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江國香織おすすめランキング30選!【リリカルな文章が紡ぐ、ユニークな人間関係】

江國香織おすすめサムネイル

繊細で美しい文章と、人の心の機微を鮮やかに描きだす物語で、多くの読者を虜にする女性作家・江國香織。

国語の教科書に載っていた『デューク』で、彼女を知った方も多いのではないか。

主に恋愛ものを手がけているが、他にも親子愛や家族愛に友情など、彼女が綴る人と人の繋がりの美しさには泣けてしまう。

今回はそんな江國香織の著作の中でも、絶対に読んで欲しい30作品をランキング形式で紹介する。

【恋愛・結婚】江國香織おすすめ7選

1位『冷静と情熱のあいだ(Rosso)』


#竹野内豊主演映画の原作

26歳のアオイは恋人のマーヴとともにイタリア、ミラノの高級アパートで暮らしていた。裕福で優しい恋人との穏やかな暮らし、誰もが羨む生活を手に入れたアオイ。

しかし彼女の心の中には、忘れられないかつての恋人、順正がいた。「あおいの30歳の誕生日に二人でフィレンツェのドゥオモに登ろう」10年前にした順正との約束。その日が迫る中、アオイのもとに音信不通だった順正から手紙が届く。

女性(アオイ)側の視点を江國香織が、男性(順正)側の視点を辻仁成が書き、2冊合わせて完成する形をとった物語。

女性視点の物語は江國香織ならではの繊細な女性の心理描写と、美しい言葉選びにより最高にお洒落な作品に仕上がっている。26歳という微妙な年齢の女性が、過去への未練と未来への期待感の間で揺れる様子が実に丁寧に、細やかに描かれる。

雨の日に読み耽りながら、センチメンタルに浸るのにぴったりな1冊。

2位『落下する夕方』


#原田知世主演映画の原作

8年同棲していた恋人・健吾に突如フラれた梨果のもとに、何故か健吾の意中の女性・華子が転がり込んでくる。普通ならありえない組み合わせだが、正反対の2人の生活は意外と順調で…。

江國香織ならではの奇妙な三角関係を軸にした話。華子のエキセントリックなキャラクターと最後の選択が強烈な印象を残した。

華子のように周囲をひっかき回すトラブルメイカーが身近に存在したらと考えると迷惑以外の何物でもないが、その常識に囚われない自由さに惹かれる健吾の気持ち、健吾を手放したくないが故に華子を受け入れざるえない梨果の流されやすさがリアルだった。

梨果が15ヶ月かけてゆっくり失恋していく話ともいえ、華子がある決断を下すラストの衝撃は忘れられない。

3位『東京タワー』


#黒木瞳主演映画の原作

売れっ子のCMプランナーを夫にもち、自らも都内一等地でセレクトショップを運営している41歳の詩史。

なんの不自由もない暮らしをしている幸福な人妻だった彼女は、ある日友人に連れられて現れた友人の息子の透と出会い、瞬く間に恋に落ちた。透の不倫について聞いた透の友人・耕司は、遊び心のままにバイト先で出会った人妻の喜美子を誘い、不倫の道へと踏み出していく…。

詩史と透、そして耕司と喜美子。2組の不倫の恋が平行して描かれる本作の特徴は、「対比」である。詩史を運命の人と疑わず、真っ直ぐに詩史を想う透と、それと対照的に周囲をも巻き込みながら破滅的に恋愛を楽しむ耕司。

どちらも同じ不倫ながら、その恋は全く相反するように見えるのが不思議だ。同じ禁忌を犯しながら、正反対の恋愛観を持つ男女。彼らを待ち受ける運命を描く物語。

4位『神様のボート』


幼い娘・草子の手を引いて、町から町へと引っ越しを繰り返す葉子の目的は生き別れた運命の人と再会することだった。駆け落ちまでした最愛の男性を忘れられず、根なし草のごとく放浪を続ける葉子を見て育ち、次第に嫌気がさしていく草子。

一生に一度の恋に生きる情熱家の葉子と、そんな母を疎ましがる現実主義の葉子の確執に引き込まれる。母であるより女として生きる道を選び、会えるかどうかはおろか生きているかどうかもわからない相手を捜し求める葉子の一途すぎる執念には、憧れと恐れを禁じえない。

