女優・篠原涼子主演のドラマが当時話題となった小説『anego』(小学館)。今回初めて原作に目を通してみたのですが… え、これってホラー小説か何かですか? 読み終わった後に背筋が凍りついたんですけど?
『anego』といえば、30代女性が抱える悩みや不安、恋愛事情にスポットを当てた作品。
2005年に実写ドラマ化された際には、私も毎週欠かさず見ていたものです(出演者の赤西仁目当てで見ていたのはここだけの話)。
そのため私の中にある『anego』は、完全にドラマのイメージ。
アラサー女子のリアルを描きつつ、主人公に幾多の出会いが訪れるキラキラ恋愛ドラマという印象でした。
ところが自分もアラサーの仲間入りを果たした今、原作を読んで感じたのは“恐怖”の二文字。
物語の主人公は、丸の内の大手商社社員・野田奈央子(のだ なおこ)。32歳、独身。
“商社の女”さながらのスタイリッシュな容姿と面倒見のいい性格から、周りからは「アネゴ」と呼ばれていました。
そんなアネゴ気質な奈央子を描いた同作の一体何が怖いかって?
合コンやお見合い、セフレ、不倫など、あらゆる恋愛パターンが描かれており、その1つ1つがまるで未来の自分を表しているかのように感じるのです。
たとえば第3章「見合い」では文字通り、奈央子がお見合いに参加する展開に。
思いのほかお見合いは順調に進み、経済産業省に勤める(ちょっと薄毛の)男性と交際を始めるのですが…。
その相手の男は奈央子を抱くどころか、手も握らずじまい。帰り際にはどこかの県議会議員のような握手を交わす男性に対し、奈央子が抱いていた心情が以下の通りです。
自分はもう男から愛されないのだろうか。その代わり「可」という形で、もうじき結婚がやってきそうだ。自分はそんな魅力のない女だったんだろうか。
10代の頃はいつかこんな私でも「結婚したい」と思ってくれる人が現れると信じ、20代後半で現実はそう甘くないことを突きつけられる。
その先でようやく“結婚”に繋がるルートを見つけたかと思いきや、相手の男性から「結婚したい」ではなく「結婚できる」と判断される現実。
私はまだお見合い経験は1度もありませんが、近いうちに自分もそんな風に思われる日が来るのではないか… と恐怖を感じました。
まるで出荷前の果物を振り分けていくように、私自身も結婚できるor結婚できないと判断されるのではないかと―。
そんな矢先に自分を“女”として見てくれる人が現れたらどうでしょう。
恐らく私なら相手が既婚者でも体目当てでも、ズブズブと不埒な方へ進んでしまう気がします。
現に奈央子も、物語が進むにつれてどんどん泥沼の道へ。
そしてドラマでは描かれなかった結末を見て、さらに背筋が凍りついたことは言うまでもありません。
言わば『anego』は“恋愛ホラー”。下手なB級ホラーよりもよっぽどホラーです。
特に30代独身のみなさま。読む際はくれぐれもご注意くださいね…。
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