ジャンルを問わず30年近位活躍を続ける作家・宮部みゆき。癖の少ない文体と読みやすさから、幅広い読者層に愛読されています。
今回は読書好きの方36名に最大5冊まで宮部みゆきのおすすめ作品を選んでいただきました。その結果をランキング形式でご紹介します。
目次
1位:火車
#第6回山本周五郎賞受賞
yurika
捜査の度に、何重にも重ねられたベールが剥がれていく展開にドキドキしました。また自己破産など社会の闇を映すことで、話にリアリティーが感じられます。宮部作品の中でも傑作と言い切れます!
みーにゃ
ミステリーとしてだけでなく、1人の女性として恐怖を感じながら一気に読みました。
彼女がどん底まで堕ち、全てを捨てて逃げ続けながらも求めた幸せは郁美のような人生だったのかもしれないと思うと、本間刑事が彼女を「君」と呼ぶに至る気持ちに共感でき、ラストに震えました。
ひかる(鶯)
分厚い文庫本ですが、息もつかせぬ展開に一気読み間違いなしです!
Hitoshi Tomiya
自分が読書好きに、そしてミステリー好きになるきっかけとなった1冊です。それにしても宮部さん、ミステリーなのに人を書くのがホント上手いです。疾走中の女性の人生や人となり、境遇を根気よく調べていき、徐々に真相が明らかになる過程ではページを捲る手を止められません。
そしてあのラストシーン、ミステリー史上最高のラストではないでしょうか。
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消してーなぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。(Amazon商品説明より)
ページ数 | 590ページ |
2位:ソロモンの偽証
#映画化
まさみ
クリスマスイブ、中学校の屋上から男子生徒が転落死。警察は自殺で処理しますが、後日関係者のもとへ「男子生徒は不良の大出に突き落とされた」と告発する手紙が送り付けられ…。
保身に走る教師や捏造も辞さないマスコミに代表される身勝手な大人たち。そんな彼らに対し、真実を追い求めて行動を起こす中学生たちの正義感と頑張りが印象的でした。後半では生徒たち主導の疑似裁判が行われ、本物の法廷劇さながら二転三転する展開に翻弄されます。不登校やいじめ問題にも切り込んでおり、ずっとひきこもっていたいじめられっ子が、鬱屈した本音を叫ぶシーンは涙なしには読めません。
中学生が仕切る法廷劇に興味がある方はぜひ読んでください。
ページ数 | 515ページ |
3位: レベル7
まさみ
都内のマンションの一室で目覚めた記憶喪失の男女。腕には「Level-7」の入れ墨が彫られています。部屋の中からは拳銃と五千万円が見つかり、自分たちが何かの事件に関与しているのではと疑った2人は、隣室のジャーナリスト・三枝に助けを求めます。
「レベル7まで行ったら戻れない」この言葉が鍵になる企みに満ちたミステリー。点と点が結ばれ、記憶喪失の男女の背景が次第に浮かび上がってくる構成に引き込まれました。2人をアシストする三枝もニヒルで頼もしいです。中盤以降発覚する2人の過去と意外な接点には、読者も驚愕を禁じえません。
巨大な陰謀に翻弄される登場人物たちの行く末をぜひ見届けてほしいです。
ページ数 | 665ページ |

4位:模倣犯
#第55回毎日出版文化賞特別賞受賞 #映画化
言わずもがな、映像化された作品の1つです。とにかく、最後までノンストップで読めます。初めて読んだのは、中・高くらいだったと記憶していますが、夜を徹して読んだ記憶があります。
エンターテインメント性が高く、文章が頭の中で映像化していく作品です。次々と出てくる犯人が本当に怖くて、本当にこういう人達が身近にいるんじゃないか、犯行までしなくてもそういう風に考えている人がいるんじゃないか、自分もそうなってしまうんじゃないかと思います。
宮部さんの作品を読んだことない人におすすめです。
墨田区・大川公園で若い女性の右腕とハンドバッグが発見された。やがてバッグの持主は、三ヵ月前に失踪した古川鞠子と判明するが、「犯人」は「右腕は鞠子のものじゃない」という電話をテレビ局にかけたうえ、鞠子の祖父・有馬義男にも接触をはかった。ほどなく鞠子は白骨死体となって見つかったー。未曾有の連続誘拐殺人事件を重層的に描いた現代ミステリの金字塔、いよいよ開幕。(Amazon商品説明より)
ページ数 | 584ページ |



5位:クロスファイア
