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『本屋さんのダイアナ』あらすじと感想【本好き少女2人の友情と自立の物語】

『本屋さんのダイアナ』あらすじと感想【本好き少女2人の友情と自立の物語】

「友達になるなら、趣味が同じ人がいい」

そう思っている人は多いのではないだろうか。

好きなことについて友達と延々と語り合う幸せ。

それは何物にも代えがたいものだし、趣味を通じて、より友達との仲が深まったという経験を持つ人もいるだろう。

本作品はそんな友情の物語である。

主人公は本好きの2人の女の子。

本を通じた彼女らの交流とそれぞれの成長を描いたガール・ミーツ・ガール小説だ。

こんな人におすすめ!

  • 本が好きな人
  • 大切な友達がいる人
  • 自分の生き方に迷っている人

あらすじ・内容紹介

矢島大穴(ダイアナ)は自分の名前が大嫌い。

母親が染めた金髪と、はしばみ色の瞳の色も手伝って、周囲からはいつも好奇のまなざしを向けられている。

小学3年生になった新学期。

クラスでの自己紹介でダイアナは名前や金髪を馬鹿にされ悔しい思いをする。

しかし、それらを全て褒めてくれたのが同じクラスの神崎彩子(かんざき あやこだった。

生まれ育った環境も性格も正反対の2人だったが、「本が大好き」という共通点から仲良くなり、互いの家を行き来したりする中で、いつしか唯一無二の親友となる。

別々の中学校へ行くことになった2人はそれでもずっと親友でいると信じていた。

しかし、中学校への進学を間近に控えたある日、2人の間に1つの事件が起こる。

小学生から大人になるまでの2人の十数年間を描いた友情の物語。

『本屋さんのダイアナ』の感想・特徴(ネタバレなし)

本を通じた女の子同士の友情

本が好きな人と友達になったり、自分や相手が好きな本について語り合ったりするのは本好きな人間にとっての夢ではないだろうか。

この作品では、ダイアナと彩子という2人の女の子が本が好きなことがきっかけで次第に親しくなる様子が描かれている。

2人は一緒に図書館に行ったり、互いの家を行き来したりして過ごすようになり、本を通じた友情が深まっていく。

何もかも正反対の2人だが、相手の美しさや生まれ育った環境、親との関係性などに対し、互いに密かに憧れと尊敬の念を抱いている。

 

本をきっかけに始まった2人の友情はとても純粋で、柔らかい空気に包まれている。

お互いに尊敬し合い、本の話をしながら心を通じ合わせていく様子は、本好きなら誰でも憧れるようなシチュエーションだ。

「ねぇ、ダイアナ、約束して。学校が変わっても親友でいてくれるって」

「もちろんだよ。私たちはいつまでも仲良しだよ。どこにいたって、親友だもの。そう思えばナンチュウに行ってもくじけず頑張れる」

別々の中学校に行くことになってからも、2人は親友であることを約束する。

2人の純粋無垢な友情に、読者は心を揺さぶられるのではないかと思う。

友達がいることの素晴らしさを教えてくれる、美しい物語なのだ。

少女小説をベースにした物語

この作品では、『赤毛のアン』や『若草物語』、『秘密の花園』などさまざまな海外の小説の名前が登場する。

それらが随所に散りばめられており、わかる人には「おっ」と思えるような場面が数多く登場する。

ダイアナと彩子の出会いも、『赤毛のアン』がきっかけになっている。

「『赤毛のアン』って知ってる?アンの親友はダイアナって言うんだよ」

クラスメイトに名前のことで難癖をつけられていたダイアナを、颯爽と現れた彩子がこの一言で庇う。

胸がすっとするような場面だ。

『赤毛のアン』は、この作品の中でも特に重要な役割を果たしている小説の1つである。

この作品をきっかけに、そういった海外の名作に手を伸ばしてみるのもいいかもしれない。そうすることできっとこの作品をより楽しめるようになるだろうし、何より自身の世界が広がるはずだ。

 

この作品の中で最大のキーとなっているのは、『ふしぎの森のダイアナ』という架空の少女小説である。

「はっとりけいいち」という作者が書いたこの本に、彩子の父親が編集者として関わっていたということから、この本は2人のバイブル的な存在となる。

好きなシーンを語り合ったり、本に登場するシーンを真似て遊んだり。

『ふしぎの森のダイアナ』は2人の成長の過程でも、随所で彼女たちを助けることになる。

「呪い」を解く物語

上記でも紹介したように、この作品のキーとなっているのが『ふしぎの森のダイアナ』という少女小説だ。

意地悪な魔法使いのせいで、両親と生き別れになった少女ダイアナが森の動物や妖精達に助けられ、自分の力で生き抜いていく物語

というあらすじで、ダイアナと彩子はこの物語が大のお気に入りだ。

2人は作中に登場する「呪いを解く儀式」を真似て遊ぶ。

「リュークス、リュークス、フィルフィルルー」

鏡の前に並び呪文を唱えた。

ずっとここでこうしていたいな——。

この「呪い」という言葉は、本作の重要なキーワードにもなっている。

 

ダイアナも彩子も小学生から中学生、高校生へと成長していく中で、それぞれの悩みを抱えるようになる。

自分自身のあり方やこれからの生き方、親や異性との関係など、その悩みはリアルで共感できるものばかりだ。

大人へと近づくにつれて、2人はそれぞれに、ある「呪い」に縛られるようになり苦しむ。

そんな彼女たちを救ったものは何だったのか?

ぜひ、本編で確かめてみてほしい。

 

本作は『ふしぎの森のダイアナ』に重ね合わせて、2人の女の子が自立していく姿を力強く描いている。

この物語はかけられた呪いを解いていく物語でもあるのだ。

まとめ

本好きの女の子たちの友情と自立の物語、それが『本屋さんのダイアナ』である。

本を読むことは1人でもできる。

けれど、彼女たちのように本について語り合える友人がいるとすれば、それは本当に幸せなことであると思う。

「呪い」を解く力を養うためにも、ぜひ「本」の力を借りてみてはいかがだろうか。

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