思春期の少年少女は道を踏み外しやすい。
一歩間違えれば親や友人を刺し殺し刑務所へ……なんてこともあろうが、大人が上から目線で説教しても反発を招くだけで、素直に耳を貸すことはまずないはずだ。
今回はタカハシマコの漫画『ニコ』から、絶望の瀬戸際に立たされた思春期の少年少女が、道を踏み外さずにすむ予防策を模索していきたい。
悩みを発信し、理解者を作れ
本作には小学校高学年から中学生にかけて、悩める少年少女が多く登場するが、彼らの多くは親や友人と上手くコミュニケーションをとれず、鬱屈をためこんでいる。
そこで現れるのが少女型ロボット・ニコだ。
彼女のように都合の良い存在が向こうから来てくれるなら受け身に徹していられるので楽だが、現実にはそれはまずないので、自力で理解者をさがすしかない。
SNSで悩みを発信するのは、理解者を作る近道だ。
匿名ツールだからこそ本音を打ち明け、解決策の知恵を持ち寄れるなら、むしろ積極的に活用すべし。
親とは本音で話せ
本作において問題を抱えているのは少年少女だけではない。
嫌がる娘にまるで似合わないフリフリロリータファッションを着せ、「かわいいかわいい」と自己満足していた母親は、最終的に「オトナになりきれないコドモ」認定を下されニコに回収されてしまった。
幼稚すぎる毒親への痛烈なアンチテーゼだ。
もし親に抑圧されているなら、いやなことはいや、したくないことはしたくないと本音で話すのを推奨する。
子どもを産んだから、そしてある程度まで育てたからといって、大人の分別を備えた親ができあがるわけではない。
オトナコドモの親はそこらじゅうにおり、彼ら彼女らは子どもの意見などさっぱり聞かず、「あなたの為に」「よかれと思って」無神経な善意にくるんだ好みを押し付けてくる。
親の敷いたレールが必ずしも幸せな未来に繋がっているとは限らない。
いい子をやめるのは勇気がいるかもしれないが、横暴や過干渉にはすっぱりきっぱりノーを申し立て、関係の健全化をはかってほしい。
親の敷いたレールから脱線するのが正解、ということもこの世界では起こり得るのだ。
それが無理なら関係を断て
とはいえ、どうあがいても絶望するしかない状況もある。
理解者はいない。親も味方じゃない。
そうなったらお手上げだ、自分でも「これはやばい」とわかるはず。
幸せそうな人々をナイフやカッターでもって手あたり次第に切り付けたくなる前に、自分を隔離するのは賢い選択だ。
ニコは実際の接触を経て厚生不能と判断した、また自ら希望した少年少女を「船」と呼ばれる施設に連れて行く。
「船」は学校のようにいじめも起きず、親が存在しないネバーランドだ。
辛かったら逃げてもいい、現実逃避だって悪くない。
緊急避難として安全圏にひきこもるのは、子供に許された最後の自己防衛手段だ。
たとえ社会不適合者と叩かれようと、誰かを無差別に傷付ける前に部屋に鍵をかけるのは、それはそれで勇気ある決断なのだった。
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