巧妙に張り巡らされた伏線や、よく練り込まれたストーリーが読者を掴んで離さないミステリー漫画。
クライマックスで明らかになる真犯人の正体や固定観念を覆す事件の真相に、度肝を抜かれた経験はあるだろうか。
今回はスリル・ショック・サスペンスの三拍子がそろった、古今東西のミステリー漫画おすすめ30選をジャンルごとのランキング形式でご紹介!
目次
迷ったらコレ!初心者におすすめのミステリー漫画
まずは、ミステリー漫画初心者にもおすすめの3作品を紹介しよう。原作を読んだことがない人でもどこかで名前を聞いたことがある非常に有名な作品たちだ。
1位『約束のネバーランド』
孤児院グレイス=フィールドハウス。優しいママに見守られ、孤児のエマは幸せな生活を送っていた。そんなある日、里子に出される少女の忘れ物を届けに行ったエマとノーマンは、孤児院の真実を知る。
ここは食人鬼のための施設であり、エマ達は鬼の食料として育てられていたのだ。
真実を知ったエマは親友のノーマン、レイとともに孤児院にいる子ども達を脱出させる計画を練り始める。
食人鬼の手下であるママと、孤児たちの頭脳戦が開幕する!
アニメ化、実写映画化もした話題作。
本作は、事件と犯人が用意されているようなミステリーではない。
しかし、ママと子ども達が知略を駆使して互いを出し抜こうとする姿は推理ゲームそのもの。
読者も他のミステリー漫画を読む時と同じく、頭を使って挑むことになるだろう。
冒険漫画やファンタジー漫画の要素も楽しめる、規格外のミステリーだ。
2位『名探偵コナン』
青山剛晶による漫画。
高校生探偵・工藤新一は悪の組織に薬を飲まれ子供の姿にされてしまった。
彼は江戸川コナンと名乗って幼馴染の蘭の家に居候し、元の姿に戻る為の手がかりを探す。
もはや説明はいらない週刊少年サンデーの看板作品。
見た目は子供頭脳は大人のコナンが無邪気な振る舞いで犯人たちを出し抜き、博士から授けられたスーパーアイテムでもって事件を解決していく姿がかっこいい。
黒の組織のボスの正体も明らかになって、ますます目が離せない。
3位『金田一少年の事件簿』
天樹征丸とさとうふみやによる漫画。金田一耕助の孫にあたる高校生の金田一一が、行く先々で凶悪な事件に巻き込まれ、それを解決していく姿を描く。
吹雪の山荘、絶海の孤島、隔離されたキャンプ場とミステリー物のお約束をこれでもかと踏まえたロケーションが見所。
普段はダメダメで周囲に馬鹿にされている一が、推理時に見せる勘の冴えとキレには惚れ惚れする。犯人の動機自白時に初めてわかる、被害者たちのクズさにも絶句。
相棒と挑む系ミステリー漫画のおすすめ
ホームズにワトソンという相棒がいるように、ミステリー漫画には相棒(バディ)がつきもの。ここでは、相棒とともに難事件に挑むミステリー漫画を5つ紹介する。
1位『魔人探偵脳噛ネウロ』
父を惨殺された女子高生・桂木弥子の前に現れたのは、奇妙な男ネウロだった。ネウロは「謎」を食べることで食欲を満たす魔人であり、魔界の謎を食べつくしてしまったため人間界にやってきたのだ。
究極の謎で腹を満たすことを求めるネウロは、人間界で効率よく謎を見つけるために弥子を「女子高生探偵」として利用するように。
弥子は、ネウロと共に動くうちに人類を脅かす様々な「謎」と対峙することになる。
謎を解くネウロと、語り手の弥子という立ち位置でスタートする本作。
しかし、次第に弥子の役割が拡大し、成長していく様は見ものだ。
最終局面では魔人であるネウロに肩を並べる存在になり、名実ともに相棒となる姿にはぐっとくるものがある。