運命の人の面影を追い続ける究極の恋愛小説であると同時に、親子が別々の方向を向き、異なる人生を模索する葛藤に焦点をあてた小説である。

5位『ウエハースの椅子』


優しく美しい既婚者の恋人がいる、自立した画家の女性が主人公。これもまた江國香織の十八番である不倫の話で、寂しさと不安から静かな狂気に侵されていく主人公の姿が印象的だ。

何不自由なく満たされているはずなのに、だからこそ不安になって自滅していく女性の心理が、一見メルヘンチックなタイトルに見事に集約されていて感心した。ウエハースの椅子には座れない。それは主人公が決して手に入れられず安住も許されない盤石の幸せをさす、皮肉な隠喩だったのだろうか。

ある種の共依存のような出口のない関係を描いており、幸せに溺れ、ゆるやかに絶望していく主人公の姿に哀愁が漂っていた。

6位『いくつもの週末』


いくつもの週末、デートを重ね、サラリーマンである夫と結婚した妻。

結婚生活も数年経てば、互いのいいところだけでなく悪いところも目に付くようになる。好きな音楽も食べ物も、好きな映画も本も、何もかも全然違う2人が共に暮らすことが結婚である。違うのが当たり前で、そして健全。何もかも一緒だったら、一体どんな風なんだろう。

夫婦のリアルな日々を綴った江國香織のエッセイ作品だ。きっとこのエッセイは、自分の妻がなぜあの時機嫌が悪かったのか、なぜあんな発言をしたのか、理解できず苦悩する夫に多くの学びを与えるだろう。そして夫の配慮のない(なく見える)行動の裏で、彼はどんな思考でいるのかを考えるヒントを悩める妻たちに与えてくれるだろう。

男と女は思考も感情も、そしてそれらへの対処法も全く違うのだ。結婚生活で難しい時期を迎えている全ての男女に読んで欲しい作品。

7位『赤い長靴』


結婚当初は完璧な相手と結婚したと思っても、十数年も経つと綻びが出てくるものだ。

言葉も気持ちも通じ合えない夫婦、逍三と​​日和子の会話は噛み合わず、2人でいるはずなのに互いにいつも独りぼっち。永遠に交わらないのに、それでも互いが必要で、失ったら壊れそうで、きっとずっとこのまま生きるのであろう。

とにかく残酷なまでに「夫婦の哀しみ」を細部まで洗い出したような、非常に後味の悪い読み物である。逍三は「無神経な男性像」を誇張したような男性で、悪気なく動く彼の行動が、そしてなんの気無しに紡ぐ彼の言葉が、妻の気持ちを逆撫でし悲しませる。

どう考えても一緒にいない方が幸せそうな2人なのに、どこかで互いに必要としているように見えるのが不思議だ。絶対に分かり合えない男と女の関係の真髄を書いたとも言える1冊。

【家族・ホームドラマ】江國香織おすすめ4選

1位『きらきらひかる』


#薬師丸ひろ子主演映画の原作

江國香織を一躍人気作家に押し上げた評価の高い一冊。

アルコール依存症の笑子と結婚したゲイの睦月、その大学生の恋人・紺の、恋愛とも友情ともいえない奇妙な三角関係を軸に新しい夫婦と家族のかたちを描いている。早く子供を望む周囲のプレッシャーに苦しむ笑子をパートナー兼理解者として献身的に支える睦月、そんな彼らを温かく見守る紺。男女間の愛情とはまた違った、プラトニックな疑似家族の絆が素敵だった。

同性愛者の偽装結婚ものというと些か即物的に聞こえるが、笑子・睦月・紺、三位一体の共同体を見守る作者のまなざしは肯定的だ。笑子は最終的に3人の子供を欲しがるのだが、これは性愛をこえて男女が結ばれるホームドラマである。

