先日ネットサーフィンを楽しんでいた際に、『猫語の教科書』(筑摩書房)という興味深い本を発見しました。どうやら同書は、猫が書いた猫のための教科書。動物好きとして、チェックしないわけにはいかないでしょう!
まず同書の著者ならぬ“著猫”経歴は以下の通り。
交通事故で母を亡くし、生後6週間にして広い世の中に放りだされる。1週間ほどの野外生活を経て、人間の家の乗っ取りを決意。持ち前の器量を発揮し、居心地のいい家庭に首尾よく入りこむ。飼い主を思いのままにしつけた豊かな経験を活かし本書を執筆。
上記を見てなんとなく察しがつくと思いますが、この猫様… 相当“策士”(笑)。
己の可愛さや賢さを十分に理解したうえで、どのように振る舞えば人間が喜ぶのか熟知しているのです。
たとえば第1章では、“人間の家を乗っ取る方法”を掲載。
野良から飼い猫になろうと思い立った著猫が、まずとった行動は何だと思いますか?
正解は、乗っ取る家の下調べ。
家の外観や庭の様子を見て金持ちかそうでないかを判断し、その家の家族構成も調べます。
結果、家に子どもや使用人がいなければ好都合。
条件をクリアした家を見つけたら、次はひたすら悲しそうな声で鳴き続けるべし。
人間が同情心をくすぐられ、家の中に猫を招き入れたらもうこっちのものです。
仮にその後家から追い出されても、猫には“声を出さないニャーオ”というとっておきの秘策があるのだから。
これのやりかたは実に簡単です。ふつうのニャーオ、たとえば「外に出たいからドアを開けて」とか「おなかがすいた」とか「これは気にいらない」とかの意味を伝えるニャーオをいうときと同じに、相手を見つめて口を開けます。ただし、声は出しません。
想像してみてください。
猫を外に追い出した後に、ふと振り返るとこちらをジーっと見つめる猫の姿が。
そして声にならない鳴き声で訴えかけてくるのです。置いていかないで、と。
しかも1度は情をかけて、家に招き入れた間柄。
もうこれは見捨てるわけにはいかないでしょう。
家を乗っ取られる? 上等です。
この小さな生命体のためなら家の権利証だって差し出せる… と思っている時点で、まんまと猫の思うツボにハマってるんですけどね。
他にも同書には、人間に上手く取り入る方法が満載。
「一家の主である男性も、コツさえつかめば、あんがい簡単に操縦できる」「男性をおだててモノにする方法を、奥さんに使ってはダメ。なぜなら奥さんは前から猫と同じ方法で、ご主人を操っているから」「子どもとなかよしになれば猫の生活は保障される」など、ありとあらゆる処世術が綴られています。
加えてページの至る所には可愛らしい猫の写真が散りばめられており、読んでいるだけで猫の虜に。
そう、同書をとった時点で我々人間は猫の手中にあるのです。
酸いも甘いも知り尽くし、人間を意のままに操る猫様。恐るべし…。
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