なお、本作には作者の仕掛けた数々のミスリードが仕掛けられているので、どこで騙されるかワクワクしながら読んでほしい。
2位『ウロボロス―警察ヲ裁クハ我ニアリ―』
神崎裕也による漫画。ドラマ化もされた。幼い頃に恩師を殺された刑事とヤクザが、表社会と裏社会の両面から犯人を追い詰めるバディサスペンス。
極道と刑事、正反対の立場だからこそ掴める真実を生かして黒幕に迫っていくダブル主人公の雄姿がかっこいい。
先生を殺した犯人は誰なのか、大きな謎で引っ張ると同時に警察の腐敗や社会の歪みを反映した事件も取り上げており、エンターテイメント性の面でも申し分ない。
3位『爺さんと僕の事件帖』
しかくのによる漫画。友人と探偵団を組んで活動する小学生の逸実と祖父の逸樹が、日常で遭遇した様々な事件を解決していく。
いわゆる日常の謎系ミステリーに属し、取り上げられる事件はプールの水が勝手に抜かれるトラブルからウサギ小屋のうさぎが何者かに惨殺されるといったものまで、私達の身近でも起こり得るリアリティを孕む。
逸実から話を聞くなり即真相に行き着く逸樹には安楽椅子探偵の風格が漂い、枯れ専ならずとも渋い魅力に夢中になること必至。
アレルギーや虐待など現代社会の病理に根差すエピソードも多く、読後は考えさせられた。
4位『応天の門』
歌人として、そして女たらしとして有名な在原業平が夜中に出会った奇妙な少年。彼は後の天才学者・菅原道真だった。
年若くして膨大な知識を持った道真は、業平が持ち込んでくる奇妙な事件を次々と解決していく。
しかしその才能は当時平安京を牛耳っていた藤原氏の耳にも届くようになる。
道真はいつしか平安の権力闘争の中に巻き込まれていくのであった…。
学術の才に優れいている一方で、人付き合いを避け自分の世界にこもりがちな道真。
一方、社交的で世渡りに長けた業平。
二人のコントラストがストーリーの端々に生きている。
ミステリー方面だけでなく、平安の権力争いにも踏み込んでいるのが本作の魅力だ。
探偵役は道真ではあるが、生き方においては業平が一枚上手。
二人のパワーバランスの絶妙さを楽しんでほしい。
5位『人形草紙あやつり左近』
橘左近は、人間国宝・橘左衛門の孫。普段は気弱で口下手な左近だが、からくり人形の右近を手にすると人格が一変し、冷静沈着に事件を分析する名探偵に変貌するのだ。
短期で連載が終了したにもかかわらず、根強い人気がある作品で1999年にアニメ化もされている。
バディものとはいっても、右近は左近が操っているので実際は同一人物である。
とはいえその性格は正反対。読み手には息の合った相棒同士の掛け合いに見えるという異色のミステリー漫画だ。
『デスノート』や『ヒカルの碁』で有名な小畑健の初期作であり、おどろおどろしい事件の雰囲気がありありと出ている。
金田一耕助のようなじっとりとしたミステリーが好きな人には特におすすめできる漫画だ。
なお、右近を持った時のクールな左近に対し、素の左近は年相応な表情で、かなりギャップがあって楽しい。
サイコ系ミステリー漫画のおすすめ
ミステリー漫画の中には、どうしようもなく壊れてしまっている人物が登場することもある。絶対関わりたくないサイコな人物が登場するミステリー漫画2本を紹介する。
1位『夏目アラタの結婚』
乃木坂太郎による漫画。ヤンキー上がりのチンピラだが正義感の強さは人一倍な児童相談所職員・夏目アラタと、シリアルキラーの死刑囚・品川真珠の出会いから始まるサスペンス。
児相の職員とシリアルキラー、どう転がるかわからない上にどう転んでも面白いこの組み合わせを思い付いた時点で完全勝利。
