『ししりばの家』あらすじと感想【最強の霊能者・比嘉琴子のルーツが今明かされる!】

『ししりばの家』あらすじと感想【最強の霊能者・比嘉琴子のルーツが、今明かされる】

〈比嘉姉妹シリーズ〉において最強の霊能者である、〈比嘉琴子(ひが ことこ)〉。

幼い頃から強い霊感を備えていた彼女は、如何にして〈霊能者〉となったのか。

〈砂〉に溢れた、とある〈幽霊屋敷〉を舞台に、彼女のルーツが明かされる。

〈砂〉が、〈家〉が襲いくる幽霊屋敷との対決を描いた、〈比嘉姉妹シリーズ〉第4作目!

こんな人におすすめ!

  • 民俗ホラーファン
  • ホラー小説が好きな人
  • 幽霊屋敷モノが好きな人

あらすじ・内容紹介

夫、〈笹倉勇大〉の転勤に伴って、神戸から東京まで引っ越してきた、〈笹倉果歩(ささくらかほ)〉。

激務に追われる夫を、1人待つ日々が憂鬱になってきたある日、彼女は偶然にも学生時代の友人〈平岩敏明(ひらいわ としあき)〉と再会する。

更に敏明から、彼の妻〈平岩梓(ひらいわ あずさ)〉も紹介され、都度都度家に招待されるようになった果歩は、1人で夫を待つ憂鬱から解放される。

平岩夫妻と親交を深めていく彼女だが、平岩邸の至る所に〈砂〉が積もっていること、そして夫妻がそれを〈当然のこと〉だと考えている違和感に、徐々に恐怖していくこととなる。

一方で、平岩邸を見張り続ける男性〈五十嵐哲也(いがらし てつや)〉。

幼い頃、友人の〈住吉純(すみよし じゅん)〉と〈相馬巧(そうま こう)〉、そして霊感を持った気弱な同級生、〈比嘉琴子〉と4人で、近所で評判の〈幽霊屋敷〉に忍び込んだ彼らは、そこで想像を絶する恐怖に襲われる。

それ以来、頭の中に〈砂〉が入っているような感覚に悩まされることとなった彼は、定職に就くことも、他人とコミュニケーションをとることすら難しくなり、愛犬〈銀(ぎん)〉の散歩以外では外出もままならなくなっていた。

そんな彼のもとへ、琴子が唐突に訪れる。

かつての気弱さのかけらも見せない彼女は、五十嵐の〈頭の砂〉を取り払うと宣言する…。

〈比嘉姉妹シリーズ〉最強の霊能者、比嘉琴子のルーツが、今明かされる!

『ししりばの家』の感想・特徴(ネタバレなし)

明かされる、〈比嘉琴子〉のルーツ

比嘉さんはどう?

僧侶から占い師、果ては〈潰し屋〉と呼ばれるようなあまり褒められたものではない霊能者に至るまで、実に数多の霊能者が登場するホラーエンターテインメント作品、〈比嘉姉妹シリーズ〉。

そんなバラエティー豊かな霊能者の中でも、最強の霊能力を持つのが、比嘉家の長女〈比嘉琴子〉だ。

常に冷静沈着に怪異と対峙し、感情の動きを滅多に見せることのない琴子。

今作ではそんな彼女の、霊能者としてのルーツが明かされる。

小学生時代の同級生、〈五十嵐哲也〉からの目線で語られる幼い頃の琴子は、現在の彼女からは想像できないほどの気弱な少女だ。

この頃から霊感は強く、様々なものが見えていた彼女だが、それらに立ち向かう術を持たない彼女は常に怯えている。

そんな琴子が、何故〈霊能者〉として活動するに至ったのか。

そして、現在の性格になったきっかけとは?

初めて明かされる比嘉琴子のルーツには、要注目だ。

また、今作では琴子の口から〈比嘉家〉の末路も語られる。

端的に語られる比嘉家の悲惨な末路。

そして、それに対する琴子の想いが垣間見えるのは、今作の大きな魅力だろう。

琴子すらも恐れる、〈ししりば〉の恐怖

ありがとう

琴子の霊能者としてのルーツに大きく関わる怪異、〈ししりば〉。

幼き日に〈幽霊屋敷〉に忍び込んだ五十嵐と、その友人である〈住吉純〉、〈相馬巧〉、そして比嘉琴子の4人に、想像を絶する恐怖を味あわせたその怪異は、その後の彼らの人生すらも左右するほどに強大な力を持っている。

ある者は正気を失い、ある者は命を落とし、五十嵐は〈頭の中の砂〉に悩まされ続けることとなり、更に琴子の人格形成にも多大な影響を与えた〈ししりば〉は、長い時間が経ち、〈平岩邸〉となった後も恐怖をもたらす。

更にその力は、最強の霊能者となった後の、琴子ですら恐れるほどに強力だ。

全貌が見えてくるほどに、より恐ろしさと悍ましさを感じさせる怪異が齎す恐怖を、是非とも堪能して欲しい。

解説はミステリーホラーの名手、三津田信三氏

新人作家のデビュー作で、ここまで楽しませてもらえる作品など、そうそうあるものではない

今作の解説を担当するのは、小説家の三津田信三氏だ。

〈刀城言耶シリーズ〉や〈物理波矢多シリーズ〉など、ホラーとミステリーを見事に融合させた作風を誇る三津田氏はまた、『どこの家にも怖いものはいる』や『わざと忌み家を建てて住む』など、多数の〈幽霊屋敷モノ〉を描いてきた人物でもある(余談だが、今作の著者である澤村伊智氏も三津田氏の作品のファンとして知られる)。

氏の解説では、読後の余韻を損わないままに作中の注目ポイントを教えてくれるため、解説を読み終わった後、すぐ再読したくなることだろう。

〈幽霊屋敷〉に対して深い造形を持つ三津田氏の『ししりばの家』への分析と解説は、両作家のファンにとっても要注目だ。

まとめ

人気作品〈比嘉姉妹シリーズ〉の4作目である今作。

シリーズ最強の霊能者である比嘉琴子のルーツが明かされる今作は、シリーズを追い続けた読者にとって必読の1冊だろう。

また、〈幽霊屋敷モノ〉の作品が好きな人であれば、三津田信三氏による解説も必見だ。

今作のホラーとしての完成度、そしてエンターテインメントとしての見事さを、さらに実感出来ること請負だ。

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