『何者』原作小説あらすじと感想【頭の中で考えるうちはいつだって何者かになれそうなのに】

『何者』原作小説あらすじと感想【頭の中で考えるうちはいつだって何者かになれそうなのに】

出た出た!「自分は見えている」と思う意識高い系

この小説、なにがすごいって、合間に挿入されるTwitterのつぶやきが生々しい。

さらに主人公が、ある登場人物の裏アカウントを特定するシーンがたまらない。

その裏アカウントのつぶやきとして、

その場にいる全員で協力して、面接という空間を演出しているという感覚。

どうしても自分は、自分のいる環境を俯瞰してしまう癖があるから、冷静になってしまう。

それがよくないのかもしれない。

うわ、就職活動が茶番と感じるのは、わからなくもない。

だが茶番であろうが、求められた茶番をこなせるかがひとつの通過儀礼ではないのだろうか。

「一歩も二歩も引いたところから自分を見られる俺、すごい」と酔っているだけに思えた。

このつぶやきに続いて、主人公のかつての演劇仲間である烏丸ギンジ(からすまる ぎんじ)のつぶやきが並べられているのも面白かった。

主人公と一緒に演劇をしながらも、仲間割れをしたギンジ。

彼が他の舞台を見た感想として言った、

セリフの使い方にリアリティないとか、演出家は演者の長所を引き出せていないとか、どこか客観的になってしまう。

でも、創り手ってそういうもんなんだって、最近はそう思うようにしている。

という言葉。

あぁこちらにも「客観視せずにはいられない自分」が転がっている。

「客観視している自分すら客観的に見ちゃうぜ!」って、どこもかしこも評論家気取りか。

…と、主人公のツッコミに便乗し、脳内で常に毒舌ツッコミを入れながら読み進めていた。

すると衝撃のラストが待ち受けていた。

殴られた。

何か、ちんけなプライドが。

まとめ

就職活動をしてから10年経った今読んでも、ズキズキした。

自分の中にある「人と違う何者かになりたい」という自己顕示欲を、嫌というほど実感する。

登場人物に毒づいたのも、自分の痛い部分をつきつけられた感じもある。

結局何者にもなれなかったよ。

読んだあなたは、何者かになれたかな。

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