歯並びガタガタのボクっ娘ヒロイン・真珠の、沼のように危険な魅力にはきっとハマるはず。
ブラフと本音を交え二転三転する展開や心理の読み合いはリーダビリティーが高く、読者をぐいぐい引っ張ってくれる。
2位『聖女の揺籃、毒女の柩』
夏海ケイによる漫画。酒乱の父を亡くし島の孤児院に引き取られた兄弟。
そこは柘榴が実る楽園に思われたが、聖女として崇められる美しき院長の本性を知ってしまい……。
皆をいい子にする為なら手段を選ばないシスターの歪みきった精神構造と、動物の名前にちなんだエグすぎる体罰(というか拷問)の数々に戦慄。
エログロ方面でショッキングな描写が多いので読む人を選ぶかもしれないが、脱出劇としても楽しめる。
サイコパスVSサイコパス、下剋上からの対決展開は熱かった。
タイムリープ系ミステリー漫画のおすすめ
あの時、こうしていたら事件は起こらなかったのに…。ミステリーではそんな後悔がつきもの。
しかし、もし「あの時」に戻ることができたら?漫画の世界では、そんなタイムリープも可能なのだ。
時間遡行によって犯人と戦う主人公たちを描いたタイムリープミステリー漫画を2本紹介する。
1位『僕だけがいない街』
漫画家の藤沼悟には、「再上映(リバイバル)」と呼ばれる時間遡行能力があった。これは身近で起こる事件や事故などをトリガーに発動し、それらを未然に防ぐことができる能力だ。
そんな悟には、小学生の時発生した連続誘拐殺人事件を防げなかった、という苦い記憶があった。
ある日、悟の母は連続誘拐殺人事件の犯人に遭遇、事件の真相に気が付く。ところが彼女はそれを察知した犯人に殺され、悟は母殺しの容疑者として警察に追われる身に。
絶体絶命の状況で「再上映」が発動。気が付いたときには、悟は小学生のあの時代に戻っていた。
タイムリープ漫画の主人公は孤独になりがちだが、悟にはケンヤなどの同級生、我が子を一貫して信じてくれている母などの人間関係に支えられている。
仲間と力を合わせ、冷酷な殺人犯と対決していくストーリーは、非常に完成度が高い。
人間関係から一歩引いていた主人公が、徐々に周りの人々を信頼し、ヒーローになっていく姿はとても熱く感じられるだろう。
2位『テセウスの船』
北海道の小学校で児童16人を含む21人が青酸カリで毒殺された。逮捕されたのは、村の警察官・佐藤文吾だった。
28年間、文吾の息子として世間から冷たい扱いを受けてきた田村心。
妻は心の娘を出産する際に死亡してしまうが、義両親からは「殺人犯の息子に孫を渡せない」と言われショックを受ける。
心は娘のため、父の無罪を証明しようと動き出す。
事件現場であった村に向かった心は、気が付くと28年前にタイムスリップしていた。
父、文吾とともに事件を未然に防ごうとする心の挑戦が始まった。
殺人犯の家族という重いテーマの中で、過去と未来の親子関係が光る。
身元も分からない心に接する過去の家族達の姿が温かいので、陰惨な事件の中にも救いを感じる作品となっている。
何度もタイムスリップを繰り返すうち微妙にずれていく世界、そしてラストが『テセウスの船』というタイトルをよく表している。
変人探偵が活躍するミステリー漫画のおすすめ
ずば抜けて頭が切れる探偵には、風変わりな人物が多い。
偏屈、奇抜など、一般の人間社会からは浮いて見える彼らだが、一方で洞察力、推理力も規格外なのだ。
そんな変人探偵の個性的な活躍が拝めるミステリー漫画4選を紹介する。
1位『ミステリと言う勿れ』
もじゃもじゃ頭の大学生・久能整(くのう ととのう)は、ある日身に覚えのない殺人事件で警察に連行される。被疑者の立場にもかかわらず、淡々とした態度で対応する彼は、徐々に警察官たちのプライベートな問題を解決していく。
