男なら誰だってヒーローに憧れる。
守るべき妻子がいればなおさらだ。
しかし、愛する妻と子の応援なくして、父親がヒーローになるのは難しい。
ヒーローをやるのはとても大変で、セコンドでむかえてくれるサポーターがいなければ、再び出陣するのは不可能といっていい。
今回は漫画『マイホームヒーロー』から、妻子に愛される父親の条件を見ていきたい。
条件その1:娘を殴る男は抹殺だ!
本作の主人公・鳥栖哲雄は47歳の平凡なサラリーマン。
趣味は推理小説を読むことと書くこと。
投稿小説サイト(どう見てもなろうです)に自作をアップしているものの評価はいまいち。
そんなどこをどうとってもぱっとしない哲雄が、可愛い一人娘にDVを働いた挙句、風俗に沈めようとしたクズ男を衝動的に殺してしまったことから物語は動きだす。
もしあなたの娘がクズ男に食い物にされていたらどうする?
答えは一択、抹殺だ。
……というと過激に聞こえるかもしれないが、娘を守ろうとした哲雄の判断は間違ってない。
世間体を気にしてただ耐えろと諭すより、よっぽど人間らしく世の父親の共感を呼ぶ行動だ。
初めてこの手に抱いた時の愛しい重み、幼い頃に描いてくれた自分の似顔絵を思い出せば、大事な娘に寄生してただ不幸にするだけの害虫など駆除してしかるべし。
それ位の覚悟がなければマイホームヒーローは務まらない。
条件その2:家族は絶対守り抜く!妻を共犯に仕立てる覚悟
さて、娘の彼氏をうっかり殺してしまった哲雄は完全犯罪を目論んで隠蔽工作を図る。
断っておくが、これはけっして自己保身から出た行動じゃない(それもちょっとはあるとして)。
むしろ娘の立場を慮っての事だ。
哲雄の娘はとてもいい子で、父親を無邪気に慕っている。
もし事実を知ればとてもショックを受けるはずだ。
そこで哲雄は妻の歌仙にヘルプを頼み、夫婦の共同作業で死体をばらしにかかる。
「入刀するものが違うだろ!」と全力で突っこみたくなる展開だ。
「妻に片棒を担がせるなんてけしからん!」とお怒りの読者もいるかもしれないがちょっと待て。
彼ら夫婦は全力で娘を守ろうとしているのだ。
もし夫が人を殺したら?
あなたが妻なら、せめて自分にだけは全部正直に話してほしいと思うのではなかろうか。
警察に自首を勧めるか一緒に証拠隠滅するかは流れ次第だが、大前提として夫婦の間で隠し事はタブー。
子供の将来を左右し、家庭を崩壊に導くレベルの秘密とあれば、尚更早い段階で共有してほしい。
家がパトカーに囲まれてから「実は俺、人殺しちゃったんだよね」とぽろっと漏らされても既に手遅れ、妻は何もできないし、させてもらえない。
家族を守り抜きたいなら妻を共犯に仕立てる覚悟も必要だ。
もちろんその是非はおくとしても、健やかなる時も病める時も共にあると誓ったパートナーを蚊帳の外におかず、何かをやらかしてしまった時は真っ先に相談する誠実さこそ、結果的には家族を守ることに繋がるのだ。
条件その3:誠意と優しさを兼ね備えよ
人間、どんなクズにも親はいる。
哲雄が殺した娘の彼氏とて例外はなく、のちに哲雄は復讐の標的にされるのだが、追い詰められた哲雄はといえば、亡き息子を思って泣く姿に同情し動けなくなってしまった。
親だからこそ親の気持ちが、その痛みがわかる。
ハードボイルドの名言に「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない」があるが、これを父親にあてはめるなら、「タフでなければ守れない、優しくなければ妻子を抱き締める資格もない」だ。
家族の為に冷徹な判断を要求されても、冷酷なだけの人間に成り下がればどのみち妻子は離れていく。
誠意と優しさを兼ね備えた父親なればこそ、マイホームを守り抜くヒーローになれるのだ。
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