ワイルドサイドを歩く野良猫さながらの美しさ?アウトローな少年の魅力に迫る

『残響』書影画像

私達は何故アウトローの生き様に惹かれてやまないのか?

それが十代かそこらの少年ときたら、なおさらときめきは加速する。

騙し裏切り犯罪上等!

法や常識に縛られず幾多の修羅場をかいくぐり、自らの度胸と機転を頼みに大人の欲が渦巻く裏社会を生き抜く少年には、どんなに汚れても軸がブレないかっこよさがある。

今回は高橋ツトムの漫画『残響』から、アウトローな少年の魅力を掘り下げていきたい。

魅力その1:天涯孤独を裏返した自由さ

本作の主人公・智は施設育ちで天涯孤独だ。

薬物中毒の母、および祖母とは幼い頃に生き別れている。

家族も友人も最初から何も持たず、ドヤ街でその日暮らしをしていた智が初めて手に入れた物が、隣室の老ヤクザに託された銃だった。

アウトローな少年の魅力は、その本質的な自由さにある。

彼らにはしがらみが存在しない。

そういうと羨ましく聞こえるが、守ってくれる人や物がまるでないから自分で自分の身を守らなければいけないわけで、生き抜く為にはタフにならざるえない。

親や社会にぬくぬく庇護されてきた甘ったれと違い、自分の知恵と力のみで険しい道を切り開いてきた彼らの姿は、人に媚びず慣れずワイルドサイドを歩く野良猫さながら美しい。

天涯孤独のハンデを強さに変えて世間の裏をかくのが、アウトローな少年の魅力なのだ。

魅力その2:守るべきものと巡り会い、見せる強さ

智はヤクザの愛人にさせられていた女装男子・大悟を助け、彼の甥・魁也も連れて逃避行をくり広げる。

ずっと天涯孤独だった智が、守るべき対象となる疑似家族を得たのだ。

自由と自暴自棄は紙一重。

何にも縛られず生きてきた少年が、大事な人や物と巡り会い、初めて「失いたくない」という感情に目覚める。

絶対に失いたくないぬくもりを知ってしまったことで、独りだからこそ享受できた自由を捨て、守るべき対象に自ら縛られる不自由さを選ぶ彼らの姿は、精神的な成長を感じられとてもエモい。

失うものを持たない人間が一番強いなんて夢がない。

少年は守るべきものを見つけ、初めて「男」に覚醒するのだ。

魅力その3:復讐を成し遂げる意志

大悟をヤクザに殺され、智は復讐に燃える。

彼が選んだ復讐の手段はなんと、女装してニューハーフバーで働きながら敵の動向を探るというもので、最終的には見事その姿で報復を成し遂げた。

アウトローと復讐は切っても切り離せない。

復讐とは虚しい行為だ。果たした所で誰も幸せになれないのは目に見えている。

しかし、だからこそ、アウトローな少年たちは苛烈な意志を貫いて復讐を成し遂げる。

ピカレスクものの主人公の条件は

  • 出生に含みがある
  • 社会的に嫌われ者
  • 食べる為に罪を犯すこと

らしいが、ここに「復讐をもって完結する」を付け加えてもいいと個人的には思った。

虚しい行為だとわかっていても、愛するものの死に報いる事だけが自分の存在意義の、人生の証明になる。

内なる暴力衝動と刹那の情熱に駆り立てられ、社会の掃き溜めを駆け抜けていく少年たちは、その鋭く痛々しい生き様でもって、私たちを惹き付けてやまないのだった。

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