やがて、明らかになる真犯人とは…。
言葉の力で事件を解決していく、新感覚ミステリー。
久能整は、大変な変人。こだわりが強く、自分の思いをどんどん口にしてしゃべるため、人を怒らせることもある。
しかし、そうして紡いだ言葉の数々がいつのまにか犯人を暴き出すのだから面白い。
整の言葉は、現代に生きる私たちへの警告でもあり、癒しでもある。
カウンセリングを受けているような気持ちにもなる、新しいミステリーだ。
2位『薬屋のひとりごと』
日向夏原作、倉田三ノ路による漫画。花街の薬師・猫猫が薬草摘みの最中に誘拐され、権謀術数渦巻く後宮の下働きにされたことから様々な事件に関わっていく。
無類の毒物薬物マニアであり、新薬の効能はまず自分の身体で試さないと気が済まない猫猫のキャラクターが痛快。
媚びず甘えず諂わず、女性読者の支持も厚い自立したヒロインだ。
ぶっきらぼうで男勝りながら筋が通らない事は大嫌い、相手が目上格上だろうと気持ちいい啖呵を切り、宮廷にはびこる塵芥を一掃していく働きぶりには拍手喝采したくなる。
猫猫を溺愛する美形宦官・壬氏との、じれったい恋模様にもドキドキ。
3位『インハンド』
右腕が義手の寄生虫学者・紐倉哲(ひもくら てつ)が、助手を務める医者の高家とともに医療がらみの事件を解決していくサイエンスミステリー。ある日、都内で奇病が広がり始める。
そしてこの病の症状は、地上から絶滅したはずの天然痘に酷似していた。
官僚の牧野から調査を依頼された紐倉は、病気が自然発生したものではなく、人為的な物であることを探り出す。
犯人の最有力候補は、今回の病気の原因となったオルフウイルスについての論文を書いた永井であったが…。
通常のミステリー漫画とは一風変わった作風が楽しめる医療系、科学系推理物だ。
マラソン選手のドーピングを扱った「キマイラの血」編など、考えさせられる話もある。
一話一話はそこまで長くないが、手ごたえのあるミステリーを楽しめるだろう。
ちょっと専門的な話も分かりやすく解説されているので、理系の話が苦手という人でも安心して読めるだろう。
4位『美食探偵 明智五郎』
明智五郎はハンサムな容貌に優雅な物腰で、レストランの女性スタッフを引き付ける美食家。そんな彼の職業は、私立探偵だ。
「江戸川探偵事務所」と銘打った小さな事務所を表参道に構えている。
食に絡む事件に首を突っ込み、警察より先に早々と解決していく明智。
彼の助手(?)の小林苺とともに、今日もおいしい料理と事件を追う。
老舗百貨店の血筋を引く名家の御曹司・明智五郎のふるまいは、ちょっと時代錯誤な「貴族」といった様子である。
対して、五郎の事務所の向かいで弁当屋を営んでいるだけなのにいつのまにか助手として使われている苺は、今どきの女の子。
スマホをバシバシ使いこなし、率直にものを言う。
二人の「お互いを振り回す」関係性はなかなか面白い。
ヨーロッパが舞台のミステリー漫画おすすめ
ミステリーと言えば、ホームズを生み出したヨーロッパに思いをはせる人も多いのではないだろうか。
ここではヨーロッパを舞台にしたミステリー漫画3本を紹介する。日本を舞台にしたミステリーとは一味違う雰囲気を楽しんでほしい。
1位『憂国のモリアーティ』
大英帝国ロンドン。華やかな世界の裏では、貴族と平民の差が公然のものとなっている。
貴族の息子、アルバートはこの階級社会に大きな疑問を持ちながら過ごしていた。
そんなアルバートが孤児院で出会ったのは、利発な少年ウィリアム。
