あなたにとって、理想の老後とはなんだろうか。
優しい子どもや可愛い孫に囲まれたのんびり余生?
悠々自適な隠居ライフ?それともそれとも……。
楽しい妄想は尽きねど日々の衰えを痛感し、孤独死のニュースが流れればもしや自分もと戦々恐々とする人は多いのではないか。
今回はおざわゆきの漫画『傘寿まり子』から、老後をエンジョイするコツを学んでいきたい。
他人への好奇心を忘れるな。心の老いを食い止めろ
本作の主人公、まり子は傘寿(さんじゅ)。すなわち80歳だ。
少女漫画では最高齢のヒロインかもしれない。
まり子さんはプロの小説家である。
しかし最近は創作活動もふるわず、家庭でも居場所がなく息苦しさを感じていたところ、ふとしたきっかけで家出を決行する。
そこから彼女の第二の人生がはじまるわけだが、まず驚くのが無尽蔵のバイタリティと他人への好奇心。
とにかく彼女は誰にでも何にでも興味を持ち、「それでそれで?」と相手がどん引く勢いでぐいぐいくる。
その物怖じしない取材の姿勢たるやさすがプロ作家と脱帽するが、体の衰えはいざ知らず、心の老いを食い止めるには好奇心をもって他人に接するのが極めて大事。
人に興味をもつのをやめた時から老後は始まっている。
好奇心は猫を殺すが人を生かす。
体がしんどくて外に出るのが厳しいならテレビでも本でもネットでもいい、ちょっとでも気になった人の情報を積極的に調べてみてはいかがだろうか。
もしあなたが老後の準備を始める年齢にさしかかっているなら、誰かの何かを知りたがる姿勢をなくさないでい続けてほしい。
創作に貪欲であるべし。時間は腐るほどあるんじゃない?
まり子さんはこの道うん十年のプロ作家だ。
ヒューマンドラマに恋愛ものにミステリー、あらゆるジャンルを手がけている。
そんな彼女は常に作家として前のめり、どんな不幸や逆境に襲われようと「これってネタになるんじゃない?」とポジシティブシンキングに切り替える。
その例として愛猫を失った哀しみをエッセイに吐き出したら大ヒット。
齢80にして権威ある賞にノミネートされたりとただでは起き上がらない。
まり子さんの場合は小説だが勿論それ以外でもいい。
音楽・イラスト・刺繍・園芸・陶芸、その他ありとあらゆるクリエイティブな行為こそ格好の暇潰し。
時間がありあまった老後こそ、ものづくりに情熱を注がなくてどうするのだ?
幸い体力と関係なくできる創作行為はたくさんある。
SNSが発達した現代では発表の場にも事欠かない。
失うばかりで気が滅入るなら新しく生み出せばいい、引退すぎるのは早すぎる。
若者と交流しよう。傘寿から始まる青春もきっとある!
まり子さんは積極的に若者と交流していく。
若者に人気のカリスマ作家・クラハラや大学生ゲーマーのガリオなど、本来なら交わることない世代の懐にも飛び込んで、彼らに刺激を受ける姿は非常に生き生きしている。
お年寄りにありがちだが、ふと気付くと「今の若い子は」が口癖になってないだろうか?
「今の若い子は」の前に「これだから」が付くともっとやばい。
まり子さんは先入観や偏見を持たず、ゴスロリのクラハラやチャラいガリオに話しかけ、彼らの言動に「へえ!」「そうなのね!」と感心する。
今の若い子が実際に何をどう感じどう思っているかは、直接話してみなければわからない。
老後を楽しく生きるコツはできるだけ広い世代と交流し、彼らの見方感じ方を吸収していくことだ。
傘寿から始まる青春もきっとある。
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ちょっと前までは八十から徐々に赤子に戻っていく、と言われていたけど。興味深い作品です。
コメントありがとうございます!面白いのでおすすめです。