『PSYCHO-PASS 3〈C〉』原作小説あらすじと感想【システムが全てを決める社会で、信仰の意味を問う】

『PSYCHO-PASS3〈C〉』原作小説あらすじと感想【システムが全てを決める社会で、信仰の意味を問う】

人生に纏わる全てをシステムが決定する社会。

自ら判断を下さずとも最善の人生を歩める世界で、宗教・信仰は如何なる意味を持つのか。

入国者による宗教活動が解禁される〈信仰特区構想〉と、それを巡る連続爆弾テロ事件の中で、刑事たちは〈神〉の在り処を問う。

こんな人におすすめ!

  • 刑事物が好きな人
  • SF小説が好きな人
  • PSYCHO-PASS3〈A〉〈B〉を読了済みの人

あらすじ・内容紹介

シビュラシステムによる託宣により、人生の全てが決定される社会。

長らく続いた鎖国を解き、入国者の受け入れを始めた日本政府。

その拠点である〈出島〉にて、入国者の宗教活動を解禁する〈宗教特区構想〉を巡る議論が巻き起こる。

賛成派と反対派の議論が白熱する中、〈宗教特区構想〉を推進する東京都知事〈小宮カリナ(こみや〜)〉のPRイベント中に爆弾テロが発生。

更に〈宗教特区〉推進派を狙った爆弾テロが立て続けに発生したことで、公安局刑事課1係は反対派の捜査を進めていく。

捜査の中で明らかになる、容疑者と被害者の繋がり。

そして監視官〈慎導灼(しんどう あらた)〉の父親との関わり。

様々な秘密が白日に晒される中、監視官〈炯・ミハエル・イグナトフ(けい〜)〉と執行官〈如月真緒(きさらぎ まお)〉は、かつてない危機に晒される。

社会の裏で暗躍する〈ビフロスト〉と〈ゴングレスマン〉、〈インスペクター〉たちの目的とは?

システムが全てを決める社会で、神は、宗教は、如何なる意味を持つのか。

信仰の意味を問う、公安局の戦いが始まる。

『PSYCHO-PASS 3〈C〉』の感想・特徴(ネタバレなし)

壮大なテーマ性

その目に見えざるものはいったいこの世界のどこにいるのだろうか

今作のテーマは、〈宗教〉。

人がどこから生まれ、そして何処へ向かっていくのかに纏わるこのテーマは、誰も答えようが無い問いであるが故に、現実の社会において今尚争いの種となっている。

恐らくは、人類が人類として存続する限り、永遠に争いの種となるテーマでもあるだろう。

この壮大な問題に、今作オリジナルの世界観である、〈人生の全てをシビュラに委ねた社会〉が重なることで、その様相は更に複雑怪奇なものになっていく。

シビュラを崇める者、己が信仰を貫く者、信仰に価値を見出さない者。

容疑者も被害者も、皆がそれぞれの価値基準に従い行動する中で、シビュラの猟犬たる公安局の面々は何を思うのか。

そして、宗教と連続爆弾テロ事件との関わりとは。

〈宗教特区構想〉反対派が隠す秘密の正体は?

明かされる謎と、新たに生まれる謎。

それらに向かう公安局の活躍からは、目が離せない。

あのキャラクターたちの心情描写

気色悪い

今作は、オリジナルアニメーション作品〈PSYCHO-PASS3〉をノベライズ化したものだ。

その為、ストーリーの筋を知っている読者は多いだろう。

しかし、だからと言って読まずにおくのは勿体ない要素も数多く存在している。

その中でも特に重要なものは、各キャラクターたちの心情描写だろう。

2人の監視官の奔放な行動に、常に怒り狂っていた公安局課長、霜月美香のコミカルな感情から、罪を犯したとある執行官の、悔恨と懺悔の心情。

更に、自らの意思で独房へと囚われた〈人殺しの元監視官〉、〈常守朱(つねもり あかね)〉の内心は大きな注目ポイントだ。

加えてこの巻では、これまで固い絆で結ばれていた監視官2人の決裂も描かれる。

決裂の瞬間、各々が何を想っていたのかが明かされるのは、アニメ版を観ていたファンにも嬉しいサービスであろう。

是非とも、アニメを観終わった人にも読んでほしい作品だ。

前作のキャラクター達も活躍

長い、旅の土産話がある

この巻の表紙にも描かれている、〈狡噛慎也(こうがみ しんや)〉と〈宜野座伸元(ぎのざのぶちか)〉。

元監視官にして、元執行官。

更に今では〈外務省行動課〉なる秘密組織に属する彼らの活躍は、PSYCHO-PASSシリーズを追い続けたファンにとって、何よりも嬉しいのではないだろうか。

〈外務省行動課〉として行動する彼らは、入国者の受け入れに端を発する国際的な事件を追う。

海外から侵入してきた武装組織〈パスファインダー〉は、国内での犯罪ではまず見られない戦闘のプロフェッショナルだ。

国内の犯罪者とは次元の異なる、異常なまでの危険度を誇る犯罪者たちは、1期の槙島や劇場版のデスモンドといった強敵との戦いを乗り越えてきた狡噛や宜野座にとっても、一筋縄では行かない相手だ。

一瞬の気の緩みすら死に直結するほどの激しい戦いには、かつてない程の緊張感が漂っており、一文字たりとも読み飛ばせないだろう。

また本書では、そんな狡噛や宜野座たちの内面が窺える描写もある。

狡噛から見た宜野座、宜野座から見た狡噛。

幾度の決別を超えて、再び行動を共にするようになった彼らの想いを知ることができるのも、本書の大きな魅力だ。

まとめ

PSYCHO-PASS3のノベライズである今作。

既にアニメを視聴済みの読者は、改めて文章で読む必要性をあまり感じないかもしれない。

しかしこの巻では、あまりにも壮大なテーマを扱い切る上で大事な、世界の背景が綿密に描かれる。

本書を読了後、改めてアニメ版を見返してみると、その物語の完成度を実感できるだろう。また、それぞれのキャラクターの内面が明かされる点も、大きな魅力だろう。

あらゆるシーンで、各々のキャラクターが何を想い、何を決断していたのか。

PSYCHO-PASS3を読了した人にこそ、是非とも読んでほしい小説だ。

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