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『PSYCHO-PASS GENESIS 1/2』あらすじと感想【若き政陸智己が直面する、シビュラ創生の瞬間】

『PSYCHO-PASS GENESIS 1/2』あらすじと感想【若き政陸智己が直面する、シビュラ創生の瞬間】

西暦2080年。

新人刑事として警視庁に所属する〈政陸智己(まさおか ともみ)〉は、〈八尋和爾(やひろかずじ)〉率いる〈特命捜査対策室〉に配属される。

数多の未解決事件を追及するその部署はその実、包括的生涯福祉システム〈シビュラシステム〉の導入によって世界の覇権を握ろうとする厚生省への、警視庁の最後の抵抗の意味もあった。

八尋のもとで、刑事としてのイロハを吸収していく政陸。

〈宜野座冴慧(ぎのざ さえ)〉との結婚と、息子〈伸元(のぶちか)〉の誕生。

危険だが充実していた日々は、しかし長く続くことはなかった…。
シビュラシステムの台頭と、警視庁の再編。

そして、八尋との決別…。

〈正義〉の意味が移ろいゆく激動の時代において、〈刑事〉の在り方はどのように変わっていくのか。

〈刑事〉としてしか生きられない人間は、どのような最後を迎えることになるのか。

若き日の政陸智己の戦いと苦悩を描く、人気アニメ『PSYCHO-PASS』の外伝小説!

こんな人におすすめ!

  • SF小説が好きな人
  • 刑事小説が好きな人
  • 『PSYCHO-PASS』シリーズが好きな人

あらすじ・内容紹介

西暦2080年、警視庁の新人刑事〈政陸智己〉は、〈特命捜査対策室〉へと配属される。

破天荒なベテラン刑事〈八尋和爾〉が率いるその部署は、数多の未解決事件の追及と捜査を行なっている。

しかし、その本質は包括的社会福祉システム〈シビュラシステム〉の導入を推し進め、それによって世界の覇権を握ろうとする厚生省への、警察庁の決死の抵抗であった。

八尋から刑事のイロハを教わっていく中で、政陸は八尋を〈親爺〉と呼ぶほどに信頼していく。

そして、最愛の女性〈宜野座冴慧〉との結婚。

息子〈伸元〉の誕生と成長。

日々触れることになる事件は凄惨の一言に尽き、死と隣り合わせの危険な仕事の毎日であったが、それでも政陸は充実していた。

しかし、そんな日々は長くは続かなかった。

厚生省は徐々に力を増していき、社会の在り方は変容していく。

罪を犯す前に裁かれる、〈潜在犯〉の概念が生まれ、更に潜在犯を狩るための潜在犯が捜査の列に加わる。

そして〈シビュラシステム〉の創生に関わる1つの事件をきっかけにして、〈警察組織〉刷新、八尋は警察を去る。

あらゆる指標が変化し、その度に翻弄される彼のもとには、更なる残酷な現実が立ちはだかる…。

〈正義〉の概念が移ろいゆく中で、政陸はどのような決断をするのか。

〈刑事〉としてしか生きられない人間には、どのような未来が待ち受けているのか。

シビュラ創生期、若き日の政陸の戦いを描いた、『PSYCHO-PASS』の外伝小説。

『PSYCHO-PASS GENESIS 1/2』の感想・特徴(ネタバレなし)

若き日の〈政陸智己〉の奔走

政陸くんは、刑事に向いていると思うな

『PSYCHO-PASS』本編において、ベテラン刑事としての落ち着きと風格を漂わせていた執行官、〈政陸智己〉。

今作では、刑事として生き、父親として死んだ彼の、若き日の戦いが記されている。

包括的生涯福祉システム〈シビュラシステム〉の導入が進み、厚生省が覇権を握りつつある2080年の日本。

そして、厚生省の権力の増大に対して、決死の抵抗を試みる警察庁。

そんな各省庁のパワーゲームに翻弄されつつも、八尋のもとで刑事としてのイロハを吸収していく政陸の様子は、非常に生き生きとして見える。

更に、最愛の女性である〈宜野座冴慧〉との結婚と、息子〈伸元〉の誕生もあり、非常に充実した毎日を送る政陸の幸せそうな様子は、『PSYCHO-PASS』で執行官としての姿しか見ることのできなかった読者には、新鮮に写る。

いずれ破滅が訪れると分かっていたとしても、刑事として、夫として、父親として懸命に生きる彼の姿が見られるのは、『PSYCHO-PASS』という作品のファンにとっては嬉しいものではないだろうか。

徐々に激化していく事件

現場で彼の死体は発見されなかった

政陸が属する〈特命捜査対策室〉は、数多の未解決事件を捜査する部署だ。

その本質は、〈シビュラシステム〉によって覇権を握ろうとする厚生省への、警察庁の決死の抵抗だ。

未確認事件を誰よりも素早く把握、解決し、〈シビュラシステム〉の管理下にあっても事件が起こり続ける現状を厚生省に突きつける役割を持ったこの部署は、その特殊性故に数々の陰惨な事件の捜査を担当することになる。

陰惨な事件の数々、人間の悪意の形を眼前に突きつけられながら、それでも刑事として真実を追い続ける政陸の活躍も、今作の大きな見所だ。

そして、〈シビュラシステム〉の台頭によって警察庁が刷新されたのち、更なる凶悪な事件と、その裏に潜む残酷な真実に直面し、どのような決断をするのか。

物語の最後まで、目が離せない。

明かされる、〈シビュラシステム〉導入の真実と世界情勢

犯罪は、闇から生まれる

『PSYCHO-PASS』という物語において、常にその枢軸に君臨し続ける絶対の存在、〈シビュラシステム〉。

今作では、〈シビュラシステム〉が導入されるに至った経緯が、地獄のような時代の経験者自身の口から語られる。

〈シビュラシステム〉導入以前の生活は、紛争が吹き荒れる諸外国よりも多少マシな程度であり、食うも困る生活を送るものも多かったことが明かされる。

『PSYCHO-PASS』の物語中で、決して肯定的に描かれることはなく、今作においても凡ゆる混乱の元であった〈シビュラシステム〉ではあるが、その必要性も否応なく確認させられる。

〈シビュラシステム〉という絶対的な社会システムを前に、社会に生きる人々はどのように生きるのか。

今作で明かされる、シビュラ社会が成立するまでの過程と混乱も『PSYCHO-PASS』の世界をより楽しむための一助となるだろう。

まとめ

人気アニメシリーズ『PSYCHO-PASS』の外伝小説である今作。

シビュラ社会の完全な成立までの過程が明かされるのは、『PSYCHO-PASS』という作品を追い続けた読者にとって嬉しいサービスではないだろうか。

また、移ろいゆく〈正義〉の中で必死に奔走する政陸の様子からは、たとえ破滅が控えていることがわかっていたとしても目が離せなくなる。

読むことで、確実に『PSYCHO-PASS』という作品をより楽しむことができる小説だ。

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