同性愛描写もあるが生々しさは皆無で、睦月と紺のふれあいにはイノセンスな美しさが光る。「紺の背骨はコーラの匂いがする」など、印象的なセリフにも注目してほしい。

2位『流しのしたの骨』


ある6人一家の日常を描いた物語。主人公のこと子は夜の散歩が趣味の19歳で、実質ニートのような生活をしている。

刊行当時はニートの概念すらなかったので、ようやく時代が追い付いた感さえある。しかし宮坂家では20歳までは何をしてもいい独自のルールがあるため、こと子の生活態度をうるさく咎めるものはいない。

ある意味風通しがいい家だが、家族だからこそ心配し合い、また多かれ少なかれ干渉せずにはいられない窮屈さや面倒くささと無縁ではいられない。傍から見ればちょっと変わっているけど、必ず味方でいてくれる親兄弟の絆にしんみりすると同時に、わずらわしさと愛しさが紙一重な家族の本質を突いた話である。

不穏なタイトルにぎょっとするが、これは西洋の慣用句であるスケルトン・イン・クローゼット、すなわち「衣装棚の中の骸骨」にちなんでいる。どんな幸せそうな家庭にも他人にもらせない秘密があるという意味で、ユニークなメンツが揃い、なんだかんだ上手く回っている宮坂家にも『流しのしたの骨』のように皆が知らんぷりする不穏さがほのめかされているのが印象的だった。

3位『抱擁、あるいはライスに塩を』


立派な洋館に暮らす柳島家には他の家と違うさまざまな理念があり、皆がそれに従って生きている。例えば子供は学校に通わず家で教育を受けるのだが、あるきっかけで突然子供は学校へ行くことに。そこで子供たちは、自分の家がよその家とは「違う」ことを知る。

家族の時間は時代とともに流れ、形式もそれぞれの役割も当たり前に変わっていく。誰もが経験することであると同時に、幸せな毎日も確実に変化していくのだということを伝えてくれる作品である。最後に明かされるこの家族の秘密を知った時、家族の全体像が明らかになり、なんとも言えない切なさと物悲しさが心に残る。

奇妙なまでに風変わりな家族を描いた、時代小説のような雰囲気を纏った物語

4位『金平糖の降るところ』


日系アルゼンチン人の姉妹、佐和子とミカエラは、常に恋人を共有する人生を送ってきた。しかし達哉の共有を佐和子が拒んだことをきっかけにこの関係は崩れ始める。そしてミカエラは他の男の子を身篭り、アルゼンチンへと帰国する。

家族という関係、深い愛情、さまざまなもので繋がっているのに、新たに別の関係も繋ぎ始める人たち。そんな彼女らが向かっていく先とは…。

姉妹は多くのものを共有して育つ。両親、友人、そして幼少期の記憶。江國香織は本作について、「人が人を共有しあっていることの不思議さ、面白さを描いてみたかった」と述べている。

国を超え、時を超え、変わっていく人と人とのつながりの形を描いた物語。

【青春】江國香織おすすめ3選

1位『ホリー・ガーデン』


女らしく愛嬌があり、男からの人気も高い果歩。実直で努力家、夢に向かって着実に進む静枝。どこからみても正反対のふたりは親友だった。

外から見ると、一見仲の良さを理解されにくい2人は、それぞれの生き方を羨ましく思いつつも自分の生き方を肯定している。だって私たちはいつも、頑張って生きているのだから…。

女性の友人関係は複雑だ。共通点を見つけて喜ぶくせに、相手が自分よりも優れていると腹が立ったり、自分が惨めに感じられて悲しくなったりもする。

しかしこの2人の関係性はまさに理想に見える。「本当の友情ってこんな感じなのかな」「相手を思いやるってこういうことなのかな」、そんな気持ちが湧いてくる。

友人との付き合い方について考えさせられる1冊。

2位『彼女たちの場合は』


14歳と17歳。思春期真っ只中の礼那と逸佳は、ニューヨークの郊外に暮らす従姉妹同士。そんな2人の少女は「アメリカを見る」ため、2人きりの旅を計画する。

アムトラック(長距離を繋ぐアメリカの電車)やバスを使い、東から西へと渡る道中、2人は多くの人々と出会い、そして別れが訪れる。若い少女たちの視点から見る、出会いと別れの物語。

