〈双葉山〉で起こった、血の惨劇から3年。
伝説の殺人鬼は再び殺戮を開始した。
最初に遭遇したのは、休暇中の一家。
誰かを守ろうとする正義も、脅威に立ち向かおうとする勇気も、家族への愛も、一切の意味を成さずに血の海に沈んでいく。
さらに山を下り街に降り立った殺人鬼は、家庭を、病院を真っ赤な血と肉で彩り、凄惨な地獄絵図へと塗り替えていく。
どんな反撃をも意味を持たない規格外の殺人鬼に挑むのは、〈他人の心〉に潜り込むことができる不思議な能力を持った少年、〈白河真実哉(しらかわ まみや)〉。
人知を超えた凶悪な殺人鬼と、9歳の少年の絶望的な戦いの果てに待ち受ける、驚愕の結末とは?
ミステリー作家の巨匠、綾辻行人氏による、戦慄のジャッロホラー!
目次
こんな人におすすめ!
- 残酷描写に耐性がある人
- ミステリー小説が好きな人
- サスペンス小説が好きな人
- ストレスが溜まっている人
あらすじ・内容紹介
10数名の人間が惨たらしい方法で殺害された、〈双葉山〉での血の惨劇から3年。
再び姿を現した〈伝説の殺人鬼〉は、すぐに殺戮を再開する。
最初に犠牲になったのは、平和なひと時を満喫する休暇中の一家。
辣腕刑事である夫、〈冴島武史(さえじま たけし)〉は指を食いちぎられ、決死の奮闘も虚しく眼球を抉り出された末に、頭部を踏み潰されて息絶える。
さらに幼い娘、〈冴島莉絵(さえじま りえ)〉はアスファルトの地面に叩きつけられて事切れ、妻の〈冴島美砂子(さえじま みさこ)〉は娘の屍肉を食わされる。
そして殺人鬼は街へと降り、平和な一家も静寂に包まれた病院も、ただひたすらに血の海に沈めていく。
そんな恐怖の存在に立ち向かうのは、不思議な力を持った9歳の少年、〈白河真実哉〉。
人の心に入り込み、さらにはその人物が見た景色を一緒に見ることができるという彼は、その不思議な力をもって殺人鬼に立ち向かう。
愛しい姉、〈白河愛香(しらかわ あいか)〉を守るため、規格外の殺人鬼との絶望的な戦いに挑む真実哉。
そんな彼を待ち受ける、衝撃の事実と驚愕の結末とは?
本格ミステリーの名手が描く、〈殺人鬼伝説〉の第2章‼︎
『殺人鬼―逆襲篇』の感想・特徴(ネタバレなし)
パワーアップした、殺人鬼の〈殺人描写〉
殺人鬼だ
前作『殺人鬼―覚醒編』で猛威を奮った、〈双葉山〉に潜む〈伝説の殺人鬼〉。
崖から落下し、命を落としたかに思えたこの脅威は、3年の時を経て復活を遂げた。
さらなる殺意を持って殺戮を繰り返す殺人鬼の殺人描写は、凄惨の一言に尽きる。
最初に殺人鬼に遭遇したのは〈冴島一家〉。
夫は目玉を抉り出した末に頭を踏み潰され、娘はアスファルトの地面に叩きつけられ、妻は娘の屍肉を無理やり食わせられた。
そして、さらなる殺戮を求めて街へと降った殺人鬼は、平和な街を血の海に染めていく。
人間を徹底的に痛めつけ、精神的、肉体的な苦痛を最大限与えてから殺そうとする殺人鬼の殺戮は、前作からさらにパワーアップして描かれている。
殺戮の描写は、まるで官能小説のような艶かしさすらも感じるほどに丹念に描かれており、読者を飽きさせることはないだろう。
息も吐かせぬ殺戮の数々を、存分に楽しむことが出来るはずだ。
不思議な力を持つ少年、〈真実哉〉の奮闘
あいつが、僕の中に……?
そんな恐怖の殺人鬼に立ち向かうのは、ほんの9歳の少年である〈白河真実哉〉。
肉体的には及ぶべくもない少年は、しかし〈人の心〉に潜り込むことができ、さらに他人の目を通して物事を見ることができるという不思議を持っている。
様々な人間の心や、さらには殺人鬼自身の目線から殺人鬼の行動を把握できる彼は、その力で殺人鬼の脅威から逃れ続ける。
しかし、最愛の姉である〈白河愛香〉の危機に際し、彼はとうとう殺人鬼と対峙することになる。
生まれついて持っていた特殊な能力と、愛する者を守る勇気をもって、殺人鬼の脅威に挑む真実哉。
果たして、少年はどのような手段を用いて殺人鬼と対決するのか。
また、対決のその先に待ち受けている、衝撃の結末とは?
あまりにも絶望的な、勝ち目の見えない戦いであるからこそ、読者はきっと、目を逸らすことが出来なくなるだろう。
綾辻行人氏ならではの見事なギミック
そんな莫迦な
ミステリー小説界でその名を知らぬ者はいないほどの大作家、綾辻行人氏。
そんな氏の作品である以上、今作にも〈推理要素〉が潜んでいる。
ヒントは物語の至る所に散りばめられており、注意深く読んでいれば気づくことは不可能ではない。
血と肉が飛び交う残酷描写に惑わされることなく、是非とも推理しながら読んでみて欲しい。
まとめ
『殺人鬼―覚醒編』の続編として描かれた今作。
前作では、〈双葉山〉の中でのみ惨劇を繰り広げていたがため、殺人鬼の恐怖は〈近寄らなければ大丈夫〉と考えることもできた。
しかし今作では、殺人鬼は街へ降りてきて、平和な一家も病院も、ひたすら血の色に染め上げていくため、その恐怖はより身近なものに感じられるだろう。
そして、その裏に張り巡らされた著者・綾辻行人氏の巧みな罠。
凄惨な殺戮の様子に幻惑されることなく、是非推理しながら読んでみて欲しい1冊だ。
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