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『ONE PIECE FILM RED』感想・考察。ウタとルフィの「新時代」の違いとは?

理想的な海軍としてのコビー大佐


革命軍は秩序を破壊するカウンターパワーであり、海賊は秩序を乱す自由の体現者であるとすれば、海軍とはどのような存在と言えるだろうか。

『ONE PIECE』においては、ルフィたちを捕まえようとする海軍の方がむしろ敵のように見える。しかし、革命軍と海賊だけでは世界はバラバラになり、ホッブズの言う「万人の万人に対する闘争」が起こる「自然状態」のような状況に陥ってしまう。海軍がいるおかげで、(不出来な世界ではあるにせよ)一定の秩序と安定が維持されているというのが(実は当然の)前提条件である。

だが、赤犬の「徹底的な正義」が正しいか(そう、「正義」は正しいとは限らない)といわれれば、そう思う人は少ないだろう。では、理想的な海軍のあり方とはどのようなものか。

その萌芽を今回のコビーの活躍に見ることができた。ルフィやシャンクスのカッコよさは本編で知悉していた中、今回新鮮なカッコよさを見せてくれたのがコビーである。戦闘力の向上はもちろんのこと、状況を俯瞰して判断する力や、立場を超えた協力者たちへの的確な指示において、初期登場時からの格段な成長があった。物語を進める上でもいなくてはならない完全なるキーパーソンであり、本作の裏の主人公はコビーだったのではないかとさえ思ってしまう。

有能さはもちろん理想的な海軍に必要な要素であるが、それだけでは私たちが納得のできる「新しい海軍」の像は結べない。コビーが卓越していたのは、リアルとバーチャルと両面世界や、海軍と海賊、市民などの立場の違う者たちをつなぎ合わせ、見事世界の秩序回復に貢献したという点に存する。これは、マリンフォード頂上戦争においてインペルダウンの囚人たちを巻き込み、脱獄を果たし、戦争で共闘を果たしたルフィの「トリックスター」ぶりに引けを取らない活躍である。

今は「ポストモダン」の時代にあり多様な価値観が並立していると前述したが、このような時代において場の「主宰者」となるために必要なのが「トリックスター」としての資質である。立場を越境した者たち同士と、つまりは「他者」と上手くやっていける力だ。

価値観がバラバラな海軍や海賊らを越境するトリックスターでありながら世界の秩序を守ろうと全力を尽くしたコビーは、ルフィの考える「新時代」における海軍元帥としてなんら遜色ない。人々に危険をもたらすだけの海賊(それはもはや「不確定要素」でなく「危機」である)には毅然とした対処をし、自由を体現する海賊に対しては、海軍と海賊、市民などあらゆる立場を総合的に考えた上で「その都度の正義」を実行することが期待される。彼は今後、本編においても極めて重要な人物として描かれていくことになるだろう。

「麦わら」と「赤髪」の見事なシンクロ攻撃

バトルシーンとして胸アツだったのは、なんといっても赤髪海賊団のクルーと麦わらの一味のシンクロ攻撃だろう。リアル世界とバーチャル世界での同時攻撃は、SFチックで個人的にかなり好みだった。もしかするとこのアイディアは何かの作品のオマージュかもしれないので、知っていたらコメント欄で教えていただければ幸いである。

ウタを乗っ取った「トットムジカ」は、現実世界の人々を仮想世界に閉じ込めようとするリーサル・ウェポンであると同時に、皆が現実世界に帰るための唯一の弱点でもあった。武術や兵法でも言われるように、攻撃のチャンスは相手が攻撃を仕掛ける隙において生まれる。また、物事を接続する「つなぎ目」は弱点となる可能性が高いので、現実と仮想のつなぎ目となるトットムジカはたしかに狙い撃つべき箇所である。その観点から考えると、重要な「つなぎ目」の役割を果たしたコビーもまたウタ側にとっての弱点となり得たかもしれない(あるいは「ドアドアの実」でワープできるブルーノ)。

シンクロ攻撃はアニメーションの最大の見せ場として、映像・音楽・演技といった演出においても密度の高いシンクロが実現されていて血がたぎるような興奮を覚えた。制作陣の表現力・技術力の高さに脱帽である。ここで「見聞色の覇気」を通信手段として採用するアイディアも面白い。これにより、ルフィとシャンクスの直接対面を避けつつ共闘することが可能となった。

