国内では2000年代後半頃から流行し始めた「毒親」という言葉。
子供に多大な悪影響を及ぼす親、という意味を持つ「毒親」だが、漫画や小説といった創作物の中にもたびたび毒親が登場する。
世界中で大ヒットを飛ばしている人気漫画『ワンピース』もその例外ではない。
『ワンピース』に登場する毒親の名はヴィンスモーク・ジャッジ。
麦わらの一味のコック兼戦闘員であるサンジの実の父である。
読者からも「クズ」と非難されることの多いジャッジ。
この記事では、彼の毒親らしさを存分に表した下劣な行動の数々をご紹介する。
ジャッジのような毒親に決してならないよう、ぜひ、自らの日頃の行いを顧みながらご覧いただきたい。
ヴィンスモーク・ジャッジとは?
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— ONE PIECE.com(ワンピース) (@OPcom_info) June 23, 2017
北の海(ノースブルー)の海洋国家・ジェルマ王国を率いるヴィンスモーク家の当主。
ノースブルーでは圧倒的な知名度を誇る「ジェルマ66」の総帥であり、化学兵器を駆使した戦闘を得意とする。
妻のソラ(故人)との間にレイジュ・イチジ・ニジ・サンジ・ヨンジの一女四男を儲けたが、唯一の「出来損ない」であるサンジには愛情を示さず、その存在を否定し続けた。
再びノースブルーを支配し、先祖達の無念を晴らすという強い野望を抱いており、そのためには何を犠牲にしても構わないという非情さを持つ。
自らの欲望を満たすために子供を「道具化」する
ジャッジが毒親たる最大の理由は、己の欲のために子供を「道具化」したという点だ。
毒親は、あらゆる手段をもって子供を支配したがる。
暴力による支配、言葉による支配、歪んだ愛情による支配……。
なぜ毒親は子供を支配しようとするのか。
それは、子供は自分の「所有物」だと思っているからだ。
自らの欲を満たすための「道具」だと思っているからだ。
ジャッジは「ノースブルーを支配する」という野望のために、平然と子供を道具化した。
我が子が胎児の時点でメスを入れ、鋼鉄のような皮膚と高い戦闘力を持つ代わりに、敵への恐怖心や慈悲の心を持たないように改造を施したのだ。
我が子に「強くあってほしい」と願う親心はごく当たり前のものだ。
しかし、ジャッジは子供をただの「戦闘のための道具」としか見ていなかった。
だから、強さを与えるだけに留まらず、心を奪うという非道な改造を行ったのだ。
ここまでの非道ぶりは稀だとしても、知らず知らずのうちに子供を支配し、「道具化」しようとしてしまう親は一定数いる。
子供の意思をまるで尊重せず、少しでも意にそぐわない行動をすると「なんで言うことを聞かないの!」と激しく責め立ててしまうのも、そうした支配の一歩といえる。
もちろん、子供が本当に危険な行為をした時や、誰かを傷つけてしまった時に正しく叱ることは大切だ。
しかし、「自分の思い通りにならないから」という理由だけで日常的に子供を叱ってしまってはいないだろうか。
「この子のため」という言葉を隠れ蓑に、子供の行動や感情を支配してしまってはいないだろうか。
子供の道具化にも繋がりかねない叱責は、ヴィンスモーク・ジャッジと同じ「毒親」になってしまう危険を濃く孕んだものであることに注意したい。
自分の思い通りにならない子供を「徹底的に否定」する
我が子を「慈悲を持たない最強の戦闘員」に改造しようというジャッジの目論見は、妻であり、子らの母でもあるソラの手によって阻止される。
「心を失ったら人間ではない」と主張するソラは、胎児に改造の効果が及ばないよう、自ら劇薬を飲んだのだ。
結果、四つ子として生まれたイチジ・ニジ・サンジ・ヨンジのうち、サンジだけが改造の影響を受けずに生まれた。
サンジは母親に似て心優しい少年へと成長したが、ジャッジからしてみれば、特別な戦闘力を持たないサンジは「出来損ない」でしかなかった。
サンジが兄弟からいじめられている姿を目の当たりにしても、まったく関心を示さない。
「生まれなかったことにしたい」とまで言い放ち、サンジを一室に軟禁する。
悪環境に耐えきれず出奔を試みるサンジに出くわした際には、引き留めるどころか、
誰にも知られたくない汚点だから、私が父親だということは絶対に人前で口に出さないでくれ
と言い放つ始末だ。
子供の自己肯定感を育んでやるのは親の役目だ。
親から無条件の愛情を注がれることにより、子供は「自分が自分であるというだけで愛される」という肯定感を得、安定した人格形成の礎とするのだ。
ジャッジが行った「子供の存在の否定」は、まさにその逆をいくものだった。
「あんたなんて産まなきゃよかった」
「育て方を間違えた」
子供の自己肯定感を根底から打ち壊すこうした台詞は、毒親の決め台詞とも言うべきものだ。
また、ここまで辛辣でなくとも、
「どうしてこんなこともできないの」
「○○ちゃんは素直な良い子なのに、なんであなたはそうワガママばかりなの」
などの台詞も、子供の自己肯定感を傷つけるには十分すぎる威力を持つ。
忙しい毎日に忙殺され、つい日常的にこんな言葉を吐いてしまってはいないだろうか。
「我が子には立派に育ってほしい」と思うあまりに周囲と比較し、呪いじみた言葉で子供の心を縛ってしまってはいないだろうか。
この機会に、ぜひ一度自らの振る舞いを顧みてほしい。
毒親にならないためには「子供を尊重すること」から
誰だって好き好んで毒親になりたがりはしないだろう。
自分なりに必死で子供と向き合った結果、努力のベクトルを誤り、毒親じみた振る舞いをしてしまっている人もいるかもしれない。
とにかく、ヴィンスモーク・ジャッジのような毒親にならないためには、ひとりの人間として「子供を尊重すること」以外にない。
子供には子供の意思がある。
そんなことは誰だって当たり前に分かっている。
しかし、子供の意思を十二分に尊重してあげることは、まるで戦場のような毎日の中では意外にけっこう難しい……。
だから、イライラした時や心無い言葉を吐きそうになった時は、一度深呼吸をしてこう唱えてみてほしい。
「この子はこの子。私は私。今、私は自分の価値観をこの子に押し付けようとしていなかっただろうか?」
そうすれば、さっきまで心を煮え立たせていたイライラが、実は感じる必要すらない苛立ちであったことに気付けるかもしれない。
そして、時間に余裕があったらぜひ『ワンピース』を開いてみよう。
稀代の毒親ヴィンスモーク・ジャッジの姿を見、反面教師たる彼の行動から学び、かつて我が子を見放した彼がついには子供から見放される姿を見て、こうはなるまいと気持ちを新たにするといいだろう。
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