ウィリアムと弟のルイスを養子として家に招き入れたアルバートは、2人とともに貴族社会の不公平を正す計画を立てていく。
シャーロック・ホームズに関しては、あちこちでリメイクされているが、そのライバルであるモリアーティ教授に視点を当てている本作は珍しい作品だ。
モラン大佐、ポーロック、ヘルダーとコナン・ドイルの原作に登場するモリアーティ陣営の面々が個性的なイケメンキャラとして登場するのも要チェック。
もちろん、ホームズとワトソンもモリアーティの強力なライバルとして出演している。
この作品と原作を並行して読んでみても面白いのではないだろうか。
2位『MONSTER』
1986年、西ドイツ。日本人医師、テンマは順風満帆に出世コースを歩んでいた。ある日、ヨハンという少年と双子の妹アンナが病院に運ばれてくる。
院長はテンマに市長の執刀を命じるが、倫理観を重んじた彼はヨハンの手術を優先した。
このことによって、院長の反感を買ったテンマ。だが、院長は突然毒殺され、ヨハンとアンナは病院から姿を消した。
9年後、ヨハンと再会したテンマは、自分が「怪物」の命を救ったことに気づき、愕然とする。
ヨハンによって罪を着せられ、逃亡者となるテンマ。
自分がよみがえらせた「怪物」を止めるためにヨハンを追うことになる。
サイコキラー、ヨハンの手口は恐ろしいが、ヨハンとアンナを生み出した東ドイツのおぞましい実験も怖い。
全体的にダークな雰囲気が漂っており、第2次世界対戦から冷戦までの混沌としたヨーロッパ史に興味がある人なら、特に面白く読めるはずだ。
3位『ゴッドチャイルド』
19世紀イギリスロンドンを舞台に、毒薬の蒐集が趣味の若き伯爵・カインが、様々な事件に挑む。
ヴィクトリア朝ロンドンのゴシックな雰囲気や、マザースの見立て殺人が好きならぜひ読んでほしい傑作。
欲と金に溺れて退廃した貴族社会の様子もよくわかる。
カインとリフの耽美な絆には腐女子の妄想がはかどるし、壮絶な過去を背負った敵キャラクターも魅力的だ。主従ものが好きな人にもお勧めしたい。
少年少女が主役のミステリー漫画おすすめ
ミステリー漫画の世界では、事件と遭遇してしまうのは探偵や警察関係者ばかりではない。少年少女もまた、事件に巻き込まれるものなのだ。
ここでは、少年や少女が主役のミステリー漫画4本を紹介する。
1位『多数欠』
宮川大河による漫画。ある日突如として始まった多数欠。出された二択のうち投票が少ない方を選べば最後、避けがたい死が待ち受ける。
皇帝と名乗る黒幕を倒すべく、少年少女たちはレジスタンス活動を開始する……。
いかにして相手の裏をかき生き残るか、息詰まる心理戦にのめりこんだ。
裏切り・駆け引き・騙し合い。人心誘導や操作術を用いたデスゲームものとしてはマイナーながらも高い完成度を誇り、ぜひ押さえてほしい作品だ。熱いドラマが楽しめる、群像劇としても評価したい。
2位『魔探偵ロキ』
木下さくらによる漫画。北欧神話の邪神ロキが少年の姿になって探偵事務所を営み、女子高生助手とともに様々な事件を解決していく。
半ズボン生意気ショタなロキがかわいい。助手の繭良とのコントな掛け合いにはくすりとする。
北欧神話ネタもふんだんに取り入れられており、お馴染みの神々が次々登場するのが楽しい。
キュートでポップな絵柄の読みやすい作品に仕上がっている。
3位『骨が腐るまで』
内海八重による漫画。八ツ森中ミステリー5といわれる幼馴染5人組には、11歳の夏に殺人を犯し死体を埋めた過去がある。
そんな彼らに脅迫犯の魔の手が伸びて……。
過去の犯罪が現実の脅威に生まれ変わり、疑心暗鬼に駆られる心理描写に釘付け。