旅の途中で2人が出会う人々のユニークさが本書の魅力だ。愛すべき彼らは若い少女たちに、人生を考える「きっかけ」を与えていく。少女たちの目を通して、読者も登場人物たちから多くの学びを得ることができるのだ。

またこの本は、読者の置かれている立場によって、大きく見えかたが変化する作品でもある。あなたが今高校生なのか、就職したばかりなのか、それとも礼那と逸佳くらいの年齢の子を持つ親なのか。歳を重ねて読み返すと毎度新たな発見を与えてくれる作品だ。

3位『いつか記憶からこぼれおちるとしても』


10人の女子高生を巡る、切なくてリアルな物語を集めた短編集。恵まれた環境で育った少女が多く集まる女子高で、同じクラスに所属する10人の生徒たち。少女から女性へと成長する過程にあり、日々万華鏡のように変化していく彼女たちの物語。

題名である「いつか記憶からこぼれおちるとしても」の通り、この作品に登場する場面は少女たちの激動の青春時代のほんの小さな1ページの出来事であり、きっといつか当人達の記憶からもこぼれ落ちていくものであろう。そのくらい、1つ1つの出来事は些細なことなのだが、育った環境がいかに彼女達の価値観や思考に深い影響を与えているのかがよく描写されている。

良くも悪くも大人になると、人は自分や他人を守るために鈍感になり強くなっていく。大人になりきっていない彼女達の繊細な心の動きは、大人になってしまった読者に物事の真理を問いただしてくるように感じることだろう。

【女性の生き方】江國香織おすすめ2選

1位『思いわずらうことなく愉しく生きよ』


#真木よう子主演ドラマの原作

「人はみないずれ死ぬのだから、そしてそれがいつなのかはわからないのだから、思いわずらうことなく愉しく生きよ」それが犬山家の家訓である。

そしてそんな犬山家には三人の娘がいる。DV夫を持ち、彼から離れようとはしない長女の麻子。低収入の恋人と同棲中のバリキャリ、次女の治子。誰彼構わず寝まくるが、実は一番現実主義な事務職の三女、育子。三者三様の悩みを抱え、共有し、共に人生を全力で生きる女たちの物語。

NHKドラマ『カレ、夫、男友達』の原作小説。この物語に登場する3人の主人公たちは、簡単に要約すると上記あらすじの通りなのだが、数行の文章ではとても表現することができない複雑さと繊細さ、強さを内に秘めている。

本書を読んだ女心に疎い男性たちは、女性の複雑と難しさを思い知らされ愕然とすることだろう。女性の心理描写に長けた一冊だ。

2位『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』


9人の女性達の日常を描いた小説。主婦、編集者、モデル、花屋のオーナーなどそれぞれ職をもち、自由であり自立した彼女達は、何気ない日常の中で恋と向き合い、戦い、そして癒される。

時代が変わっても女性が自立しても、恋はいつも彼女たちの毎日を彩り、幸福をもたらす。時には孤独を運んできたり、彼女たちを絶望に追い込むことも…。そして9人の人生は交差し絡み合い、また別の方向に向かう。洗練された大人の女性たちの物語。

この物語に登場する女性たちは皆、独自の魅力を持つ現代的で賢い女たちだ。劇的な展開やとんでもない事件が起きることはないのだが、何がいいって彼女たちは「自分のために最良の選択を、自分の意思で選ぶことができる」女たちなのである。

こんな風に行きたい、彼女のここがステキ、そんな感情がきっと湧いてくる、女性に元気を与える、ビタミン剤のような読み物だ。

【童話・ファンタジー】江國香織おすすめ3選

1位『すいかの匂い』


小学生の女の子たちの目線で夏に体験した不思議な出来事を綴る短編集で、ノスタルジックな読後感に童心が甦る。

江國香織の初期作にあたり、ややマイナーな位置付けではあるが、カップアイスの木匙の味や、すいかの水っぽい味が舌にこみ上げてくるような、五感に訴えかける描写力は圧巻の一言に尽きる。読んでいる間中、夏のじっとりした蒸し暑さや夕べの涼しさ、夜の気だるいぬるさが纏わり付いていた。誰もが夏休みに体験した断片を思い出して、懐かしさに包まれるのではないか。