青木淳子は念力放火能力(パイロキネシス)を持った超能力者。ある時淳子は不良グループに拉致されてきた青年を自分の力で助けます。しかし青年の恋人はまだ監禁されており、淳子が救出を引き受けることに…。
外道と呼ぶしかない凶悪犯罪者を超能力で懲らしめる、女主人公の生き様に痺れる小説。パイロキネシスの暴走を恐れ、世間から隠れるように生きてきた淳子が、被害者やその家族に代わり犯人に復讐することに意味を見出していく変化が哀しくも恐ろしいです。執念深く淳子を追跡する刑事との手に汗握る攻防も見どころで、炎渦巻くクライマックスのカタルシスは圧巻でした。
超能力と悪党退治が結び付いた小説を読みたい方は、ぜひ手にとってください。
ページ数 | 410ページ |
6位:理由
#第120回直木賞受賞
登場人物達のステイタス(欲)や自分の居場所を求める気持ち(家族のもつれた感情)に自分の気持ちと重なる部分がありとても怖かったです。
この本を読み終えた直後に「それでもあなたは家が欲しいですか?」と問われたら即答できなかったと思います。こんなに深く心に残る本が読めて幸せです。
東京都荒川区の超高層マンションで起きた凄惨な殺人事件。殺されたのは「誰」で「誰」が殺人者だったのか。そもそも事件はなぜ起こったのか。事件の前には何があり、後には何が残ったのか。ノンフィクションの手法を使って心の闇を抉る宮部みゆきの最高傑作がついに文庫化。(Amazon商品説明より)
ページ数 | 630ページ |
7位:ブレイブ・ストーリー
#映画化
小学五年生の亘は、成績はそこそこで、テレビゲームが好きな男の子。大きな団地に住み、ともに新設校に通う親友のカッちゃんがいる。街では、建設途中のビルに幽霊が出るという噂が広がっていた。そんなある日、帰宅した亘に、父は「この家を出てゆく」という意外な言葉をぶつける。不意に持ち上がった両親の離婚話。これまでの平穏な毎日を取り戻すべく、亘はビルの扉から、広大な異世界ー幻界へと旅立った!(Amazon商品説明より)
ページ数 | 468ページ |
8位:名もなき毒
杉村三郎シリーズの2作目。タイトルの”毒”は世間を騒がせた青酸カリ事件や、杉村三郎たちが飲み物に混入された毒物だけでなく、社会の悪も指しており、何とも壮大な話でした。1作目『誰か』にも言えますが、終わったとき何とも言えない虚無感があり、印象に残りました。
今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、質の悪いトラブルメーカーだった。解雇された彼女の連絡窓口となった杉村三郎は、経歴詐称とクレーマーぶりに振り回される。折しも街では無差別と思しき連続毒殺事件が注目を集めていた。人の心の陥穽を圧倒的な筆致で描く吉川英治文学賞受賞作。(Amazon商品説明より)
ページ数 | 584ページ |
9位:おそろし 三島屋変調百物語事始
三島屋の主人・伊兵衛は、居候中の姪・おちかを接待役とし、客を招いて怪談を聞く催しをひらめきます。伊兵衛がおちかに聞き手を勧めたのは、実家の旅籠で起きた事件で傷を負った、姪の気晴らしになればというのも一因でした。その後三島屋には次々と客が訪れ…。
宮部みゆきの時代小説、『三島屋』シリーズの記念すべき第1作目。語られる話はどれも恐ろしく、世間の冷たさや人の醜さが垣間見えて背筋が寒くなります。一方で義理人情のぬくもりや語り手の成長を感じさせる話も多く、聞き手を務めるおちかが怪談を通して自らを見詰め直し、過去を乗り越えていく姿が印象的でした。
江戸時代を舞台にした怪談が好きな方、おちかの成長を見守りたい方はぜひ手にとってください。
ページ数 | 489ページ |
10位:我らが隣人の犯罪
#オール讀物推理小説新人賞受賞
念願の新居に引っ越した「僕」の一家は、うるさく吠えまくる隣家の飼い犬・ミリーに悩まされていました。「僕」と妹はご近所トラブルに悩んだ末、信頼する叔父に協力を仰いでミリーを誘拐するのですが…。
収録作は日常の謎をメインに据えた小品ながら、読後にほっこり心が温まる話が多く、人情を重んじる宮部みゆきの美点が発揮されています。表題作はドタバタホームコメディにミステリーを足した作品で、「僕」とませた妹のコミカルなやりとりや、ユニークな叔父さんの存在感が際立っていました。思いがけない事件の顛末には「なるほど、そういうことだったのか」と唸らされます。
登場人物に親しみを感じられるミステリーを探しているなら、自信をもっておすすめします。
ページ数 | 253ページ |
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