画」に提供した楽曲です。(ドロスの他にも、BIGMAMA、MAN WITH A MISSIONなども提供しています)彼らの飛躍に一役買った曲と言っても過言ではないでしょう。
炭酸の爽快感と、自分自身を見つめ直す「私」の視点がうまく重なり合い、PVを含めてロック史に残る大傑作となっています。
Starrrrrrr×川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』
自分に自信が持てない女性が、新しい視点を与えてくれる男性と出会うことで、自分を見つめ直すという点と、名字繋がりという点で選曲しました。真夜中の世界の描写が繊細で、いつまでも眺めていたくなるほど丁寧なので、入門書としても楽しめると思います。
川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』のあらすじ
「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであったー。究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。
(BOOKデータベースより引用)
ハナウタ
光の中に恋をしてる 孤独はきっとそういうもの
いつか孤独のまま 愛を許すこと きみのさみしさを ぼくは愛せるか(作詞:最果タヒ)
ハナウタは後述の通り、詩人最果タヒさんとのコラボ曲です。彼女の詩や小説には、欲望と一体化したグロテスクなほどの生々しい愛情が、むきだしで描かれています。肉の自分をありのまま受け止めたうえで、出来そこないの自分であることを愛するようなまなざしが、そこにはあります。
ハナウタ×最果タヒ『死んでしまう系のぼくらに』
ハナウタが最果タヒさんとのコラボ曲だったので、本も最果さんの作品にしようというのがきっかけでした。「星か獣になる季節」や「グッドモーニング」など、ほかの候補もありましたが、曲の雰囲気とかみ合わなかったので今回は外しました。最果さんの独特な世界観と、マッチしているのではないでしょうか。
最果タヒ『死んでしまう系のぼくらに』のあらすじ
望遠鏡の詩/夢やうつつ/きみはかわいい/図書館の詩/ライブハウスの詩/ぼくの装置/絆未満の関係性について/まくらの詩/線香の詩/恋文〔ほか〕
(BOOKデータベースより引用)
Kids
君がどうか輝く様に
俺達は輝くために 俺達は高く飛ぶために
自分の能力や可能性を信じてあるがままに生きるべきなんだ(和訳)(作詞:川上洋平)
この楽曲は、ギリシャの観光地やスペインの言葉など、異国の風味が漂う作品となっています。※ここで歌われるスペイン語で「明日は明日の風が吹く」ということわざは、厳密にはハスタマニャーナではなく、アスタ・マニャーナ(Hasta manana)です。
思春期は複雑であるがゆえに、さまざまな迷いや戸惑いを抱え、深い自責の念や思い込みに囚われやすい時代です。お互いを傷つけ合ったり、支えを失ったりして、気持ち的にもふさぎ込みがちになるでしょう。
壁にぶつかり、擦り切れた自分と対面して、はじめて自分の能力を信じて生きるという答えに繋がっていくのではないのでしょうか。答えが見いだせない若い方に聞いてもらいたい一曲ですね。
Kids×石田衣良『4TEEN』
性(ここではセクシャリティ・ジェンダーと関係)や家庭環境など、固定観念にとらわれないでその人自身を見つめる視点を持っている点では、この小説は画期的ではないかと思います。四人のように、自分を受け止めながらも青春を謳歌してみたいと胸を躍らせる方が増えることを願います。
石田衣良『4TEEN』のあらすじ
東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれないー。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。
(BOOKデータベースより引用)
まとめ
今回は5曲×5冊紹介ということで、ご紹介させていただきました。
気になる楽曲や、お目当ての本はありましたか?
今回紹介しきれなかった楽曲と本も、後日ご紹介させていただきますので、楽しみにしていてくださいね。
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