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『四畳半タイムマシンブルース』あらすじと感想【宇宙を滅ぼす!?迂闊に始まるタイムトラベル】

『四畳半タイムマシンブルース』あらすじと感想【宇宙を滅ぼす!?迂闊に始まるタイムトラベル】

過去に戻れたら。

未来を覗けたら。

そんなことを誰もが考える。

しかし、彼らがタイムトラベルをする理由は、エアコンのリモコン!?

こんな人におすすめ!

  • SFっぽい物語が好きな人
  • 不思議な世界観が好きな人
  • 愉快なファンタジーが好きな人

あらすじ・内容紹介

ことの始まりは「私」の悪友・小津(おづ)がエアコンのリモコンにコーラをこぼしたことからであった。

「私」の下宿・下鴨幽水荘(しもがもゆうすいそう)で唯一エアコンのついている部屋の「私」の部屋のエアコンは、小津のせいで死んでしまった。

エアコンのお通夜を樋口(ひぐち)師匠と済ませたのち、明石(あかし)さんの映画の撮影の手伝いをすることになった「私」と小津は、サークルの先輩の城ケ崎(じょうがさき)と撮影に挑む。

無事に映画を撮り終えた一行が「私」の下宿で休んでいると、明石さんがおかしなことに気づく。

映画の編集作業をしていた明石さんが「私」に見せたのは、画面に映る2人の小津であった。

時を同じくして、下鴨幽水荘のガラクタだらけの廊下で見つかったのはどう見てもタイムマシンであった。

これは本物のタイムマシンなのか?

試しにダイヤルを昨日に合わせ、小津を乗せてみると瞬く間に小津は消えてしまった。

未来人の田村くん(通称・モッサリくん)の登場に、樋口師匠のヴィダルサスーンを盗んだ人は誰?

「私」の部屋のエアコンは復活するのか!?

てんやわんやのタイムトラベル喜劇(コメディ)の開幕!

『四畳半タイムマシンブルース』の感想・特徴(ネタバレなし)

過去へ行くことへの憧れ、未来へ行くことへの期待

「私」、小津、樋口師匠、明石さん、羽貫(はぬき)さん、城ケ崎先輩の6人の前に現れたタイムマシンを前に、口をそろえて言うのが「未来が見たい」というセリフだった。

あなたは目の前にタイムマシンが現れたらどうするだろうか。

過去へ行ってあの出来事を清算する?

思い人への告白をして、本懐を遂げる?

それとも未来へ行って将来の旦那さん、もしくは奥さんを会いに行く?

お金持ちになっているか、平凡に暮らしているか見に行く?

あなたは過去へ行くことにどんな憧れを抱き、未来にどんなことを期待しているのだろうか?

過去のとあることを清算すれば、今の自分がどんな風に変わっていることに憧れているのだろう。

未来へ行き、起こりうることを見て、聞いて、そこに何を期待しているだろう。

未来へ行こうとした途端、羽貫さんがぽつりと言う。

「自分が死んでいるとキツイよね、さすがに」

あなたがタイムマシンで未来へ行ったとき、その未来に自分がいなかったら。

その未来を知ってしまったら、あなたはどうするだろうか。

私たちは過去に何を求めているのかと言ったら、よりよい思い出だ。

じゃあ、未来に求めているものは?

