東川篤哉おすすめ小説10選【クスっと笑えるユーモア本格ミステリー】

あなたはミステリー小説に対してどのようなイメージをお持ちだろうか。

「難しそう」「重い展開」「読んでいて疲れる」などという印象をお持ちではないだろうか。

実際にそのようなミステリー作品も多く、「それがミステリーのいいところ」と感じている読者も多いだろう。

しかし、東川篤哉に限ってはそのイメージは全く当てはまらない。

東川篤哉の作品は全てミステリー作品だが、一貫してコメディ要素やユーモアが散りばめられている。

軽快なテンポ感、ユーモア溢れる言葉たち、謎解きを楽しみながら読める軽い読後感が、東川篤哉作品の持ち味である。

ミステリー初心者、思い切り笑いたい人、軽い気持ちで読書したい人に特におすすめしたい作品たちが、ここにはある。

『中途半端な密室』

東川篤也の初期の作品を集めた短編集。

表題作「中途半端な密室」のほか、全5編が収録されている。

 

表題作では、タイトルを見た瞬間「中途半端では密室とは言えないのでは?」という疑問が湧く。

しかし読み進めると、「なるほど」と納得できる。

確かに「中途半端な密室」なのだ。

偶然が引き起こした謎であり、周りを混乱に陥れるには十分だ。

短編ながら、各所にこっそり張られた伏線を回収していく様は見事である。

読後の爽やかさや痛快さすら感じられる。

 

他4作は、短編連作となっている。

斜めの視点を持つ閃きの安楽椅子探偵・敏(びん)ちゃんと、間抜けなお人好しワトソン役ミキオくん。

間接的に関わってくるストーリーテラー・則夫。

この作品たちの名物トリオである。

則夫がややこしくした話にミキオくんが振り回され、敏ちゃんが鼻で笑いながら事件を解決していくまでの一連の流れが小気味よく、軽快なテンポを生み出している。

岡山弁全開で、2人に振り回され続けるミキオくんを応援したくなる。

ミステリーながら、ゆるく楽しめるユーモアあふれる短編集。

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『中途半端な密室』の基本情報
出版社 光文社
出版日 2012/02/14
ジャンル ミステリー
ページ数 233ページ
発行形態 文庫、電子書籍

『謎解きはディナーのあとで』

ドラマ化及び映画化、2011年の本屋大賞受賞と、東川篤哉の名前を世に知らしめた一作。

ドラマや映画のワンシーンを思い浮かべながら読んでみるのも面白いだろう。

 

世界的企業グループのご令嬢である宝生麗子と、執事・影山。

とんちんかんな迷推理を披露する風祭警部。

なんとも個性的すぎるキャラクターたちが主役の物語だ。

 

「お嬢様の目は節穴でございますか?」「お嬢様はアホでいらっしゃいますか?」

執事・影山の主人に対する数々の暴言ぶりは癖になる。

キャラクターたちのやりとりは、まるでコントを見ているようだ。

本人たちが大真面目にやっているからこそ、笑ってしまう読者は多いだろう。

随所にトリックのヒントが散りばめられており、読者も謎解きをしながら楽しめる。

作品自体は、謎が解明されたところで終了である。

謎が解明された後、どうやって犯人を逮捕するのか想像するのもまた一興だ。

2、3、ベスト盤とシリーズとして続くので、暴言をさらに楽しみたい人は手に取ってみてはいかがだろうか。

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『謎解きはディナーの後で』の基本情報
出版社 小学館
出版日 2010/09/02
ジャンル ミステリー
ページ数 255ページ
シリーズ シリーズ全3巻
受賞 2011年本屋大賞受賞
発行形態 単行本、文庫、電子書籍、オーディオブック

『密室の鍵貸します』

東川篤哉の記念すべきデビュー作にして、烏賊川市シリーズの第1作目。

 

プロローグは、とてもミステリー作品の書き出しとは思えない。

突然、烏賊の話から始まるのだ。

架空の地「烏賊川市」。

音だけを聞けば、別の意味を連想させる。

ユーモア溢れる言葉遊びの一環。

これは、東川篤哉の得意技。

デビュー作から、東川ワールド全開である。

 

2つの殺人事件の容疑者となった大学生・流平と元義兄の鵜飼ペア、事件を調べる砂川、志木刑事ペア。

両方の視点から事件は進んでいく。

読み進めるにつれ、後半になるほど面白さが加速していく。

作り込まれたトリックとそれを感じさせないユルさの書きぶりとキャラクターたち。

軽いタッチで読める本格ミステリー。

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『密室の鍵貸します』の基本情報
出版社 光文社
出版日 2006/02/09
ジャンル ミステリー
ページ数 310ページ
発行形態 文庫、電子書籍

『学ばない探偵たちの学園』

鯉ヶ窪学園シリーズ第1弾。

東京都国分寺市にある閑静な住宅街、恋ヶ窪にある鯉ヶ窪学園を舞台にした学園「本格」ミステリーである。

他の作品以上にギャグ色強めで漫才を見ているような気分を味わえる。

野球ネタ満載、キャラクターの名前は関東在住者には馴染みのものばかり。

ミステリー以外の要素もふんだんに盛り込まれている。

 

転校生・赤坂通が騙されて入部した探偵部。

「探偵小説を読み、議論する」のではなく、自分たちが探偵になってしまう、奇想天外な部活である。

探偵部に所属する3人組のコメディのようなやりとりが魅力なこの作品。

特に部長・多摩川と副部長・八橋の「本格」に対するこだわりは並々ならないものがある。

校内で起こった密室殺人。

そして、学園の芸能クラスに在籍するアイドルの失踪。

探偵部員だけでなく、個性派揃いの教師たちが事件を引っ掻きまわしていく!

果たして、探偵部はどんな推理を繰り広げるのか。

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『学ばない探偵たちの学園』の基本情報
出版社 光文社
出版日 2009/05/12
ジャンル ミステリー
ページ数 311ページ
発行形態 文庫、電子書籍

『放課後はミステリーとともに』

鯉ヶ窪学園シリーズの2冊『学ばない探偵たちの学園』『殺意は必ず三度ある』の番外編であり、短編連作の形を取っている。

ラジオドラマ化、テレビドラマ化もされた作品。

 

主人公は、野球好き、特に広島カープの熱烈ファンである高校生・霧ヶ峰涼。

エアコンを彷彿とさせるキャラクターが続々と登場する。

舞台は鯉ヶ峰学園だが、前述のシリーズ2作の3人トリオはこの作品には登場しない。

この作品は、「冒頭の一作目から読んでください」との注意書きがされている。

読み進めていくうちに理由がわかる。

わざわざ注意書きがある理由にも納得である。

この作品には、騙される読者が続出している。

あなたは、騙されずに読むことができるだろうか。

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『放課後はミステリーとともに』の基本情報
出版社 実業之日本社
出版日 2021/01/29
ジャンル ミステリー
ページ数 272ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍

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