日本の文豪と言えばこの人!35歳で若くしてこの世を去った天才作家・芥川龍之介。近年では文豪たちが異能力バトルを繰り広げる漫画『文豪ストレイドッグス』でメインキャラとして登場した影響もあり改めて作品に触れる方も多いのではないでしょうか。
今回は読書好きの方44名に、Twitter上で芥川龍之介作品の中のおすすめ作品を最大5作品まで選んでいただきました。その結果をランキング形式でご紹介します。
目次
1位:蜜柑
隅田川沿いでの生い立ちを反映した最初の小説「老年」、以後、芥川は多彩な短編小説、小品を織りなした。素朴な娘の愛情の表現に、憂鬱な感情を忘れる「蜜柑」、中国古典に拠った夢と詩情を描いた掌篇「尾生の信」…。愚ともいえる素朴で正直な人間にも、作者は優しいまなざしを向ける。芥川の佳作二十篇を選んで収める。
(Amazon商品説明より)
うぐはら
舞台は汽車の中。
車掌と揉め、 主人公の前の席に座っていた、みすぼらしい服装の小娘。
煙が車内に充満するのに、窓を開けようとするなど、失礼極まりない行動を取ります。
怪訝な目で見ていた主人公ですが、彼女が弟たちのために起こした、「ある出来事」によって、態度を見直すことになります。鍵となるのは、この一文。
「忽ち心を躍らすばかり暖かな日の色に染まっている蜜柑」。
美味しそうな蜜柑がある風景が、目に浮かんで来そうです。
2位:藪の中
わたしが搦め取った男でございますか?これは確かに多襄丸と云う、名高い盗人でございますー。馬の通う路から隔たった藪の中、胸もとを刺された男の死骸が見つかった。殺したのは誰なのか。今も物語の真相が議論され続ける「薮の中」他、「羅生門」「地獄変」「蜘蛛の糸」など、芥川の名作、6編を収録。(Amazon商品説明より)
原田龍一 - Ryuichi Harada
じっさい、この作品をどう解釈しても真相はわからない。
そこがまたおもしろい。
ケイ
伏見から山奥に入った藪の中で見つかった男の死体。
誰が殺した?
男が連れていた妻をてごめにした多襄丸か。
自らを辱めた男に懸想した女か。
もしくは行きずりの旅人か。
分かるのは理由だけ。
美しさがすぎる女がいたのだ。
1番恐ろしいのは書き上げた芥川の筆の冴え。
3位:羅生門
うち続く災害に荒廃した平安京では、羅生門に近寄るものもいなくなっていた。その楼上で、生活のすべを失い行き場をなくした下人は、死人の髪の毛を抜く老婆に出くわす。その姿に自分の生き延びる道を見つける…。文壇処女作となった「羅生門」をはじめ、初期の作品を中心に18編を収録。人間の孤独と侘しさを描いた名品の数々は、時代を超えて新鮮な驚きを読者に与え続けている。芥川文学の原点を示す、繊細で濃密な短編集。(Amazon商品説明より)
yurika
今思うと、怖さよりも、生きるために悪事を働かなければいけない、極限に陥った人間の描写が、秀逸だと感じます。
4位:地獄変
“王朝もの”の第二集。芸術と道徳の相剋・矛盾という芥川のもっとも切実な問題を、「宇治拾遺物語」中の絵師良秀をモデルに追及し、古金襴にも似た典雅な色彩と線、迫力ある筆で描いた『地獄変』は、芥川の一代表作である。ほかに、羅生門に群がる盗賊の悽惨な世界に愛のさまざまな姿を浮彫りにした『偸盗』、斬新な構想で作者の懐疑的な人生観を語る『藪の中』など6編を収録する。(Amazon商品説明より)
凪(読書垢)
まさに「地獄変」というタイトルが相応しく、最後の一文で突き放されるような気持ちは、ほかの小説からは得られないものだと思います。
ゆきやなぎ
上品な語り口で狂気に満ち溢れた物語を語る、確かに芥川龍之介らしいかもと思います。
語り手が主要人物でないので、主要人物が何を考えているのか分からないところにも謎と恐ろしさを感じます。
すごく面白くて、この作品から芥川にのめり込みました。
5位:蜘蛛の糸
生前の悪行のために地獄に落ちた犍陀多。しかし彼のたったひとつの善行を思い出したお釈迦さまは、 極楽から救いの糸をたらすが—。表題作「蜘蛛の糸」をはじめ、土を積み、風をはらみ、一気に山を下る憧れのトロッコに乗れた喜びも束の間、日暮れ の山道にひとり取り残されてしまった少年の不安を 描いた「トロッコ」、色彩感溢れる美しいラストシーンが印象的な「蜜柑」など、一度は読みたい名作短篇八篇を収載。(Amazon商品説明より)
紅葉@読書垢
どこにでもいるような男の子たちだけど、実は色んなものを抱えて、そしてそれを吐露して、聞いた子達は受け入れる。
ザ・青春小説だと思います。

6位:鼻
また、作品の元となった宇治拾遺集と比較すると、芥川作品が持つ暗さと、心情の描きかたがより際立っており、印象に残りました。
7位:河童
芥川が自殺した年に書いたものだということを踏まえて読むと、ユーモアのある中にも芥川の苦悩や寂しさを感じます。
読み終わったあとのなんとも言えない虚しさも含め大好きな作品です。
8位:歯車
ここに収めた三篇は,いずれも作者最晩年の代表作.『玄鶴山房』の暗澹たる世界は,作者の見た人生というものの,最も偽りのない姿であり,『歯車』には自ら死を決意した人の,死を待つ日々の心情が端的に反映されている.『或阿呆の一生』は,芥川という一人の人間が,自らの一生に下した総決算といってよい(Amazon商品説明より)
不安な、また不気味な象徴が次々に現れる。
ラスト、家に帰ってからの奥さんとのエピソードは事実だということも、この作品の暗さと重さを増している。
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かなり違和感のあるランキング。
『戯作三昧』が入っていないよ!
1位が『蜜柑』って?