本作に出てくる女の子は引っ込み思案で人間関係がうまくいかず悩んでいたりと、寂しさや孤独感、漠然とした不安をもてあましている。そんな彼女たちの夏の一日を切り取ることで、決して幸福で輝かしいだけではなかった子供時代の残像が、忘れられたかげろうさながらに読者の中に立ち上がって共感と郷愁をかきたてるのだ。水っぽく溶けくずれたすいかの淫らな匂いが宵の中にたゆたうような、独特の読み心地を約束する短編集である。

2位『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』


言葉の発達が少し遅れている拓人は、大人の言葉が理解できないことがある。その代わり拓人は、「人が発するもの・場の空気感」を色彩や音から感じとることができる。

そんな拓人を取り巻くのは、家族よりも恋人を優先する父と、そんな父を待つ生活に疲れ切った母、そしてしっかり者の姉。大人たちの世界はこんなにも現実感に満ちているのに、拓人の目に映る世界は瑞々しい色に満ちていて美しい。読めば世界の見え方を変えてくれる、ありのままの姿の美しさを描いた作品だ。

大人になった今はもう見えなくなってしまった世界を、拓人の目を通してもう一度見ているような感覚に浸れる物語である。仕事や家庭、現実に疲れ切った時、あなたを疲れさせている原因は、もしかするとあなたの目にそう映っているだけなのかもしれない。

トトロが子供にしか見えないように、大人には見えないものって他にもあるのかもしれないと思えば、きっと世界はもっと美しく見えるはずである。

3位『すきまのおともだち』


針仕事を生業とする「おんなのこ」は、庭のレモンでレモネードを作り、古びたお皿とともに暮らしている。道に迷って帰ることができなくなった新聞記者の「わたし」は、彼女たちにもてなされることになるが…。

まるで『不思議の国のアリス』のアリスが井戸に落ちて不思議の国に迷いこむように、『となりのトトロ』のメイちゃんが木の穴に落ちてトトロに出会うように、童話では「落っこちて不思議な世界に入り込む」描写がよくみられるが、本作にもそれらと同様の不思議さと素敵な世界観が漂っている。

こみねゆらさんの挿絵も華を添える、美しい異世界の物語。童話を読むように読んで欲しい1冊だ。

【日常】江國香織おすすめ2選

1位『間宮兄弟』


#佐々木蔵之介主演映画の原作

ともに30代で同居中の間宮兄弟は、恋に不器用で人付き合いも不得手。一緒に映画に行ったり夜の公園で紙飛行機を飛ばしたり、成人した男兄弟のなんでもない日常をメインにした小説である。

読んでいるうちに少し間抜けでドジもやらかす間宮兄弟のトホホさが、どんどん愛しくなっていく。恋愛に奥手なせいで空回り失敗もするが、そんな時もお互い支え合って前を向く姿が微笑ましく心がぽかぽかしてくる。しょっぱいエピソードも2人なら乗り越えられる謎の安心感があって、読み心地のよさに繋がっていた。

作中に散りばめられた、昭和を感じさせるレトロな風俗描写もポイント。キラキラした美青年が多く登場する江國香織作品の中で、30代の非モテ男子を主人公に据えた本作は、ままならない日々に躓きながら懸命に生きる私たちの目線に寄り添って元気を与えてくれる。一風変わった間宮兄弟の生き様をぜひ覗いてほしい。

2位『ホテルカクタス』


町外れに佇む、古めかしいアパート。その名は「ホテルカクタス」。そこに住んでいるのは帽子、きゅうり、2という名前の、それぞれちょっと変わった住人たちだった。何気ない日々に潜む幸せと安心感を感じとることができる、ちょっと切ない物語。

ホテルカクタスの住人たちは、「いつでもここにある安心感」と「無謀さへの憧れ」の間で揺れながら暮らしている。

読み終わった後、この世にはこんなにも素敵なものが溢れているんだ!と、思わず毎日に感謝の気持ちが湧いてくるに違いない。

【エッセイ】江國香織おすすめ6選

1位『都の子』


彼女が旅した外国で見聞きした物事、こまごました日常のエピソードが綴られている。江國香織のプライベートが知りたいファンは買って損がない。どの文章も非常に純度が高く研ぎ澄まされており、旅先に持っていくおしゃれな掌編集としてもおすすめしたい。

