『名探偵コナン』の安室透のスピンオフ、『ゼロの日常』で知られる新井隆広。
彼の代表作『ARAGO』にはとても魅力的な小悪魔美少年が登場する。
主人公アラゴのライバル、セスである。
今回は『ARAGO』のセスから、小悪魔美少年の確信犯的言動を学んでいきたい。
条件その1:詩に造詣が深い
見た目は黒髪サラサラの美少年、線が細く中性的な顔立ちでちょっと頼りないセスは英国のスクールボーイ。
そんな彼の正体はアラゴの敵。
本性をさらけだすやいなや、か弱いうさちゃんさながら守ってあげたい系男子から、ウィリアム・ブレイクの詩を諳んじる小悪魔美少年に豹変だ。
ウィリアム・ブレイクとは、英国の有名詩人で、神や悪魔や天使など、霊的な存在を扱った詩が多い。
別にウィリアム・ブレイクじゃなくてもいいのだが、「歌はいいねえ。人類が生み出した最高の文化だよ」と吹かすカヲルくんばりに
「詩はいいねえ、人類が生み出した(略)」
と浸る謎の美少年には高尚な雰囲気がある。
美少年たるもの、お気に入りの詩の一編は暗記しておくのが絶対条件だ。
条件その2:敵か味方かわからない、ミステリアスな魅力
さて、セスは敵か味方かわからない言動でアラゴをさんざんに振り回す。
アラゴに本性出して攻撃してきたかと思いきや、彼が勤務する警察署の食堂にバイトとしてちゃっかり潜り込み、アラゴが他の敵との戦いでピンチに陥れば、「やれやれ……仕方ないですね。貸しですよ」と手を貸したもりする。
味方にすれば心強いし敵に回したら面倒くさい、トリッキーに立ち回る姿はまさに小悪魔。
アラゴに味方するか否かは本人の美学と気分で決め、不敵な笑みで周囲を翻弄してやまない。
その絶妙に微妙な立ち位置こそ、小悪魔美少年の真骨頂だ。
目的が同じなら敵とも手を組む狡猾さと残忍さ、それに反した内面の繊細さが女心を掴んではなさない。
天使のような悪魔の笑顔こそ、彼らにとって最大の武器と心得よ。
条件その3:さらわれて救われて、ヒロイン属性追加
本作のラストにて、セスはアラゴを庇い封印され、数年かけて準備を整えたアラゴと仲間たちが助けに赴く。
早い話が囚われのお姫様、拉致監禁された悲劇のヒロインだ。
小悪魔美少年の魅力とは、ヒロイン属性を兼ね備えることである。
そしてヒロインのお約束こそ、悪者にさらわれヒーローに救出されるドラマチックな展開だ。
この一連の流れにおいてアラゴを守る為に自身を犠牲にしたセスのけなげさや、それに対するアラゴの思い入れが引き立ち、「お願いセスを助けてあげて……!」と読者も手を組んで祈りたくなる。
悪魔の批判精神+天使の自己犠牲=小悪魔美少年。
尊い方程式、みんなに知ってほしい。
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