多感で傷付きやすい中学時代、現状の友人関係に満足せず、理想の友達を妄想したことはないだろうか。
もしイエスと答えたなら、その頃のあなたは大事な物を見落としていたかもしれない。
今回は阿部共実の漫画『ちーちゃんはちょっと足りない』から、人を寄せ付ける中学生の条件を探っていきたい。
条件その1:裏表がなく天真爛漫
本作の主人公は中学2年生のナツだ。
彼女は同じ団地に住むちーちゃんと親しくしている。
ちーちゃんは九九ができない、靴紐が結べない、言葉遣いもたどたどしい「ちょっと足りない子」。
ネットの考察を見ると障害があるのではと言われていたが、作中ではそのあたりの言及がないので、結論は保留にしておく。
とにかく、確実にアホの子ではある。
されどちーちゃんは人を疑うことを知らず天真爛漫、どこまでも正直だ。
対してナツはというと、心の中ではちょっと足りないちーちゃんを見下し、もっとレベルが高い友達が欲しいと鬱憤をためこんでいた。
陰口や悪口を言わず一緒にいて楽しいアホの子と、心の中で同級生を蔑み優越感に浸る子。
どちらが友達に欲しいだろうか。答えは明白。
嘘や秘密というものに対して潔癖で、周囲の言動に敏感な中学生だからこそ、裏表がない友達の存在は貴重だ。
条件その2:純度100%!とにかく明るい
ちーちゃんはとにかく明るい。
シリアスな場面でも空気を読まず、底抜けに明るい。
彼女の明るさはアホの子特有の天然さから来るもので、周囲を気遣って道化を演じているわけではない。
だからこそ、その明るさが場を和ませる。
俗に天然は最強というが、一切計算がない純度100%の明るさの前には嫌味や皮肉も無効化され、腹を立てていた相手も「しょうがないなあ」と苦笑いするより他なくなるのではないか。
人によってはイラッとくるかもしれないが、アホの子の明るさは敵すら味方に取り込むポテンシャルを持った、天性の武器なのだ。
条件その3:唯一の味方でいてくれる
終盤、ナツは嘘がバレて友人の旭に絶交される。
クラスで孤立するナツを見捨てずにいてくれたのはちーちゃんだけ。
ちーちゃんは幼馴染のナツが大好きだから、なんでも言うことを聞く。
ナツが「他の子と付き合わないで」と言えば、「そういうんならそうする!」とぺかっと明るい笑顔で即答だ。
ナツがちーちゃんにした仕打ちを考えれば些か寛大すぎるのだが、どんな不義理や裏切りもあっさり水に流し、ただ「好き」だけを理由に絶対の味方でいてくれるちーちゃんは人に愛されるタイプだ。
中学時代を振り返ってみてほしい。
あなたにはどんな時も味方でいてくれる存在がいただろうか。
自分の非の有無に関係なく、孤立した時でも見放さずにいてくれた友達にすぐ思い当たるならば、とんでもない幸せ者だ。
人を寄せ付ける愛され上手な中学生とは、周囲の風評や陰口に流されず、今目の前にいる相手を全力で肯定できる子なのである。
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