比喩力と表現力が素晴らしく、フィジカルな感覚を言葉に結び付ける発想の自由さには脱帽した。ホットチョコレートにチュロスにアイスクリームなど、おいしいものがたくさん取り上げられているので食いしん坊にもおすすめだ。

幸せに包まれた幼き日々の記憶が照らす欠片たちは、どのページから摘まみ読みしても楽しめ、一口サイズのチョコレート缶のような贅沢な仕上がりになっている。余談だがタイトルは、英国の詩人アルフレッド・テニスンの同名詩集からとられている。

2位『日のあたる白い壁』


江國香織が出会ってきた世界中の名画、それらを世に送り出した23人の画家たちについてのエッセイ集。

「もし私に美しい絵をかく力があったら、この本をかくことはなかったと思います」と述べる江國香織は、文章を通して名画への想い、憧れ、そして少しの嫉妬を書いている。

本エッセイの見どころは、絵画に対する江國香織の感想の豊かな表現力に尽きる。美術館の鑑賞の仕方は人それぞれであるが、著者の感想をなぞりながら絵を鑑賞できたらどんなに楽しいだろうと思わせてくれる。

「こっくりした黄色」「見るものを、誘うというより、受け入れる青」など、文章の先に色彩が浮かんでくるような表現は、あなたの絵画への関心を深め、作品をより美しく見せてくれることだろう。

3位『とるにたらないもの』


江國香織が好きなもの60選について綴られたエッセイ。

「ケーキ」「塩」「お風呂」などのモノから、「なかなか暮れない夏の夕暮れ」などの情景まで多岐に渡り、彼女が世界をどう見ているのかを覗き込んだような感覚に浸ることができる。とるに足らないような日常に溶け込むモノや光景へ、江國香織が向ける愛情が詰まった1冊。

彼女の「好きなもの」に対する愛は、豊かな文章力・表現力を以て読者に瑞々しく伝わってくる。

こんなにも愛を明確に表現できる力には思わず嫉妬してしまいそうなくらいで、感じる力が豊かであれば、きっと世界は何倍にも美しく見えるのだろうと思わずにはいられない。

4位『雨はコーラがのめない』


江國香織の飼い犬であるオスのアメリカン・コッカースパニエルの「雨」と共に著者が楽しんだ音楽についてのエッセイ集。

雨が2歳から6歳までの4年間の歳月について綴られており、何気ない毎日が過ぎていくだけのようで、雨が雨なりに成長している様子が窺える。

犬との平和で何気ない日常は癒しを与えてくれるので、犬好きの方なら特に共感できるポイントも多いだろう。

この作品には多数の楽曲が登場し、場面場面の情景を素敵に飾っており、洋楽がメインで取り上げられている。日本でも人気の名曲から、かなりマニアックな曲まで彼女の好みが色濃く出ている。曲を調べながら、聴きながら、本エッセイと共に楽しむのがおすすめだ。

5位『泣かない子供』


子供時代は誰にとっても特別である──。子供時代とはなんなのか。まだ大人になりきれていない不完全な時代でありながら、その不完全な部分が何かを著しく損なう一方、特別さを与えてくれる。誰もが必ず経てきた子供時代について、江國香織の感性がその美しさと尊さを語りかける。

江國香織が8年間書き溜めたエッセイをまとめた初期の作品集。小説的なものから随筆的なものまで、文体も様々。

江國香織の魅力である「日常に潜む輝きを拾い上げ、その豊かな表現力で読者に正確に伝える技術」が全面に押し出されている、著者の力量を感じる作品だ。

6位『物語のなかとそと』


江國香織自身にまつわるエッセイ集。

日々読み、書き、散歩をして長めのお風呂に浸かり、旅に出る。まるで夢の中を漂いながら生きているような彼女の人生をたどり、その繊細な少女のような感性がどこからやってきているのかを紐解く。

