機械生命体〈ロイミュード〉の完全な撲滅から2年後。
かつて〈仮面ライダーマッハ〉としてロイミュードたちと戦い抜き、とある決意を胸に国外へと旅立った青年、〈詩島剛(しじま ごう)〉。
2年ぶりに帰国した彼を待っていたのは、2年前に共に戦い抜いた仲間たち。
そして、かつてのロイミュードの犯罪を思わせる、不気味な大規模停電だった…。
2号ライダー・仮面ライダーマッハを主役に置いた、『仮面ライダードライブ』の正統続編。
目次
こんな人におすすめ!
- 刑事物が好きな人
- 特撮ヒーローが好きな人
- 仮面ライダードライブと、その関連作品を全て視聴した人
あらすじ・内容紹介
人間によって生み出され、人間を超えるため人間に牙をむいた機械生命体〈ロイミュード〉。
そしてロイミュードの開発者にして、諸悪の根源であった悪魔の科学者〈蛮野天十郎(ばんの てんじゅうろう)/ゴルドドライブ〉が滅び去ってから、2年が経った。
当時、蛮野の息子として父親と決着をつけるために〈仮面ライダーマッハ〉に変身して戦った青年、〈詩島剛〉。
戦いの最中に失った友(ダチ)、〈チェイス/仮面ライダーチェイサー/ロイミュード000〉を蘇らせるため世界を放浪していた彼は、2年ぶりに日本へと帰国した。
共にロイミュードと戦った特状課の刑事〈泊進ノ介(とまり しんのすけ)/仮面ライダードライブ〉と、剛の姉にして同じく特状課の刑事だった〈詩島霧子(しじま きりこ)〉の結婚式に参列した彼を待っていたのは、かつてロイミュードが起こした〈暗黒の聖夜事件〉を思わせる大規模停電だった。
更に、2年前にロイミュードと結託して罪を重ね、特状課に逮捕された犯罪者たちが何者かによって解き放たれる。
事件の裏に潜むのは、何者なのか?
そして、詩島剛は再び仮面ライダーマッハに変身できるのか。
『仮面ライダードライブ』の最後の物語が幕を開ける。
『小説 仮面ライダードライブ マッハサーガ』の感想・特徴(ネタバレなし)
今明かされる、詩島剛の過去と想い
人はやり直せる
今作『小説 仮面ライダードライブ マッハサーガ』で主人公を務めるのは、テレビ版『仮面ライダードライブ』で2号ライダー〈仮面ライダーマッハ〉として戦った〈詩島剛〉だ。
おちゃらけた様子で陽気に振る舞っていた剛は、その明るさの裏で、自らの父親〈蛮野天十郎〉が人を襲う怪物〈ロイミュード〉を作った張本人であるという事実に苦しんでいた。
更に蛮野自身が、ロイミュードを超えるほどの邪悪な存在であったことを知り、苦悩を重ねていた剛。
今作では、そんな剛の内心が語られる。
姉である〈詩島霧子〉を守らなければという想い。
一刻も早くロイミュードを倒さなければという焦り。
そして、ロイミュードであるというだけで〈チェイス/仮面ライダーチェイサー〉を敵視し、素直になれないままにチェイスと死に別れてしまったことへの後悔。
テレビ本編において、誰よりも苦悩を背負いながら戦った剛が、何を想い、何を語るのかは、今作の大きな注目ポイントだ。
また今作では、剛が〈仮面ライダーマッハ〉に変身することとなった経緯も語られる。
〈仮面ライダーマッハ〉の前日譚としても楽しむことができるのは、心憎いファンサービスではなかろうか。
あのキャラクターたちの、その後の姿
なんかさ……、おっちゃんとりんなさん、2年前とちがくない?
もちろん剛だけでなく、テレビ本編で登場した様々なキャラクターたちのその後が描かれるのも、ファンとしては嬉しいポイントだ。
特状課の刑事として〈仮面ライダードライブ〉に変身し、剛と共に戦った〈泊進ノ介〉と、その同僚であり剛の姉でもある〈詩島霧子)改め〈泊霧子〉は、夫婦として仲良くやっている様子。
また、同じく特状課の刑事であった〈追田現八郎(おった げんぱちろう)〉と、メカニックを担当していた物理学者〈沢上りんな(さわがみ〜)〉も、どうやら急接近しているようだ。
情報分析を担当していた〈西城究(さいじょう きゅう)〉は相変わらずのオタクっぷりだが、その裏で小説家としての人気も獲得している。
特状課課長として一同を引っ張っていた〈本願寺純(ほんがんじ じゅん)〉も健在だ。
状況は変わりながらも本質は変わらない彼らの様子には、読んでいて懐かしさと安心感を覚える。
そしてテレビ本編に登場した犯罪者たちもまた、今作で再登場を果たす。
一度は逮捕され罪を償う機会を得た彼らは、何者かの手によって解放される。
自由の身になった犯罪者たちの動向からも、目が離せない。
物語を振り返る年表も付属
公式『仮面ライダードライブ』全史
近年の仮面ライダーは、外伝作品が数多く作られる。
多くの映像作品が作られるのは1ファンとして非常に嬉しいことだが、さすがに作品数が増え続けると時系列を整理するのが難しくなってくる。
特に『仮面ライダードライブ』という作品は、(筆者が把握している限り)単独映画『サプライズ・フューチャー』、前後作とのコラボ映画『ムービー対戦』が2本、オールライダー系お祭り映画『仮面ライダー3号』と、更にその映画と連なるオリジナルビデオ作品『仮面ライダー4号(全3話)』、更にはオリジナル映像作品『シークレット・ミッション』が断続的に複数本、更にVシネマが2本と、媒体の異なる作品が非常に多い。
今作の最後に付属している年表では、〈仮面ライダードライブ〉の世界の歴史を、外伝作品も含めて時系列順に纏めてくれている。
時系列順に各作品が整理できるため、是非ともしっかりと目を通してみてほしい。
ひょっとしたら、まだ観ていない映像作品もあるかもしれない(ちなみに、刊行された時期の都合上『仮面ライダーブレン』は含まれていないので、悪しからず)。
まとめ
特撮テレビドラマ『仮面ライダードライブ』の物語において、誰よりも重たい苦悩を背負い戦った青年、〈詩島剛〉。
そんな彼の内面描写からは、彼が抱えたものの重さと、それを乗り越えた成長が伝わってくるものとなっており、テレビ本編のファンをきっと満足させてくれるはずだ。
『仮面ライダードライブ』という物語のグランドフィナーレに相応しい今作。
本編を見ていたファンは、是非とも一読してみてほしい。
決して損はしないはずだ。
この記事を読んだあなたにおすすめ!







書き手にコメントを届ける