かつてたりなかった男たち
『ナナメの夕暮れ』で自分探しに終止符を打ち、ラジオで冗談のように結婚を発表した若林。
女優・蒼井優と結婚し、最高の記者会見を開いたのにまだまだ足りない部分で勝負しにくる山里。
かつて人見知りだった2人は結婚し、笑いのタネになるポイントも少しずつ変化しており、”たりないふたり”は結成当初よりもお互いのコントラスト差が際だっている。
ライブで嘘がつけないのは、ラップも漫才も一緒だった。
『ナナメの夕暮れ』
ラップは等身大で“今“見ているものを自分の言葉で綴る、リアルを歌うジャンルである。
2020年に4回放送される番組「たりないふたり〜春夏秋冬〜」は春、夏を終えて互いの個性はますます深みを増し、少しずつ乖離している。
ラップと同様に秋、冬はさらに変化し、今までとはまた違った魅力を引き出してくれるのではないだろうか。
高卒と中卒 偏屈で窮屈で 低俗で軽率なポンコツとポンコツ
「たりないふたり」
俺らは大器晩成 時がきたらかませ
「かつて天才だった俺たちへ」
上記は「たりないふたり」と最新アルバム「かつて天才だった俺たちへ」の表題曲のリリックである。
この曲は帝京平成大学のCMにも起用された。
今までの2人では口に出来なかったようなポジティブなフレーズは、ストレートに感情を投げ出しているからこそドラマチックさに胸を打たれる。
おわりに
Creepy Nutsは明かにフェーズ2に突入している。
DJ松永の世界一、メディアでの露出、ヒプノシスマイクのどついたれ本舗への楽曲提供、菅田将暉とのコラボなど、Creepy Nutsの立ち位置は「たりないふたり」をリリースした頃から大きく変わっている。
過去に武道館に立ったラッパーの言葉を拝借すれば、まさに“あの頃じゃねえ“。
11月12日には自身初となる武道館公演が控えている。
武道館といえば、オードリーがオールナイトニッポンのライブイベントを行った聖地だ。
かつてたりなかった4人の男たちは少しずつ満たされ、新しい一面を覗かせている。
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