B級映画は好きだろうか。
Wikipediaを見たところ、B級映画の定義とは、低予算で制作された、特定の観客層の受けを狙った作品らしい。
今回は『映画大好きポンポさん』を参考に、面白いB級映画を見つけるコツを紹介したい。
社会不適合の目をした監督をさがせ
偉大な映画プロデューサーの孫であるポンポさんは、大手俳優プロダクションを経営しており、自身も一流の業界人だ。
そんなポンポさんがプロダクションのアシスタントを新作の監督に抜擢した理由は、「社会不適合の目」をしているから。
家族・友達・恋人に恵まれ、平坦で幸せな人生を送ってきた凡百の映画好きと異なり、友達もおらず恋人いない歴イコール年齢の社会不適合者にとって、逃避先は映画しかなかった。
映画の世界にしか居場所がない彼らは、自らの妄想をより拡充させるために、寝食忘れてひたすら映画を観まくり見識を深めていく。
どのB級映画を観ようか迷ったら、監督の経歴から逆引きしてみてはどうだろうか?
今はWikipediaをはじめとして公式SNSにブログ、ファンの個人サイトなど、いくらでも情報を得る手段がある。
「壮絶ないじめに遭って不登校になり、年間500本の映画をただひたすら見まくった挙句、思春期には夜の街でヤバい仕事に手を染め、ドラッグと酒に溺れ、結婚と離婚を繰り返す。現在は4人目の妻と別居しており、養育費の未払いが原因で元妻たちと訴訟中」
などと、人間としてはダメダメな壮絶プロフィールの監督がいれば、「一体どんな映画撮るんだ……?」と、いやでも興味をひかれないか。
もちろん外れることもあるが、現状に満たされて退屈な幸せを享受している人間よりも、人生が複雑骨折した監督の作品の方が面白いというのはいかにも「あるある」だ。
適当な映画監督の名前で検索し、ヒットした写真の目が夢も希望もなくよどんでいたら、まずは一作観てみるといい。
極論、女優が魅力的に撮れればいい
映画とは極論、女優が魅力的に撮れてればいいとポンポさんは豪語する。
そんなポンポさんはピチピチぷるんぷるんの水着美女軍団がサメに襲われるバカ映画を仕上げ、主演女優と出会い頭に「今日もきちんとセクシーだね」と太鼓判を押す。
ブロンド美女に異常な執着を見せ、ほぼ全ての映画でヒロインに据えたヒッチコックを例に出すまでもなく、監督が主演に恋してなければいい映画は撮れない。
もちろんセクハラパワハラは厳禁。恋とは比喩だ。
役者にぞっこん惚れこんだ上で、その魅力を最大限引き出す指示をすることが監督には求められる。
サメが空から降ってくるようなバカ映画でも、登場人物がきちんと「生きている」と感じられれば、キャラクターの魅力を前面に押し出すB級映画として大成功だ。
ポンポさんは女優といったが、男優や子役も事情は同じ。
監督の性的嗜好は関係ない。
ヘテロでもゲイでもバイでもレズビアンでも関係ない。
どれだけ主演に入れ込んで、役者の魅力を作品世界に落とし込めるかが映画の面白さを決めるのだ。
90分で完結する映画こそ至高だ
ポンポさんは好きな映画の条件に90分で完結することを挙げている。
どんな傑作でも2時間超えの大長編は論外だ。
ポンポさんは子どもの頃から祖父の映画鑑賞会に付き合わされてきたが、小さい子が2時間3時間じっと座っているのはキツい。
しかも、しゃべっちゃだめときては拷問だ。
現代は映画以外にも多種多様な娯楽があふれている。
YouTubeでは無料の動画がいくらでも見放題、寝転がりながらスマホで遊べるモバイルゲームも日々リリースされる。
SNSで気軽に人と繋がり、時間を潰せる世の中において、ひまつぶしの選択肢のひとつでしかなくなった映画。
だからこそ、90分できっちり完結する映画こそ至高だとポンポさんは主張する。
人間の集中力の継続は90分が限界だ。
娯楽性に特化したB級映画ならばなおのこと、90分の上映時間内できっちり観客の情動を揺さぶり、心から拍手できる結末にもっていってほしい。
何から見ようか迷ったら上映時間を足がかりにしてはどうだろうか。
仮に駄作にあたっても、無駄にした時間が少ない分まだ救われる。
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