『Another 2001』あらすじと感想【史上最悪の災厄に、比良塚想が挑む】

『Another 2001』あらすじと感想【史上最悪の災厄に、比良塚想が挑む】

夜見山中学校の、三年三組。

〈死に近い場所〉であるこのクラスは、幾度となく〈災厄〉に襲われ、多くの犠牲者を出してきた。

〈災厄〉を防ぐ手段はただ1つ、クラスの誰かが〈いないもの〉となることのみ…。

自ら〈いないもの〉に立候補した〈比良塚想(ひらつか そう)〉を要に、かつてより強固な対策を講じた三年三組だったが、思わぬトラブルにより惨劇の幕が上がる。

想は、かつて三年三組に所属していた〈見崎鳴(みさき めい)〉の協力を仰ぎながら、〈災厄〉を止めようと奔走するが…。

『Another』単行本の発売から11年の刻を経て、夜見山に新たなる〈災厄〉が巻き起こる!

こんな人におすすめ!

  • ホラー小説が好きな人
  • ミステリー小説が好きな人
  • 『Another』を読了済みの人
  • 『Another エピソードS』を読了済みの人

あらすじ・内容紹介

夜見山中学校の三年三組。

このクラスには数年に1度、クラスに1人〈死者〉が交じる。

そしてそれが起こった年には、三年三組の関係者たちに様々な〈災厄〉が襲い掛かる。

〈災厄〉を防ぐ方法はただ1つ、クラスの誰かを〈いないもの〉として扱い、徹底的に存在を無視することのみ。

誰からも存在を認識されない過酷な役割を、かつて〈幽霊〉だった少年、〈比良塚想〉は自らの意思で引き受ける。

既に〈災厄〉の存在を知っていた彼は、確かな覚悟を胸に、〈いないもの〉を演じ切ることを誓う。

更に効果を確かなものとする為、追加の対策も取られた2001年は、〈災厄〉が起こるはずのない年だった。

しかしとあるトラブルを機に、彼らの努力を嘲笑うかのような〈災厄〉が吹き荒れ始める。

想は、3年前の〈三年三組〉に所属していた少女〈見崎鳴〉の協力のもと、後に〈史上最悪〉とも呼ばれることとなる〈災厄〉を止める為、奔走するのだが…。

単行本『Another』の発売から11年。

2001年の夜見山に、新たなる惨劇が幕を開ける…!

『Another 2001』の感想・特徴(ネタバレなし)

始まってしまった、新たなる〈災厄〉

あしたの状況次第では、ぼくは……

『Another』を読了済みの読者はご存知の通りだろうが、今作の魅力は〈死者〉がクラスに交じったことで起こる、〈災厄〉の恐ろしさにあるだろう。

1972年の〈とある出来事〉をきっかけに始まったその〈災厄〉は、誰かの呪いや祟りのような人為的なものでない故に、恐ろしい。

〈超自然的な自然現象〉とも呼ばれるこの〈災厄〉は、祓ったり鎮めたりすることのできない、地震や台風のような〈現象〉なのである。

前作『Another』において既に、〈災厄〉の法則や対策、そして始まってしまった〈災厄〉を止める唯一の方法は明かされている。

その法則に則って考える限り、三年三組の対策が非常に確実性の高いものであることは一目瞭然だ。

にも関わらず始まってしまった今作の〈災厄〉は、前作以上の激しさと恐ろしさを体感させてくれる。

また、クラスに紛れ込んだ〈死者〉の正体を探る様も、今作の大きな見どころだ。

前作『Another』を読了済みの読者は当然のこととして、前作が未読な人であっても、最初の数ページを読み飛ばすことさえしなければ、最序盤で〈死者〉の正体には容易に気付くことができる(と言うよりも、ほぼ暴露している)。

しかしそれすらも、更なる恐怖を煽るギミックとして見事に扱っている作品となっており、読者はきっと読む手を止めることが出来なくなるはずだ。

かつて〈幽霊〉だった、〈比良塚想〉の奔走

大丈夫。ぼくは、ちゃんとやる

〈災厄〉対策の要、〈いないもの〉。

学校内において、教師すらからも存在を認められないこの過酷な役割を、自ら進んで引き受けるのは、かつて〈幽霊〉だった少年、比良塚想だ。

彼は、〈災厄〉対策係の〈赤沢泉美(あかざわ いずみ)〉や学級委員長の〈矢木沢暢之(やぎさわ のぶゆき)〉、更に3年前の〈災厄〉の経験者である〈見崎鳴〉の協力のもと、〈災厄〉を防ぐ為(〈災厄〉が始まってからは、それを止めるために)奔走する。

外伝『Another エピソードS』において、あまりにも壮絶な経験をした彼が、どのような想いを抱えて〈いないもの〉の責務を担うのかは、今作の重要なポイントだろう。

懐かしの〈彼〉の影

想くんだね。久しぶり

前作『Another』を語る上で、欠かせない存在である存在、〈榊原恒一(さかきばら こういち)〉。

3年前、〈災厄〉に関する一切の情報を持たずに転校してきた彼は、事情も知らないままに〈災厄〉に巻き込まれた。

クラスメイトであり、当時の〈いないもの〉であった見崎鳴から事情を聞かされた彼は、〈災厄〉を止める手段を探し求め、ついにその方法を見つけた。

そして悲壮な決断の末、自らの手で、〈災厄〉を終わらせた。

そんな彼は直接登場せずとも、物語の様々な場面で存在感を放つ。

〈災厄〉に巻き込まれた想と、かつて〈災厄〉を終わらせた恒一。

満を辞しての2人の会話は、前作『Another』を読了済みの読者にとって、興奮を禁じ得ないものとなっている。

今作で恒一が、どのような役割を果たすのかも、要注目ポイントだ。

まとめ

漫画化、アニメ化、果ては映画化と、様々なメディミックスが展開されるほどの人気を博した『Another』の、その3年後を描いた今作。

後に、〈史上最悪〉と呼ばれるほどパワーアップした〈災厄〉や、その収束に奔走する想の様子は、見事な恐ろしさと切なさを見せる。

過去に『Another』を読んだことがある人も、気になっているけれど未だ読めていない人も、是非とも手に取って欲しい1冊だ。

また、著者である綾辻行人氏の脳内には、完結編となる『Another 2009』の構想が既にあるらしい。

それが書籍として世に放たれるか否かは、今作の売れ行き次第とのことなので、1人でも多くの方が本書を手に取ってくれることを、一読者として切に願っている。

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