たおやかでおしとやか、常に男性の3歩後ろを歩くような女性が持て囃されていたのは、もはや遠い昔の話。
これからの時代、真にモテるのは”強くて頼もしい男前女子”!
たとえば、自己流で鍛え上げた弓矢の腕で、貧しい家族の食料を賄ったり。
たとえば、運悪くデスゲームの参加者に選出されてしまった妹をかばい、自ら死の舞台へと立候補したり。
たとえば、悪政を敷く強大な敵に立ち向かうべく、反乱軍の象徴として先陣をきって闘ってみたり――
そう、小説『ハンガー・ゲーム』シリーズの主人公、カットニス・エヴァディーンのように。
強くて頼もしいカットニスに惚れ込んだ二人の少年
カットニス・エヴァディーンという16歳の少女は、格別美しいわけではない。
彼女が住む第12地区の他の住民同様、常に飢えと隣り合わせにおり、痩せて不健康そうな顔色をしている。
口が達者なわけでもないし、人におもねるような態度も取らない。
どちらかといえば無愛想で、孤高のアウトサイダーといった風情がある少女だ。
普通、こんな女性がクラスや職場にいたら、きっと浮きまくっていることだろう。
しかし、カットニスは違う。
この少女、なぜだかやたらとモテるのだ。
カットニスに思いを寄せる少年は二人。
狩り仲間であるゲイルと、裕福なパン屋の息子・ピーターだ。
ピーターなどは、シリーズの第二幕で、カットニスを守るためだけに再び死地へ舞い戻ることを志願している。それくらい深く惚れ込んでいるのだ。
彼らはカットニスの何に惹かれたのか?
それは決して外見に現れるものではない。
彼女の内に秘められた意思の強さ、逆境にも決して屈しない心意気、そして、自らの命を投げ出してでも妹を守る愛の深さ…
そうした「内なる輝き」に魅せられて、少年たちはカットニスに惹かれるようになったのだ。
曲者揃いの反乱軍メンバーもカットニスの虜に
カットニスのモテ街道は続く。
かつて死のゲームの勝者となったが、現在は酒浸り生活を送る捻くれ者・ヘイミッチ。
その美貌で多くのマダムを惑わせてきたが、真に心を開くことはないフィニック。
カットニスに不審を抱く反乱軍リーダー・コイン首相の右腕であるボッグス。
これらの曲者も、カットニスと関わり合ううちに、次第にカットニスを信頼し、心を寄せるようになっていく。
もちろん、彼らの心を開くためにカットニスが何かを働きかけたわけではない。
むしろ、しょっちゅう口答えはするし言うことは聞かないし、なにかと反抗的な態度を取ってばかりいる。
それでも彼女は、常に「彼女らしく」あった。
そこだけは決してブレなかった。
彼女がやりたいことをやり、彼女が信じるものを信じ、彼女が守りたいものを守るために命をかけて闘った。
その姿勢が、その強さが、曲者たちをしてカットニスを放っておかなかったのだろう。
輝くカリスマ性は民衆をも導く…
やがてカットニスは反乱軍の象徴として祭り上げられるようになる。
象徴とは、いわばカリスマ性の塊だ。
どんな逆境にも折れない16歳の少女の姿は、長く悪政に苦しめられてきた民衆の心に火をつけ、世界中を包む猛炎へと育て上げた。
民衆は皆、老若男女に関わらず、誰もがカットニスの持つ「内なる輝き」に惹かれ、魅せられ、命を賭して反乱の渦へと飛び込む決意をした。
なぜ、カットニスはここまで多くの人々の心を惹きつけるのか?
『ハンガー・ゲーム』の作中には、それを表す象徴的なシーンがある。
ある時、カットニスは、反乱軍の象徴として民衆に呼びかけるプロパガンダ映像を撮影することになる。
最初は用意された原稿を読み上げていたカットニスだが、どうにもうまくいかない。
いくら熱心に台詞を吐いても、できあがった映像は、とても民衆の心を掻き立てるような代物とは思えなかったのだ。
しかし、多くの負傷者が横たわる戦場に立ち、彼女自身の思いとして口から発せられた言葉は、見るものすべての心を打った。
「美しく整えられた芝居としての台詞」ではない、「彼女のありのままの思いが詰まった言葉」だからこそ、人の心を動かすのだ。
常に自分らしく、ありのままでいよう
「モテ仕草」や「あざとかわいい」といった言葉とは対局の位置にいるカットニス。
決して他人になびこうとしない彼女がモテまくるのは、ひとえに、「彼女が常に彼女らしくある」からだ。
あなたもそう。
あなたがあなたらしくいることによって放たれる「内なる輝き」がきっとあるはずだ。
その輝きに目を向け、大事にすることこそが、これからの時代を強く生き抜く「真のモテ女」の秘訣なのかもしれない。
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