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湊かなえおすすめ小説10選【イヤミスだけが湊かなえじゃない!】

ReaJoyライターReikoの選ぶ『湊かなえ』おすすめ小説10選へようこそ。

私がはじめて湊かなえの小説に出会った日の衝撃は忘れない。

TSUTAYAの平積みの新人作家の小説に添えられた、「牛乳牛乳牛乳牛乳牛乳」と夥しい文字に「これを読んだら牛乳が飲めなくなります」というPOPに誘われるように手に取った。

ひとたびページをめくるともう止められなくなって、とうとうその日のうちに一気読みしてしまった。

そう。「告白」はそんな力を持った傑作であり、湊かなえの名を世に知らしめ、押しも押されぬ人気作家へと押し上げた作品になった。

「告白」に代表されるように、湊かなえ作品は読んだあとに嫌な気持ちになるミステリー「イヤミス」と呼ばれている。

私はこのジャンルも大好物だけど、人によっては苦手に思うかもしれない。

もしイヤミスが苦手で読むのをやめてしまったのならもったいない!

イヤミスの女王なんて呼ばれているけど、湊かなえはイヤミスだけの作家じゃない。

そんな湊かなえ作品から選んだ10冊に、イヤミスだけじゃない魅力を見つけてもらえたら嬉しい。

湊かなえとは

1973年広島県生まれ。

2008年『告白』でデビュー以来、コンスタントに作品を発表し、数々の賞にノミネートされる。

『告白』は第6回本屋大賞、2012年「望郷、海の星」は第65回日本推理作家協会賞短編部門、2016年『ユートピア』は第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞した。

また、作品の多くはテレビドラマ化、映画化されていて、湊かなえ本人もテレビ番組に出演するなど活躍している。

1996〜1998年に家庭科教師として青年海外協力隊でトンガに赴いたという、ちょっと変わった経歴がある。

趣味の登山とサイクリングは作品にも活かされている。

湊かなえおすすめ小説10選

湊かなえ『夜行観覧車』

高級住宅街で起きた殺人事件。エリート家庭の父親はリビングで殺され、次男の行方はわからない。はたして事件の真相は?高級住宅街に住む住人たちの歪んだ家族関係を描いたミステリー。