また、ここでルフィがギア5を使用したのも示唆的である。ギア5は、アラレちゃん的な「漫画的メタ表現」を強さにしたリアルとバーチャルを架橋する存在である。それが今回のような構造の元で登場したのは本編を追っている読者向けの演出としても捉えられるが、「ギア5」の架橋的な立ち位置が表現された印象もある。

シンクロ攻撃に見る問題の打開方法

上述のバトルシーンを構造的に解釈してみると、私たちも自分たちの抱える問題に対して「シンクロ攻撃」ができることに気づく。

トットムジカは、現実世界と仮想世界をつなぐ人間の〈負の感情〉の集合体であった。実際に私たちが現実世界に戻れなくなるほど仮想世界に入り浸るとき、その狭間に〈負の感情〉が存在することが多い。軽いところでは、宿題・課題に取り組むのを嫌がりアニメやYouTubeをひたすら見るような現実逃避であり、重い場合でかつ解釈を広げるとすると、過去の戦争における加害を無かったことにして、「新しい歴史観」という仮想世界を作り出す歴史修正主義も含まれる。〈負の感情〉は仮想世界へ逃げ込む原因であると同時に、現実世界へ戻れない障壁として作用している。

もちろん仮想世界に逃げ込むことが一様に悪いとは言えない。文学や映像作品、あるいはそれこそメタバースという「こことは違う世界」に没入することで現実世界を一時的に差し置いて、リフレッシュや気持ちの整理、ストレス解消をすることは精神の健やかさを保つために必要なことだ。

だが、現実世界に戻らなければ、先に述べた「他者」を排除することになり閉じられた未来を自分に強制することに他ならない。私たちは自由であり続けるためにトットムジカ的な〈負の感情〉と向き合い、それを打倒することで(あるいは折り合いをつけて)現実世界に帰還しなければならない。

その際ヒントとなるのが今回のシンクロ攻撃である。〈負の感情〉に打ち勝つために、仮想世界と現実世界の両方から問題に取り組むのである。仮想世界がもたらしてくれる優れた物語や文化的活動・空間への没頭からは、必ず何かしら学べることがある。そこには感動という新しい発見があるからこそ、私たちはそのような文化を楽しむからだ。現実世界を一度は忘れても、その逃避から現実へ対処できる何かは汲み取ることができる。そのためにはいっそのこと、仮想世界を思い切り楽しんだ方がヒントも得られる可能性が高まるだろう。

そして、ある程度気持ちに整理がついたら、少しでも現実世界における〈負の感情〉の原因に手をつけるのだ。宿題を開く、喧嘩した相手に声をかける、自分を抑圧する相手に一言だけ申してみる、過去の過ちに目を向けてみる。手をつけたら、仮想世界で得た感動が助けてくれる。そして、仮想世界に逃げ込んだことでむしろ問題に対する新しい視野が開け、〈負の感情〉は解消、あるいは軽減に向かう。

そのような問題への向き合い方が、私たちが日常でもできる〈負の感情〉への「シンクロ攻撃」なのではないだろうか。

おわりに――私の夢の果て

改めて、言及すべき点が多い素晴らしい作品であったように思う。『ONE PIECE』の王道的展開を活かしつつ、新しいチャレンジを取り入れていくスタイルがまさにワンピース的であった。

個人的に嬉しかったのは、「新時代を創る」というルフィの夢の果てが明らかになったことだ。筆者にも「文化熱狂時代」という新しい時代を創りたい想いがある。これは、みんなが自分の夢中になれる「文化」(とても広い意味で)を見つけ、日々感動できる人生を歩むことのできる自由に溢れた時代である。

それに伴い、「良い国」の基準が経済や軍事力ではなく、「文化的充実度」(どれだけ楽しい国か)で測られ、それぞれの国が自分なりの「世界で1番楽しい国」を目指す。まずは、日本がロールモデルとなって、世界にゲームチェンジを巻き起こす。そのような構想である。

ルフィの「夢の果て」についても、海賊王になってから時代を創りたいのではないかと半ば希望に近い予想をしていたので、当人からその言葉を聞き1人座席で打ち震えていたのである。

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