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『Mr.Children 道標の歌』で知る、ミスチルの深海と泳ぎ続ける桜井の探究心

『Mr.Children 道標の歌』書影画像

歩みを止めないMr.Childrenの旅は、この先も未完のまま続いていく

昨年12月、桜井はマキシマム ザ ホルモンが主催し、R-指定やYOASOBIのAyaseらが参加した企画『ホルモンの新曲俺ならこう歌う選手権!!』に参加している。

これは原曲のメロディを知らずにマキシマムザ亮君が書き下ろした歌詞を様々なアーティストが歌い、そのアーティスト性を引き出すという実験的で贅沢な企画だ。

桜井は「ワクワク楽しみながら参加させてもらいました!」とコメントを残しているが、その爽やかとは正反対なアレンジでホルモンメンバーと視聴者を驚かせた。

 

また同じく12月には、記念すべき20枚目のオリジナルアルバム『SOUNDTRACKS』をリリース。

1曲目に収録されている『DANCING SHOES』の歌詞は、じんわりと手に汗をかくような生々しさと残酷さが感じられた。

それを強く感じるのがサビの部分だ。

その両手に繋がれた鎖 タンバリン代わりにして 踊れるか?

その両足にかせられた負荷に 抗いステップを踏め!

大きくなったバンドであれば、その分ファンも大勢いる。

全員を納得させることは不可能。

どんな歌詞を書こうとも、傷つく人は必ず出てきてしまう。

“両手に繋がれた鎖〜”、ときたらそれに続く歌詞はそれを破壊するワードが自然である。

ことロックバンドにおいて、鎖はアイデンティティを縛り付けるモチーフとして描かれる場合が多い。

それをぶっ壊し、晴れて自由の身となり自分らしく生きることを示す歌詞が、ある意味でロックミュージックのマナーである。

しかし、ミスチルは鎖や負荷からは逃れられないという理不尽で残酷な現実を提示した上で、それ以外の反抗をロックサウンドで鳴らした。

その歌詞と音からは、逃げずに現実に向き合っている姿勢が感じられる。

 

ミスチルがモンスターたる所以はデビューして25年以上経った今でも瑞々しく純朴に、まさに子どものように音楽に向き合っている姿勢に他ならない。

スタジアムでツアーが組めるトップバンドの座に胡座をかくのではなく、常に青さと牙を隠し持って世間を、そして自分たちを驚かせる。

何一つ不足していないように見えるのに、当の本人たちからは、まだまだ足りないという探究心や果てない渇望が垣間見えるのだ。

 

深い海に潜ろうともひまわり畑を見渡そうとも、はたまたスーパーマーケット中を探し回ろうとも彼らのゴールはまだ見つかっていない。

ゴールが無ければ終わらないし、完成していなければ成長は続いていく。

『Mr.Children 道標の歌』を読み、『SOUNDTRACKS』を聴いているとMr.Childrenの旅はこの先も未完のまま続いていくだろうなと嬉しくなる。

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