『告白』のような高いリーダビリティと、感情表現のリアルさはいかにも湊かなえ作品らしい。

もし、読書をイラつかせる登場人物ランキングがあるとしたら、『夜行観覧車』の登場人物はTOP3に入るかも。それだけ湊かなえの表現力は凄いんだと思う。

自分の立ち位置に不満がある人に是非読んでもらいたい。

湊かなえ『往復書簡』

手紙のやり取りで進んでいく中編小説集。

久しぶりに再会した同級生同士で。恩師からかつての教え子へ。海外と日本の恋人同士で。

手紙・書簡は湊かなえ作品で多く使われるアイテムだ。

相手に届いてまた返事が返ってくるまでにタイムラグがあり、電話や動画のように相手の声も姿も見えない。

字面や文面からしか相手の状況を推測できないのは、たしかにミステリー小説向きのアイテムだ。

そして湊かなえは人に読ませるための手紙を書くのが巧い。登場人物たちの人間性のリアルさに、あっという間に物語に入り込んでいける。

湊かなえ『花の鎖』

美雪と紗月と梨花、3人の女性の物語が交錯して繋がっていく、花の鎖のような物語。

Kとは一体誰なのか?和弥の死の真相は?ミステリーとドラマを同時に楽しめる作品。

この作品を読んだとき、「湊かなえってこんな作品も書けるんだ」と驚いた。

イヤミスが苦手な人には最初にこれを読んでほしい。

ミステリーの要素はちゃんとあるけど、それ以上に3人の女性の関係やそれぞれの人生ドラマに、最後はきっと清々しい気持ちになれると思う。

湊かなえ『サファイア』

宝石をモチーフにした短編集。

イヤミスというより、ちょっとだけホラー、ちょっとだけファンタジーといった印象の物語。

いわく付きの大きな宝石や、スズメの恩返し、何でも見透かしている飼い猫など、湊かなえの他のミステリー作品にはないような要素があって面白い。

ゾッとするようなラストの作品が多めだけど、「ルビー」や「ムーンストーン」は息抜きのようにホッとする作品だった。

最後の「サファイア」「ガーネット」は連作で、それぞれの石の色と同じように、全く違った色を見せてくれる。

湊かなえ『望郷』

白綱島という架空の島を舞台にした短編集。

島で暮らす人たちの間で起きる事件や、人間関係を描いたミステリーではあるけど、読後感が爽やかなエピソードが多め。

湊かなえ自身が因島で育ったこともあり、島の独特な生活や人間関係がリアルに描かれている。

舞台になっている白綱島も、因島がモデルになっているようだ。

ひとつひとつの話は短いけど、どれも一捻り二捻りあって楽しませてくれる。

謎解きは苦手だけどちょっとだけゾクッとくるミステリーを読みたい人におすすめ。

湊かなえ『豆の上で眠る』

小学生の時、行方不明になっていた姉がその2年後に帰ってきた。妹の結衣子だけは、帰ってきた姉が本物の姉ではないんじゃないかと疑い続けていた。はたして姉は本物の姉なのだろうか。

自分以外の誰も何も思わないのに、自分だけがどこかおかしいと感じている。

こんなシチュエーションのSF映画を観たことあるけど、日常生活でのしかも家族間で感じる違和感の恐ろしさを、湊かなえの筆力で味合わせてくれる。

ラストで結衣子とその家族がどうなったか、読む人に余韻を残しているのもいい。

湊かなえ『山女日記』

連作短編集。

さまざまな悩みを抱えた女性たちが、山に登り自分の心と向き合っていく物語。

これは湊かなえ作品の中でいちばん好きな小説だ。

ここには殺人もドロ沼もないけど、登山を愛する湊かなえだからこそ書けたのだと思う。

ひとりでの登山は瞑想でもあるし、一緒に登る相手によってその行程は全く違ったものになる。

彼女たちが自分の心と対話し、前に向かって進んでいく過程は、読む人にもポジティブなメッセージを与えてくれる。

山に登ってみたくなるかも。

湊かなえ『物語のおわり』

連作短編集。

智子はフェリーで知り合った少女から『空の彼方』という小説の原稿を譲り受ける。

その小説は、主人公絵美が夢を実現するために、家族の反対を押し切り上京しようとする話。駅で待ち伏せていた夫と鉢合わせた場面で途切れていて、結末がわからない。

人から人へと渡っていく原稿をみなが読み、それぞれの「私が考える結末」が興味深い。

読む人の立場や状況で、一つの物語がプリズムのように違う光を見せてくれる。

イヤミスとは程遠い、スッキリ朗らかな気持ちになる小説だった。

湊かなえ『ユートピア』

若い工芸作家が集まる街として人気になった岬の街。そこに昔から住んでいる菜々子と転勤組の光希、そして陶芸のために移住してきたすみれ。3人の女性たちの心理サスペンス。

女の裏の心理を書かせたら右に出る者がいないんじゃないかと思うぐらい、湊かなえはこういう心理描写が巧い。

嫉妬が増幅すると他の部分が見えなくなるよ。反面教師のような登場人物たちに、それを見せられているような気がしてくる。

作中で使われる自由の象徴である「翼」のモチーフが、地方の狭いコミュニティでの人間関係の真逆のようで皮肉だった。

湊かなえ『未来』

大好きな父親を亡くした10歳の章子のもとに、ある日20年後の自分から手紙が届く。時々「人形」になってしまう母親以外に身寄りのない章子は、届くあてのない返事を書き始める。

ここには問題のない家庭は一つもない。

それでもみんな努力して我慢して、少しでもいい未来にしたいと願っている。

そんな中、素晴らしい未来が待っているという自分からの手紙が届いたらどうなるだろう。

半信半疑でも努力して手紙の未来に近づけるよう希望を持つだろうか。

私だったらどうするだろうと物凄く考えさせられた。

まとめ

湊かなえをテレビで観たことがあるけど、ほんわかした話し方が可愛いらしい女性で、とてもイヤミスの女王なんて渾名からは想像できない印象を受けた。

デビューしてしばらくお子さんの存在を公表していなかったのは、作風の評価が子どものプライベートに影響を与えないように配慮したからだそうだ。

『告白』が本屋大賞を受賞したときのインタビューで、5年後の姿を聞かれた湊かなえは「まず、作家であり続ける。そして、『告白』が代表作でないようにしたい」と答えた。

その言葉の通り、デビュー後10年経った今もベストセラー作家であり続けている。

『告白』が代表作かどうかは、まずはこの10冊を読んでから考えてみてほしい。

これからもたくさんの作品を生み出して、読者の心をどれだけ掻き乱してくれるか楽しみにしている。

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