湊かなえおすすめ小説10選+定番イヤミス4選【本当に読んでほしい作品はこれ!】

湊かなえおすすめ小説10選【イヤミスだけじゃない!】

大好きな作家である湊かなえのおすすめ作品を独断で10作品選んだ。

はじめて湊かなえの小説に出会った日の衝撃は忘れない。

本屋で平積みになった彼女のデビュー作『告白』は、ひとたびページをめくるともう止められなくなって、その日のうちに一気読みしてしまった。

『告白』に代表されるように、湊かなえ作品は読んだあとに嫌な気持ちになるミステリー「イヤミス」と呼ばれている。

今回は、イヤミス以外にもたくさんの魅力的な作品があることを知ってもらいたくてこの記事を書かせてもらった。

湊かなえとは

1973年広島県生まれ。2008年『告白』でデビュー以来、コンスタントに作品を発表し、数々の賞にノミネートされる。

作品の多くはテレビドラマ・映画化され、湊かなえ本人もテレビ番組に出演することも。

1996〜1998年に家庭科教師として青年海外協力隊でトンガに赴いたという、ちょっと変わった経歴があり、趣味の登山とサイクリングは作品にも活かされている。

『夜行観覧車』

高級住宅街で起きた殺人事件。エリート家庭の父親はリビングで殺され、次男の行方はわからない。

はたして事件の真相は?

高級住宅街に住む住人たちの歪んだ家族関係を描いたミステリー。

『告白』のような高いリーダビリティと、感情表現のリアルさはいかにも湊かなえ作品らしい。

もし、読者をイラつかせる登場人物ランキングがあるとしたら、本書の登場人物はTOP3に入るかも。

それだけ湊かなえの表現力は凄いんだと思う。

自分の立ち位置に不満がある人に是非読んでもらいたい。

読みどころポイント

高級住宅地に暮らす、一見全てに恵まれたように見える高橋家で父親が殺される。

被害者は父、容疑者はなんと彼の妻。残された夫婦の子供たちと、一家の向かいに暮らす家族が、真実を探し求める。

『告白』で一世を風靡した湊かなえが描く、家族を舞台にした事件小説である。

この作品の魅力はなんといっても、ハリボテの美しさの裏に隠れた人間の見栄と欲望をオブラートに包むことなく表現している様であり、それらが徐々に明らかになる過程を追いかけるゾクゾク感であろう。

本作が特に女性からの人気が高いのは、おそらく女なら誰もが理解できる「オンナの黒い本音」が詰まっているから。昼ドラのドロドロ感がお好きな方なら確実に楽しめる女流サスペンス小説である。

『夜行観覧車』の基本情報
出版社 双葉社
出版日 2013/01/4
ジャンル ミステリー
ページ数 384ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍

『往復書簡』

手紙のやり取りで進んでいく中編小説集。

久しぶりに再会した同級生同士で。恩師からかつての教え子へ。海外と日本の恋人同士で。

手紙・書簡は湊かなえ作品で多く使われるアイテムだ。

相手に届いてまた返事が返ってくるまでにタイムラグがあり、電話や動画のように相手の声も姿も見えない。

字面や文面からしか相手の状況を推測できないのは、たしかにミステリー小説向きのアイテムだ。

そして湊かなえは人に読ませるための手紙を書くのが巧い。

登場人物たちの人間性のリアルさに、あっという間に物語に入り込んでいける。

読みどころポイント

全編を通して手紙のやり取りをする形式で物語が進むのが新鮮で、また手紙だからこそ書ける登場人物たちの率直な思いや心情が迫り来るのが本作の特徴である。

短編が集まった形式でできており、長編小説に苦手意識がある方でも挑戦しやすい仕上がりとなっている。短時間でサクッと読書をしたい時に特におすすめしたい。

本作は湊かなえにしては珍しく明るいエンディングとなるため、後味の悪い作品が苦手な方にもおすすめだ。

『往復書簡』の基本情報
出版社 幻冬舎
出版日 2012/07/30
ジャンル ミステリー
ページ数 325ページ
発行形態 単行本、文庫

『花の鎖』

美雪と紗月と梨花、3人の女性の物語が交錯して繋がっていく、花の鎖のような物語。

Kとは一体誰なのか?
和弥の死の真相は?