もともと多感で傷付きやすい思春期ど真ん中なのに加え、勘違いやすれ違いで錯綜していた人間関係に爆弾が投下され、混迷を極めていく展開は一気読みの面白さ。
誰が裏切り者か、判明した瞬間は衝撃を受けた。
4位『魔少年ビーティー』
平凡な少年、麦刈公一(むぎかり こういち)が語る、同級生ビーティーの恐るべき活躍の物語。同級生に暴力をふるういじめっ子、強制捕虜収容所の所長になりきる狂人軍団、サイコパスなデパートの警備員、公一の家を乗っ取ろうとする当たり屋一家達。
ビーティーは手品や心理戦を用いて、悪を持って悪を征していく。
『ジョジョの奇妙な冒険』で、漫画家として不動の地位を築いている荒木飛呂彦の初期作品。
ビーティーは少年の姿をしており位置づけは主人公であるが、そのダーティーな魅力は『ジョジョ』の悪役に通じるところがある。
「12歳の少年が主人公」というと爽やかなイメージがあるが、ビーティーはそれに似つかわしくない後味の悪さを感じる作品だ。
しかし、毎回それを上回るカタルシスを与えてくれるので、きっと癖になるだろう。
ホラー系ミステリー漫画のおすすめ
ホラーとミステリーは、小説の世界でも漫画の世界でも相性が良い。
恐怖を感じながらも、ストーリーを楽しめるホラーミステリー漫画2本を紹介する。
1位『累(かさね)』
淵累(ふち かさね)は、伝説の女優・淵透世(ふち すけよ)の娘である。だが、その容貌は母に似ず、非常に醜いものだった。
人が顔をそむけるほどの醜さから、数々のむごい扱いを受けてきた累。しかし、演技に関する情熱は人一倍強かった。
ある日、累は母の美しさの秘密を知ることになる。それは、「唇に塗ってキスをすると相手の顔を奪える」という不思議な口紅だった。
母は他人の美しい顔を奪うことで女優になったのだ。遺品として口紅を手にした累は、協力者の羽生田(はぶた)とともに、母と同じ道を歩むことになる。
醜い顔であるため、本来の演技の才能が隠れてしまっている累。
これは、そんな彼女の女優になる過程を描いた物語でもあり、累と羽生田の犯罪記録でもある。
その背景には、口紅の出所と透世の秘密を探るストーリーも隠されている。
自分を乗り越えようと懸命にもがく累の姿を応援したくなる。
2位『ゴールデンゴールド』
堀尾省太による漫画。主人公の早坂琉花は内地の中学校に馴染めず、島の祖母が営む旅館に下宿中の中学2年生。
ある日彼女は砂浜に漂着した置物を拾い願掛けをするが、それがきっかけで胡散臭い神様が跳梁跋扈しだし……。
フクノカミの得体の知れない気持ち悪さと、ご利益によって狂わされていく島の経済に注目。
莫大な富が舞い込んだ事で鄙びた島が観光地化され、気の良い人々が金の亡者に堕していく展開はぞくぞくする。
レトロな雰囲気が楽しめるミステリー漫画おすすめ
江戸川乱歩や岡本綺堂、昔の小説家が描くミステリーには現代を舞台にした推理小説とは異なる不思議な魅力がある。
ここでは、そんなレトロな雰囲気を楽しめるミステリー漫画3本を紹介する。
1位『幽麗塔』
昭和29年、神戸。無職の天野太一は、昼間からいかがわしい雑誌や小説を読んでごろごろしている手ごたえのない人生を送っていた。
ある日、街中で学生時代に憧れていた花園恵と再会する太一。しかし彼女はいじめっ子の三村と婚約していた。
見栄を張りたい太一の前に現れたのは、謎の美少年テツオ。テツオは太一を時計塔に隠されているという財宝探しに誘う。
しかし、時計塔は過去に残忍な殺しが行われた現場であった。財宝探しに参加することで、太一は危険な殺人鬼「死番虫(しばんむし)」と対決することになる。