本作を通して江國香織は、彼女の感性の尊さを見せつけると共にそれを読む人に軽い絶望を与えた。「同じものをみても江國香織ほど豊かに物事を感じることができない自分」を、この本は思い知らせてくれるからだ。

本書はふと日常で感じること、例えば、「冬の朝の澄んだ、体に染み渡るような空気」や「知らない駅で降りた時にふと感じるなんだか懐かしいような気持ち」を、自分ならどんな言葉で紡ぐことができるだろうと考えるきっかけをくれる。感覚を言語化するためのほんの少しの努力は、我々の人生をどこまでも美しく見せてくれるのだ。

【短編集】江國香織おすすめ3選

1位『号泣する準備はできていた』


#第130回直木賞受賞

江國香織の作品の中では大人向けに属する。殆どの登場人物が性愛の悩みを抱え、不倫や不毛な恋のまっただ中でもがいている。過去の恋人を忘れられなかったり、あるいは手に入らないものを欲しがったり、現在の生活に満たされず寂しさや不安をもてあました登場人物たちが、静かにその感情の水位を上げていく展開に引き込まれる。

タイトル通り号泣する準備を整えていく話ともとれ、感情が激発する寸前の、色々な痛みや寂しさがこみ上げていく過程を丁寧に描きだす。読後感は総じてビターテイスト。ある程度恋愛経験がある読者だと他人事とは思えず、狡くて愚かで愛おしい登場人物たちに一層感情移入がはかどりそうだ。

風景や食事と心理描写を絡めるのがとても上手く、おしゃれなディナーや絶品のお酒も、罪悪感や後悔、喪失感のスパイスで少ししょっぱくなりそうだった。

2位『つめたいよるに』


国語の教科書に掲載された『デューク』も収録されている短編集。死んだ飼い犬がハンサムな少年に化けて最後のお別れにきたり、平凡なコンビニバイトのクリスマスイブを優しい目線で綴ったり、江國香織の筆にかかると私たちのまわりに転がるありふれた日常が特別な奇跡に生まれ変わる。

本作に登場するキャラクターは人も人ならざるものも皆優しくて、少しへんてこだ。そのへんてこさがたまらなく愛しくて、幸せな気持ちで本を閉じることができた。サムライの幽霊である草之丞と女優の間に生まれた男の子が語る『草之丞の話』、仲睦まじい老夫婦の一日を追った『晴れた空の下で』など、家族愛や夫婦愛を掘り下げた話には目頭がじんわり。

全体的に常識のレールから少し外れた関係性を取り上げた、すこしふしぎな話が多い。文体も読みやすく、活字に慣れていない十代の読者におすすめしたい。

3位『ぬるい眠り』


9つの短編からなる短編集。

1話目の「ラブ・ミー・テンダー」は、老いた両親が「今度こそ本当に離婚する」と言い出すことから始まる。不可解な言動を繰り返す母親と、そんな母を心配する娘の関係を描いている。

2話目はタイトルにもなっている「ぬるい眠り」だ。妻と別居中の自称芸術家である耕介さんと不倫の恋に落ちた雛子は、すぐに彼の家に転がり込み同棲状態になるが、耕介さんの妻が戻ってくることになるとあっさり別れることになってしまう。しかし物理的な距離が離れても彼女の心は耕介さんから離れることはできなかった…。

『きらきらひかる』の続編である「ケイトウの赤、やなぎの緑」も含まれているので、『きらきらひかる』が気にいった方にはぜひ手にとって頂きたい1冊である。

人間関係、それも男と女の関係(恋愛関係に限らず)を実にリアルに描いている一方で、一人一人が自己中心的だったり複雑すぎたりと、理不尽さが各所に見られるので、得意な方と苦手な方が別れる作品だろう。

一話一話が短く、サクサク読み進めることができるので、江國香織初心者にもおすすめだ。

おわりに

江國香織特有のセンシティブな文章が紡ぎだすキャラクターの生き様は、滑稽で愛しくて、一般の常識や道徳から外れる行いをしていても不思議と純粋さを失わない。

興味を持った方は、ぜひこの記事で紹介している本やその他に刊行されている本に触れてほしい。

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