アニメ化もされた林田球の人気漫画『ドロヘドロ』をご存知だろうか。
魔法使いの実験台にされた人間が暮らす街・ホールと、魔法使いが住む世界を股にかけたバイオレンスグログルメ作品だ。
グロとグルメが並んでいるのは合体事故ではない。
この漫画、凄惨なゴア描写とよだれがでそうなグルメ描写が奇跡的に両立している稀有な作品なのだ。
今回はそんな『ドロヘドロ』の魔法使いの中でも、最強の魔法の持ち主を紹介したい。
これがホントのマジックマッシュルーム、煙
煙は魔法使いの世界を牛耳る煙ファミリーのボスだ。
煙ファミリーとはなんぞや?と疑問な人はマフィアの親玉を想像してほしい。
だいたいそれであってる。殺し屋も飼ってるし。
平素はおしゃれなスーツを着こなし、紳士的に見えなくもない伊達男だが、一度キレたら手が付けられない。
そうなれば最後、全身からブフォッと膨大な煙を噴き出し全方位にキノコを生やしまくる。
しかもこのマジックマッシュルーム、天然ものである。
産地直送、あらため葬送である。ヤバい。
煙は魔法使いの世界でも最強とされている。
彼の魔法はとにかく効果範囲が広く強力で、街をまるごとキノコ化し壊滅させてしまうほどだ。
有機物無機物すべてをキノコに変える。
しかもそのキノコは独立して動き、探知機の役目を果たす。
汎用性が高すぎる。
魔法のキノコは煙の意志で人に寄生させることが可能で、遅効性でじっくりじわじわ死に至らしめるか、即効性で胞子を爆散させるか、好きに調節できるのだ。
まさに時限式胞子爆弾。
「人をキノコに変える?なんじゃそりゃ?」と侮るなかれ、やってることはギャグに見えて実に手ごわい魔法なのだ。
死者を蘇らせる(ただし気まぐれ)キクラゲ
キクラゲは煙ファミリーの愛すべきマスコットにして偉大な魔法使いである。
この紹介文は矛盾してない。
彼(あるいは彼女)は煙に溺愛されるペットであり、ファミリーの構成員も兼ねているのだ。
ちなみに名前の由来は耳のビラビラがキクラゲに似ていることから。
見た目は犬と猫のキメラのような、なんともへんてこな生き物だ。
彼(面倒くさいので便宜上こちらで統一)はもともと死者を蘇らせる魔法使いを騙る女に利用されていたが、煙に保護されてからは栗鼠を生き返らせたり恵比寿を生き返らせたり大活躍している。
……が、むらっけがあるのが玉に瑕。
むしろむらっけしかない。
キクラゲはしょせん動物なのでとても気まぐれだ。
気の向くままに煙の城をお散歩してはご飯をねだる。
煙や藤田がどんなにお願いしても食指が動かなければ魔法を使おうとしない。
死体蘇生の魔法は間違いなく最強の一角だ。
攻撃力はないが、味方に引き込めばどれほど心強いか。
なにせ死んでも生き返らせてもらえるのだから心配無用。
何度でも嬉々として殺されにいける。
難点を挙げるなら発動のタイミングが読めないこと。
すべてはキクラゲの気分次第、生き返らせてもらえるかどうかは運次第。
彼のお気に召さなければ一生死体のまま放置プレイされる。
最強にして最カワ、そんな気まぐれキクラゲである。
魔法の国から逃げてきた、時を操るニカイドウ
最後に紹介するのはカイマンの頼もしいパートナー、ニカイドウ。
大葉ギョーザが名物の定食屋「ハングリーバグ」の女主人にして格闘技の達人。
カイマンの一番の親友でもある彼女、実は魔法使いの世界でも超レアな時を操る魔法使いなのであった。
これもキクラゲと同じ反則級の魔法である。
因果律を捻じ曲げて過去を改変してしまうのだからそれだけでもう強い、お手上げ。
どんな失敗もなかったことにしてやり直せる、リセットとコンティニューし放題だ。
しかしニカイドウ本人はこの魔法が原因で幼馴染を死なせてしまったことを悔い、長い間封印していた。
大いなる力には大いなる責任が伴うとだれかが言っていた。
煙の例を引くまでもなく、制御できず使い方を誤れば甚大な被害をもたらす。
物語の終盤、ニカイドウはこの魔法を駆使してカイマンとカスカベのピンチを救うのだが、幼馴染の死をひきずっていた彼女がカイマンとの友情をバネにトラウマを克服していく姿は感動的だ。
魔法使いだよ全員集合!『ドロヘドロ』
以上、独断と偏見で『ドロヘドロ』最強魔法3選を紹介した。
攻撃系では心、回復系では能井も強いのだが、この記事で取り上げた3人(もしくは2人と1匹)は規格外だ。
特にキクラゲとニカイドウは、本来不可逆的な現象を覆せる強みがある。
個人的には福山の「相手をミートパイに変える魔法」がエグい。
しかも食うのかよ。確かにミートだけど。
『ドロヘドロ』には他にもインパクトある魔法が登場するので、気になった人はぜひ読んでほしい。
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