機械仕掛けの秘密の地下迷路、財宝、殺人鬼、謎の美少年…と昭和怪奇小説好きならたまらない舞台設定が目を引く本作。
しかし、本当の読みどころは社会的弱者やマイノリティの心の叫びを丹念に表現していること。
テツオの秘密を知った後の太一の葛藤と成長は必見だ。
2位『嘘解きレトリック』
都戸利津による漫画。昭和初年東京。他人の嘘を見抜ける能力を生まれ持ったが故に周囲に敬遠されてきた少女・浦部鹿乃子が、貧乏探偵の祝左右馬と出会い、事件を解決していく姿を描く。
昭和初頭のレトロな雰囲気が堪能できるミステリーで、鹿乃子と左右馬の善良な人柄にほっこりする。推理過程に派手さはないが、ロジック重視でしっかりしているのもポイント。
地元で厄介者扱いされてきた鹿乃子が、能力ごと自分を受け入れてくれる人々に励まされて徐々に前向きな生き方に目覚めていくのも、清々しい読後感に繋がっている。
3位『当て屋の椿』
川下寛次による漫画。副業の春画で身を立てる浮世絵師の鳳仙と、依頼人の探し物を見付ける当て屋を営む、椿が巻き込まれる事件を描く。
責め絵にも通じる肉感的な女体美の描写と、エログロ猟奇な事件の数々に戦慄を禁じ得ない。扱われるエピソードは江戸の風俗及び偏見から生じた迷信を下敷きにしており、他者の悪意によって歪められ、罪を犯さざる得ないほど追い詰められてしまった人々の悲哀が余韻を残す。
椿をはじめとする人情深い長屋の住民たちも魅力的。
設定が斬新なミステリー漫画のおすすめ
ミステリーを読み続けていると、「こんな設定、前も見たなあ…」とマンネリになってしまうこともしばしば。そんな人にこそオススメしたい、斬新な設定で魅せるミステリー漫画2本を紹介する。
1位『虚構推理』
同名小説を原案とする片瀬茶柴の漫画。アニメ化もした。怪異たちの知恵の神である大学生・岩永琴子と、人魚の肉を食べたことで不死身になったボーイフレンド・桜川九郎が、各地で巻き起こる不可思議な事件に挑む。
実際に起きた出来事を推理するのではなく、怪異たちが納得する話を作り上げる逆転の発想が面白い。
作り話といえど合理的な説得力がなければ怪異たちも納得しない為、琴子の手腕が試される。
2位『秘密 -トップ・シークレット-』
2060年、近未来。死者の脳に保存されている視覚記憶をMRIスキャナーにて再現し、犯罪の真相を暴こうとする「MRI捜査」が行われていた。「MRI操作」を引き受けるのは「科学警察研究所 法医第九研究室」、通称「第九」。
憧れの第九に配属された新人の青木だったが、死者の経験を直接読み取るMRI捜査は、精神に異常をきたすほど苛烈な物だった。
死者の脳に刻まれた記憶をたどり、事件を明らかにしていくという設定が斬新である。
視覚情報には死者の個人的な意図が反映されているので、被害者が犯罪の場面を「見ていた」からといってすぐに事件の真相が明らかになるわけではないのがポイント。
複数の死者の視点をつなぎ合わせ、パズルのように「真実」を明らかにしてくスリリングさがたまらない。
未成年と見まがう容貌を持ちながら仕事に厳しい薪室長と、がむしゃらに仕事に向き合う青木の関係性もなかなか味わい深い。
おわりに
以上、おすすめミステリー漫画30選を紹介した。
ミステリー漫画の醍醐味は謎が謎を呼ぶ展開と、キャラクターたちのクレバーな推理。
やがて暴き出される衝撃の真相には、何度あっと言わされたことか。
どんな難事件にも臆さず挑み、怯まず犯人と対決する名探偵の姿には、憧れてやまないのだった。
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