自分に対してのよりよい将来のはずだ。

けれどそこに自分がいなかったら。

求めているよりよい将来に自分がいなかったら。

タイムマシンというもので、そんな現実を突きつけられることを想像したら、この物語は喜劇(コメディ)のはずなのに、ぞっとしてしまった。

未来は変えられるとか、将来は明るいとか。

おそらく未来というものは、そんな単純のものではないのだ。

私が今ここで何かを選択した時点で、着実にその選択をした上での未来はやってくるわけで。

羽貫さんの言葉がずしりとくる気がする。

が、しかし、ここの登場人物たち、羽貫さんのこの言葉があるまで何にも考えちゃあいない。

まだ見ぬ未来を誰よりも先じて目撃する。それこそ醍醐味というべきであろう。

なんてぬかすものだから、あぁ、やっぱりこれは喜劇(コメディ)であって、私がここまで感じていた深刻さを返してほしいものである。

過去の「私」たち、未来の田村くん

タイムマシンが「私」たちの前に現れたそもそもの元凶は、25年後の未来から来た「田村」という青年にある。

彼は、未来で理工学部がタイムマシンの実現可能性について語り出したのをきっかけに、

学生たちは貴重なサマータイムを費やして部品集めに奔走し、帰省すべきところを帰省せず、大学院生の指揮にもとコツコツとタイムマシンを組み立てていった

のだ。

新入生だった田村くんは、新入生だったが故にタイムマシンの実験台にされてしまう(本人は何とも思ってない様子)。

私なら断固拒否して乗らないタイムマシンに(だって何の保証もないんだもの)、田村くんは易々と乗り過去へやって来る。

見上げた根性である。

田村くんは然したる目的はなく過去へやってきたのだけれど、未来の京都で大学生をしているため、過去の京都に興味が湧き、タイムマシンを置いて探索へ出かける。

あわよくば、若いころの両親に会いたいと思いつつ。

が、田村くんが下鴨幽水荘にタイムマシンを置いていってしまったがために「私」たちに事件が起こる。

本物か、偽物か。

タイムマシンを目の前にした「私たち」は小津を試しに過去へと送り込むことにする。

つまり、本物のタイムトラベルだと信じるに値することが目の前で起きるかどうか。

実際、起きてしまったのだが。

「師匠ならびに皆様方。長い歳月、まことにお世話になりました。不肖この小津、たとえ時空を隔てましても、この恩義は決してわすれまい」

まあ、読む限り小津に恩義を感じるようなことは何もないのだけど。

もう、そこからてんやわんやが始まってしまうのだから。

過去や未来に行けることが分かったのなら、使わないことにはもったいない。

じゃんけんで樋口師匠(常識なし)、羽貫さん(ことによっては暴走する)、小津(そもそも常識ってなに?という人間)が、昨日へ飛ぶことになる。

読者にも「私」にも分かる。これは最悪の布陣であると。

未来の自分が過去の自分を追いかけて、追いかけてはいるけれど追いついてもいけない。

「過去を荒らしてはいけません!」

明石さんの言葉が響く。

過去に干渉することできたとして、未来を変えることって可能なのだろうか。

右に曲がるところを左に曲がるように仕向けたとして、そんなちょっとのことで未来って変わるものなのだろうか。

そんなことを考えながら読むと、さらに楽しいかもしれない。

過去は過ぎ去り、未来は未だ来ず?

小津や樋口師匠、田村くんの活躍(?)のせいで目茶苦茶になりつつある過去の辻褄を合わせようと、必死になる「私」と明石さん(羽貫さんはいったい過去や未来をどうしたいんだという動きをしていた)。

最終的に2人の頑張りで、過去と未来の辻褄は合う。

その辻褄の合わせ方がなんとも奇妙かつ、伏線が最初からまるでミステリのように回収されていくので、なんとも気持ちがいい。

事が終息し、無事に田村くんも未来へ帰宅したところで、みんなで打ち上げに行こうという話になる。

お店に向かいながら歩いているとき、明石さんは「私」に言った。

「時間は一冊の本みたいなものだと考えてみたんです」

こんな風に明石さんはつづける。

「それが過去から未来へ流れていくように感じるのは、私たちがそのようにしか経験できないからなんです。たとえばここに本が一冊あるとしたら、私たちはその内容をいっぺんに知ることはできません。一枚ずつ頁(ページ)をめくって読むしかないんです。でもその本の内容そのものは、すでに一冊の本としてそこにある。遠い過去も遠い未来もすべてが……」

そう考えてしまうと、少し悲しいような、寂しいような気持ちになる。

この先に起こりうることも、自分が今まで体験してきたことも、それはすべて本の中に書かれていて、何もかもが決まった通りにしか起こらないとしたら。

例えば夕飯に食べようと思っているハンバーグも、本の中にはあなたがハンバーグを選ぶことが書かれているとしたら。

なんだか息苦しいような、窮屈のような、決まっている未来なんかに進みたくないという思いに駆られる。

けれど、明石さんはこうも言う。

「でも未来のことなんて私たちは何も知らないわけですから。何にも知らなければ何でもできます。つまりそれは自由ということではないでしょうか?」

知ることもできない未来は限りなく自由で。

未来は知らないからこそ自由で。

過去とは過ぎ去ったもの、未来は未だ来ていないもの。

「私」はきっと、明石さんや小津や樋口師匠や羽貫さんがいる今を噛み締めたに違いない。

タイムマシンが現れたからこそ、きっと「今」を大切にしようと思うはずだ。

まとめ

タイムマシンは人類の夢の1つでもある。

過去へ行きたい、未来を覗いてみたい。

人間の様々な願望を叶える代物になるかもしれない。

けれど、この小説を読めば未来は知らない方がいいと分かるとともに、過去は変えられなくても私たちは生きていけることも自覚できる。

結局のところ「今」に集中し、「現在」を大切にすることがいかに重要かを思い知らされるのだ。

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