【文豪からあなたへ贈るクリスマスプレゼント】ディケンズ『クリスマス・キャロル』(🎵Libera『もろびとこぞりて』)

クリスマス・キャロル(カロル)

クリスマスに歌われる喜びの歌。賛美歌。

毎年この時期になると街のどこかしらでクリスマス・キャロルが聞こえてくる。

文学の世界でクリスマス・キャロルといえば、ディケンズのかの有名な物語を思い浮かべる人も多いだろう。私もその中のひとりなのだけど、実を言うと童話でしか読んだことがなかった。

『クリスマス・キャロル』のような説話的な物語はグリム童話なんかと一緒で、子ども向けの絵本や児童小説としても出版されているので、私のように子どもの頃に読んだきりという人もいると思う。

今回この小説を読んだきっかけは、もちろんクリスマスが近いということもあるけれど、後に紹介する映画が気になっていたからでもある。

もしまだ読まれていない方にとっては今がこの物語を読むいいタイミングかもしれない。

あらすじ

人間嫌いで守銭奴の老人、スクルージ。

恵まれない人たちへの寄付をお願いに訪れた人を追い返し、祝いの食事に誘いに来てくれた甥を冷たくあしらい、従業員は優しさのかけらもない待遇でこき使う。

クリスマス・イブの夜、そんな彼の家にかつての仕事仲間、マーレイ老人の幽霊が現れる。太い鎖に巻きつかれ霊になっても苦しむマーレイはスクルージに警告する。「お前もこうなるぞ」と。

恐れおののき助けを求めるスクルージに、マーレイは「これから三晩、三人の霊が訪れる」という言葉を残して去っていった。

未読の方へ

子どもの頃に感じていたクリスマスのワクワク感。大人になるにつれてだんだん薄くなってきた気がする。

昔は小さなツリーに飾り付けをするだけで、街でジングルベルを聞くだけで、なにか特別な日が来るんだという喜びでいっぱいになった。

私はキリスト教徒ではないけれど、あの頃の気持ちはもしかしたら、本来の「クリスマスを祝う意味」を知らず知らずのうちに体で理解していたのかもしれない。

歳を重ね、「クリスマスなんかくそ食らえだ」と捻くれてしまったスクルージの元に訪れた三人の幽霊は、彼に過去・現在・未来のクリスマスを見せてくれる。

スクルージが過ごしてきたたくさんの「過去のクリスマス」を、読書である私も一緒に振り返ることになる。

私の過ごしてきたたくさんの「過去のクリスマス」を。

過去から現在をみたとき、現在の私は自分が納得できる人間になっているのだろうか。

家族、友人、仕事、それらにどう関わってきたのか、自分が周囲に与える影響を否応なく考えさせられる。

そして未来。

これからのクリスマスをどう迎えるかはこれからの自分にかかっている。

スクルージは未来のためにどう行動したのか。自分の未来に当てはめて考えたとき、クリスマスだけではなく今日という一日が未来のための大切な日になる。

既読の方へ

ネタバレがあるかもしれないので未読の方はご注意を!

「死ぬときは100歳ぐらいでたくさんの孫やひ孫に囲まれて眠るように死にたい」という願望はよく聞く。

実際、どう死ぬかはどう生きるかで決まるのだと思う。

スクルージは周りの人たちを蔑ろにしていたからあのような未来を見せられた。自分が死ぬことが現実となって目の前に出されたら、やっぱり必死になって現状を変えようという気持ちになると思う。

ただ、そこまで切羽詰まらないと人間ってなかなか行動を起こさないもの。少なくとも私は。

そうなると、彼の未来を変えた幽霊たちは彼にとってこの上ないクリスマスプレゼントだったのかもしれない。

おわりに

クリスマスの宗教的意味は置いておいて、私はクリスマスという日は「過去を振り返って現在に感謝する日」だと理解した。毎年、元日には新年の目標を立てるようにはしてたけど、過去を振り返るのも大事だなと。

今年のクリスマスから、ただのイベントとしてのクリスマスに大切な意味が加わった。

僕はあの人が気の毒なんだよ。たとえ怒ろうとしても僕は怒る気にはなれないね。あの人の感じの悪いむら気でだれが迷惑するというのだい?あの人自身じゃないか、いつでも。

スクルージの甥の言葉は、他人に対するマイナスな言動は自分に対してもマイナスだと教えてくれてる。

ハロウィンが終わるとすぐにクリスマスの飾り付けを始める日本人は、本当にイベント好きなんだなぁと思う。

今年もクリスマス商戦に踊らされつつ、『クリスマス・キャロル』を読み返して家族とゆっくり過ごそうと思う。

「クリスマスおめでとう!」

小説誕生の物語が映画化!

ディケンズが『クリスマス・キャロル』を書き上げるまでの六週間の軌跡を描いた映画、『Merry Christmas !ロンドンに奇跡を起こした男』が現在公開中(11.30〜)。

物語に没頭していくディケンズに訪れる幻たち。

ディケンズを演じるのは『ダウントン・アビー』『美女と野獣』で人気のダン・スティーブンス。

また、本編の映像化作品はいくつかあるようだが、2009年公開のアニメーション『Disny’s クリスマス・キャロル』がいちばん新しくキャストも豪華。

この作品に曲をつけるなら

『もろびとこぞりて』Libera

あまりにも有名な物語なので、曲も王道を選んだ。

Liberaの美しいコーラスが、19世紀のイギリスのクリスマスを想像するのにぴったりだと思う。

物語の最終章に聴いてほしい曲。

著者紹介

チャールズ・ディケンズ(1812〜1870)

新聞記者、作家、編集者として非常に精力的な活動をした。ロンドンに過ごした少年時代には職工、丁稚小僧、法律事務所の事務員と、さまざまの生活を遍歴して、人情の機微に触れた。この体験が彼の作品の根底をなしている。

訳者 村岡花子 新潮文庫解説より

こちらもよろしくお願いいたします。

◯この他の『クリスマス・キャロル』の主題歌はこちら

◯本の主題歌を決める読書会「BGMeeting」

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