カッコいいキャラクターといえば、どんな特徴を思い浮かべますか?
勇気があり、パワーもあって顔もいい。おまけに友だち想いで、いかなる時も決して仲間を見捨てない… といった非の打ち所のない人物像を想像しますよね。
いっぽう人気漫画家・ONE先生が生み出すメインキャラクターといえば、どれも冴えない大人たちばかり。
『ワンパンマン』(集英社)の主人公・サイタマも、『モブサイコ100』(小学館)の自称霊能力者・霊幻新隆(れいげん あらたか)もどちらかと言うとカッコいいとはほど遠い人物像です。
しかしなぜかカッコ良く感じるから不思議。
そこで今回は、ONE先生が描くカッコ良くない大人たちの魅力に迫りたいと思います。
強烈な魅力を発揮する1%のカッコ良さ
たとえば先にも挙げた『ワンパンマン』の主人公・サイタマは、何事にも無気力な男。
外見の特徴も頭がつるっぱげなことくらいで、本当に特徴のない顔をしています。
強いて言うなら『ちびまる子ちゃん』(集英社)の友蔵(ともぞう)からシワを抹消し、そこからさらに特徴を希釈したような顔…。完全に雑魚キャラ顔です。
しかし彼の凄いところは、この見た目でじつは地球最強のヒーローであること。
彼が放つ技は普通のパンチやキックなど、まるでカッコ良さの欠片もありませんが、どんな敵でも一撃で倒すことからワンパンマンと名づけられています。
ヒーロー活動もただの趣味だし、その見てくれのせいで敵キャラからも雑魚扱い。
しかしいつだって勝利の女神は彼に微笑み、彼は街の危機を救ってくれるのです。
見た目がいくら冴えなくとも、サイタマがヒーローであることには変わらない。
そう、ONE先生が描くカッコ良くない大人たちの特徴はまさにココ!
99%カッコ悪くても、残りの1%が強烈な魅力を放っているのです。
カッコ悪い=人間味が強い?
では『モブサイコ100』の霊幻新隆はどうでしょうか。
彼は最強のヒーローどころか、小心者のダメダメ詐欺師。
自称霊能力者を名乗りながらもその力はほぼ皆無で、除霊の全般を主人公のモブに任せています。しかもその間発生する時給はたったの300円!
ただ読者の人気は凄まじく、ネット上を見てみても「カッコいい!」の声が。
いったい彼の何がそんなに魅力的なのかというと、まず挙げられるのが心にグサッとくる名言の数々。
彼は大人としてだらしないところもたくさんありますが、言葉の節々から霊幻の人柄の良さが感じられるのです。
たとえば他の者がモブに助けを求めて力を使ってくれと頼み続ける中、霊幻が放った台詞がこちら。
「やめとけモブ! お前が苦しくなるだけだ!!」
「嫌な時はなぁ! 逃げたっていいんだよ!」
自分の命を顧みず、モブの将来を心配する彼の言葉には多くの読者が心を掴まれたことでしょう。
そもそも私が思うにONE先生が生み出す大人は、カッコ悪いのではなく人間味が強いだけ。
だからこそ我々と同じニオイがする彼らに親近感が沸き、1%の魅力が発揮された時に凄まじい魅力を感じるのです。
カッコ良くないけどカッコいい大人たち。新たな沼の誕生か!?
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