アラサー独身女性たちの間で、“わかりみが深すぎる”と話題の小説『私をくいとめて』(朝日新聞出版)。はたまた私も独身アラサーですが、一体どれほど同書に共感できるのか。試しに1から読んでみました。
物語の主人公は黒田みつ子、もうすぐ33歳。
そんな彼女の中に突如として宿ったのが、脳内の分身「A」。
Aはみつ子が困っていればいつも相談に乗ってあげ、人間関係や身の振り方など常に正しいアンサーを与えてくれます。
たとえばみつ子が
「自分が独りぼっちだって、気づいちゃいけないの?」
と問いかければ、Aから
「気づくのはしょうがない、でもうまく逃げて。変に意識しない方がうまくやれます。」
と助言が。
さらに“人に好かれるためにはどうすればいいか?”という質問には、
「あなたは人と話すとき、そっけなさすぎるんです。ただでさえ口数が少ないのに、発する言葉も愛想がないから、人はこれ以上話しかけていいのかな、と躊躇します。」
と毎回秀逸な回答が返ってくるわけです。
しかもこの後、Aは何て言ったと思います?
“手っ取り早く語尾にハートマークをつけるように喋り、少ない言葉にも温かみを持たせろ”ですって。
アドバイスが的確過ぎて、思わず笑ってしまいましたよ。
もはやSiriの超ハイスペック版みたいでとても便ri… いや素敵です。
結局私は共感できたのかといえば、答えは“YES”。
もちろん全てに共感できたわけではありませんが。
なんだろう。
みつ子のおひとり様生活が想像以上にキラキラしすぎてるのかな。
だって横長のリビングがある2DKの分譲マンションに住み、休日はなるべく予定を入れようと食品サンプルの体験講座に参加し、友達の誘い1つでイタリアに行くようなフットワークの持ち主ですよ?
これが1Kのアパートに住み、週末は終日家に引きこもるような主人公だったら、もっと共感していたかも(それか私がただ単にギリギリに生きすぎてるだけなのか)。
ただ少なからず彼女の抱える漠然とした不安には身に覚えがあるのもまた事実。
“1人の方が楽でいい”と思いつつ、その裏では“このまま孤独だったらどうしよう”という負の感情が常につき纏ってくる。
つまり1人で生きていく覚悟もなければ、恋愛する勇気も体力もない。
同じ独身アラサーとして、みつ子の気持ちが痛いほどわかります。
私もふと結婚しない人生もアリかも! なんて気取ってはみるものの、心のどこかで誰かとともに人生を歩みたいと思っている自分もいたり…。
かといって今更ドラマティックな大恋愛をしようとは思わないんですけどね。
作中でみつ子が放った
「妄想はらくちんだけど、現実はしんどいんだよね。好きになれる相手もいないし」
というセリフは、首がもげそうになるくらい頷いたものです(笑)。
劇的な何かが起こるわけではないけれど、「この感覚知ってる」の連続を巻き起こす『私をくいとめて』。
ぜひあなたもその感情に浸ってみて。
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