クライアントの無茶振りは悩みの種だ。
アバウトすぎる発注を丸投げされ、「ふわっとしすぎだよ!」と心の中で全力ツッコミを入れてしまった経験は社会人なら誰しもあるのではないか。
がしかし、下請けを侮るなかれ。
今回は漫画『天地創造デザイン部』から、クライアントの無茶振りにこたえるコツを伝授したい。
仲間と知恵を出し合え、打開策は話し合いから生まれる
本作は天地を創造した神がさて生き物を作ろうとし、面倒くさいからやっぱやめたと、下請けに業務を丸投げするところから始める。
なんとも身勝手な話だが天地創造デザイン部の面々は会議を開き、ああでもないこうでもないと議論を戦わせて、クライアントの漠然とした依頼に添った動物を作り上げていく。
一人で悩んでいても始まらない、煮詰まってドツボにはまる悪循環。
エナジードリンクをがぶ飲みしても良い案が降ってこないなら、仲間の知恵を借りたらどうだろうか。
天地創造デザイン部の面々はそれぞれ得意分野が違うが、皆その分野には一家言あるプロフェッショナルであり、自分一人では到底思い至らなかった助言をもらえる可能性が高い。
打開策は話し合いから生まれるのだ。
過去の案を見直せ、斬新な視点が得られるかも
本作では若気の至り、厨二病が炸裂したイタタな没案が改稿後に採用されたりする。
気の毒にも黒歴史をほじくり返されたデザイナーは羞恥に悶えるが、没案にアレンジを加えて見直せば、「意外といいじゃん」「これイケるかも」と手ごたえを感じることはよくある。
せっかく生まれたアイディア、死蔵しておくのはもったいない。
当時は上手く生かしきれなくても、ある程度経験を積んでノウハウを掴んだ現在、仲間のアドバイスも取り入れて修正すればあっさり通ったりするのだから、世の中まんざら捨てたもんじゃない。
あなたが小説を書いた経験をお持ちなら、数年前の自作を読み返して、「今より面白いかも……」とへこんだ覚えがあるのではないか。
それと同じことが仕事にも言える。
若い頃にひねりだした企画をただ寝かせておくのは惜しい。人間年をとると頭が固くなり、柔軟な発想ができなくなる。
世間知らずを恥じるなかれ、若き日の企画書には固定観念に囚われない斬新な視点や「攻め」のアイディア、何より青臭い情熱が詰めこまれているのだから、積極的なリサイクルを推奨したい。
実地試験で早めに軌道修正せよ
天地創造デザイン部はデザイン担当班と試作班に分かれている。
クライアントの意向に添った動物の企画書ができあがったら、地上へ放す前にまず試作班に持ち込まれ、「地球の環境に適応できるかどうか、とりあえず作って動かしてみる」のだ。
実地試験を行えば、不備があっても即修正できる。
企画書の段階ではイケると確信しても、実際着手してみると何か違うと戸惑うのは社会人あるある。その際は試作班と連携して可及的速やかに軌道修正を図るのが吉だ。
机上の空論という言葉があるが、頭の中で組み立てたアイディアを実現できるかどうかは、試運転を重ねなければわからない。
クライアントの無茶振りにこたえるコツは、ネタに詰まれば素直に同僚の知恵を借り、過去の没案にヒントがないか検討し、試運転でその都度微修正を加え理想に近付けていく三箇条に尽きるのだった。
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