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夫婦の終着点。老老介護の実態とは?全盛期との落差がつらい

『よろこびのうた』書影画像

老老介護を苦にした心中は後を絶たない。

自治体や行政の援助が得られず、追い詰められた末の悲劇は胸が痛むが、この先数十年の長い視野で考えれば、けっして他人事と割り切れない。

今回は漫画『よろこびのうた』から老老介護の実態と、悲劇を回避する手段をさぐっていきたい。

片方が認知症になったら?全盛期との落差がつらい

本作は実際におきた老夫婦の心中事件がベースのフィクションだ。

元となった事件は、ある老夫婦が火葬場の焼却炉で死亡したというもので、なんともショッキングな内容である。

この漫画に出てくる夫婦の場合、妻の側に秘密がある為単純に「老老介護を苦にした心中」とも片付けられないのだが、長年連れ添った伴侶が認知症になったらどうするか……というのは、高齢化社会において避けて通れない命題だ。

妻が、あるいは夫が認知症になった。

昔はあんなに元気だったのに、今は生きてるか死んでるかわからぬほど無気力で、自分のことさえ日々忘れていく。

そのもどかしさ、やりきれなさはいかほどだろうか。

なまじ全盛期を知っているだけに辛いはずだ。

私は介護の勉強をした事があるが、その時講師に聞いたエピソードがとても印象に残っている。

「介護にあたるのが伴侶や子どもの場合、一番元気で何でもできた頃を知ってるから歯痒いんですけど、孫から見れば既におじいちゃんおばあちゃんですから、案外あっさり受け入れられるんですよね」

連れ合いや親の介護がしんどいのは、全盛期との落差を突き付けられるというのも一因だ。

子どもには頼れない

本作の夫婦には子どもがいない。限界集落で二人暮らしだ。

周囲も過疎化で老人ばかりである。

なので妻が認知症になったら、夫が家事全般と介護を引き受けねばならない。

田舎なので移動手段は車になるが、高齢になると運転もむずかしい。

昨今高齢ドライバーの暴走事故が叩かれがちだが、田舎だと足がなければ生活必需品の買い出しもできない故、どうしても車に頼らざるえなくなるのだ。

高齢者がパソコンを使いこなすのも難しい現状、ネットで買えばいいというのも想像力に欠ける意見である。

もし子どもがいたら介護に通ってもらい、一緒に住んでいれば面倒を見てもらえるかもしれないが、夫婦二人きりだとそれも不可能。

だからこそ、追い詰められていく。

老老介護は世話する方もされる方もお年寄りだ。

どちらも弱っている為に、万一介護する側が急死したら共倒れするしかない。

親族に頼るのも無理、行政もあてにならないとなれば、残る選択肢は限られてくる。

心中を考えるほどに……

本作の夫婦は最後に心中を選んだが、どうすればこの結末を回避できたか。

正直、わからない。

確実に言えるのは、行政の手助け以上に周囲の協力が欠かせないということ。

日課の散歩でも1日数分の立ち話でもなんでもいい、近所に顔を見せていれば「最近あの人うちから出てこないね……」と誰かしら気にかけてくれるはずだ。

密室で行われる介護は虐待に繋がりやすい。

ならば少しでも風通しをよくし、もしもの時の受け皿を増やしておくのだ。

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