ミステリーとドラマを同時に楽しめる作品。

この作品を読んだとき、「湊かなえってこんな作品も書けるんだ」と驚いた。

イヤミスが苦手な人には最初にこれを読んでほしい。

ミステリーの要素はちゃんとあるけど、それ以上に3人の女性の関係やそれぞれの人生ドラマに、最後はきっと清々しい気持ちになれると思う。

読みどころポイント

主人公は3人の若い女。タイトルになっている『花の鎖』は、この3人の女性を花に例え、彼らの人生が鎖のように絡み合う様を表したのであろう。

登場人物3人に合わせて時間軸が全編を通して前後し、またこの3人の関係性が物語後半まで語られないため、前半は非常に理解しにくく難解に感じる方もいるかもしれない。

しかし後半、全ての靄が一気に晴れるように全てが明らかになる爽快感が痛快である。

物語の随所に花にまつわる表現が散りばめられており、湊かなえの繊細な感性を感じることができる。時系列バラバラ作品がお好みの方もおすすめだ。

『花の鎖』の基本情報
出版社 文藝春秋
出版日 2013/09/03
ジャンル ミステリー
ページ数 357ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍

『サファイア』

宝石をモチーフにした短編集。

イヤミスというより、ちょっとだけホラー、ちょっとだけファンタジーといった印象の物語。

いわく付きの大きな宝石や、スズメの恩返し、何でも見透かしている飼い猫など、湊かなえの他のミステリー作品にはないような要素があって面白い。

ゾッとするようなラストの作品が多めだけど、「ルビー」や「ムーンストーン」は息抜きのようにホッとする作品だった。

最後の「サファイア」「ガーネット」は連作で、それぞれの石の色と同じように、全く違った色を見せてくれる。

読みどころポイント

湊かなえらしい「イヤミス」から、心がほっこり暖かくなるような作品まで、読むと様々な感情を得られる宝石箱のような作品だ。

7つの作品の中でも、目玉はやはりタイトルにもなっている「サファイア」、そしてその続編である「ガーネット」だろう。

「サファイア」を読んで消化不良に終わった方は、「ガーネット」まで読みきることで「サファイア」の真実も見えてくる。最後までじっくり読破しよう。

『サファイア』の基本情報
出版社 角川春樹事務所
出版日 2015/05/15
ジャンル ミステリー、ホラー
ページ数 320ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍

『望郷』

「白綱島」という架空の島を舞台にした短編集。

島で暮らす人たちの間で起きる事件や、人間関係を描いたミステリーではあるけど、読後感が爽やかなエピソードが多め。

湊かなえ自身が因島で育ったこともあり、島の独特な生活や人間関係がリアルに描かれている。

舞台になっている白綱島も、因島がモデルになっているようだ。

ひとつひとつの話は短いけど、どれも一捻り二捻りあって楽しませてくれる。

謎解きは苦手だけど、ちょっとだけゾクッとくるミステリーを読みたい人におすすめ。

読みどころポイント

本作は貫地谷しほり、大東俊介主演で映画化されている。普段読書の習慣がない方にも馴染みやすい一冊である。とっつきにくいと感じる方は、まず映画から見るのも良いだろう。

「日本の田舎に暮らす人々が田舎特有の慣習や家族に縛られ、諦めともつかぬもの悲しさを抱えて生きる様」が生々しく描かれており、人間の心の奥に潜むダークな部分に光が当てられている。

息が詰まるような生活に嫌気がさした時、この物語は過酷な状況下で暮らす多くの人々のことを思い出させてくれるだろう。

『望郷』の基本情報
出版社 文藝春秋
出版日 2016/01/04
ジャンル ミステリー
ページ数 293ページ
受賞 第65回日本推理作家協会賞短編部門受賞(収録作の「海の星」)
発行形態 単行本、文庫、電子書籍

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『豆の上で眠る』

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