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『ハーモニー』原作小説あらすじと感想【優しさに殺される世界に少女たちは抗う】

『ハーモニー』原作小説あらすじと感想【優しさに殺される世界に少女たちは抗う】

〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉と呼ばれる大混乱の時代の後、人々は〈健康〉と〈優しさ〉に包まれた高度医療社会を築き上げた。

そんな世界を憎む少女〈霧慧トァン(きりえ〜)〉は、同じく世界に違和感を感じる2人の少女〈御冷ミァハ(みひえ〜)〉、〈零下堂キアン〉と共に、自らの死を選ぶ。

そして13年後。

死ねなかったかつての少女、トァンは、再び世界を覆う大混乱の中に、死んだはずのミァハの影を見る。

夭折の作家、伊藤計劃が描く、理想郷の臨界点。

こんな人におすすめ!

  • 哲学が好きな人
  • SF小説が好きな人
  • 『虐殺器官』を読了済みの人

あらすじ・内容紹介

2019年、アメリカ合衆国で発生した暴動を皮切りに、全世界で戦争と未知のウイルスが蔓延した。

後に〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉と呼ばれるこの混乱により、従来の〈政府〉は瓦解。

新たに築かれた統治機構〈生府(ヴァイガメント)〉は、そこに参加する人々そのものを〈公共のリソース〉と見做した、高度医療社会を築く。

凡ゆる病が駆逐され、人々は自らだけでなく隣人の健康までも気遣う、〈優しさ〉に満ち溢れた社会。

そんな社会を憎む少女〈御冷ミァハ〉は、同じく社会に違和感を抱く少女、〈霧慧トァン〉〈零下堂キアン〉と共に、〈公共のリソース〉を傷つけるため、死を選ぶ。

そして13年後。

死ねなかったかつての少女、トァンはWHO螺旋監察事務局の上級監察官として、生府の監視が行き届いていない紛争地帯を渡り歩いていた。

煙草を嗜み、酒を飲み、社会へのちょっとした反逆を繰り返す彼女は、その素行が上官に知られたことで日本への帰国を命令される。

さらに帰国後、久々にキアンと出会い、渋々ながら共に食事を取ることとなったトァン。

しかし食事の最中、唐突にキアンは自らナイフを喉に突き刺し、死を選ぶ。

同時刻、世界中の人間が唐突に自殺を謀るという事態が起こっていたことが分かり、世界に混乱の渦が巻き起こる。

再び世界を覆う混乱の中でトァンは、13年前にただ1人死んだはずの少女の影を見る…。

夭折の作家、伊藤計劃が描く、ユートピアとディストピアの境界線。

『ハーモニー』の感想・特徴(ネタバレなし)

息の詰まるような〈優しさ〉に溢れた世界

教師の、親の、周囲の全ての気遣いが、わたしを静かに窒息させている

今作の舞台は、〈生府(ヴァイガメント)〉が統治した未来社会だ。

〈健康〉と〈幸福〉が義務化されたこの社会では、人々の他者に対する〈優しさ〉が満ち溢れている。

誰もが夢見るような、理想の社会である筈だ。

しかし今作において、この理想郷は魅力的な社会としては描かれていない。

他者への優しさは何となく押し付けがましく、社会には様々な自粛が溢れかえる。

カフェインの持つ中毒性すらも〈健康を害するもの〉とされ、珈琲を飲むことさえままならない。

そんな社会の様子が、繊細な文章で淡々と綴られていく様は非常に息苦しく、えも言われぬ閉塞感を覚える。

ユートピアを目指した末に人類が辿り着いた地獄郷の有様を、しっかりと堪能して欲しい。

巻き起こる大混乱の謎を解け

うん、ごめんね、ミァハ

主人公のトァンが、世界中で同時多発した突発的な自殺の謎を追う様子も、今作の大きな見所だ。

13年前に共に死のうとし、そして生き残ったかつての同志キアンは、トァンの目の前でナイフを自らの首に突き刺して死んだ。

それと同時に世界中で、首吊りや飛び降りから、キアンのように手近な物で自らの肉体を傷つけるといった様々な手法で、大量の人間が自殺を遂げる。

自殺者たちに錯乱した様子は無く、あくまでも冷静に、そのときその場所で死ぬために最適な行動を取り、死んでいく。

更にウェアラブル機器を通して、自殺者の目線で描かれる死の様子は、客観的に淡々と語られるからこそ寧ろ恐ろしい。

大規模な混乱を巻き起こした者の、その目的とは何なのか。

事件を追う中で現れる〈次世代ヒト行動特性記述ワーキンググループ〉の正体とは。

そして、13年前に死んだ筈の少女、ミァハとの関わりは?

壮大な謎を追う中で、トァンが〈人間の意識〉の深淵へと迫っていく姿からは、目が離せない。

『虐殺器官』との関連性も?

皆が皆、虐殺するための器官を生得的に持っているかのように精力的な虐殺ぶりだったよ

作中で度々名前が登場する、〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉。

アメリカ合衆国から始まった暴動により、世界に戦争と未知のウイルスが蔓延したこの禍いは、人類を絶滅の淵まで追い詰めた。

〈生府(ヴァイガメント)〉が統治する社会が高度医療社会となったのは、この禍いに対する恐れによるところが大きい。

それ程までに大規模な事件でありながら、今作ではその禍いについて、〈過去に起こった悲惨な事件〉としてしか触れられず、その詳細はあまり語られない。

しかし断片的に語られる〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉の様子は、今作の著者である伊藤計劃氏の第一長編『虐殺器官』のラストシーンを思い出させる。

『ハーモニー』と『虐殺器官』が同一の世界観で有るとは明言されていない。

しかし、『虐殺器官』のその後の世界を想像できる作品であるため、両作共に読んでおいて、損はない筈だ。

まとめ

優しさに包まれたユートピア/ディストピアと、その中で起こる大混乱を描いた今作。

事件の謎を追うというエンタメ要素もしっかりと描きつつも、その実〈人間の意識〉というものに真摯に向き合っている骨太な作風は、読者にきっと何かを訴えかける。

是非とも、その息苦しくなるほど美しい世界観を味わって欲しい。

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