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キャラクターの運命とリンク?物語と水の親和性を探る

『ポーの話』書影画像

物語にはよく川がでてくる。

町を流れる川だったり資材を運ぶ運河だったり、その規模は様々だ。

小説に出てくる川の流れは何を象徴しているのだろうか?

今回はいしいんじの『ポーの話』から読み解きたい。

川は移動手段。川上をめざすか?川下に行くか?

ポーは川で生まれた子どもだ。

彼はうなぎ女と呼ばれる、川に素潜りしてうなぎを獲る集団に育てられる。

うなぎ女たちは川を泳いで移動する為、ポーも幼くして泳ぎ方や素潜りの仕方を体得していく。

昔から川は移動手段だった。

川の流れに身を任せることで、人や物は勝手に下流へ運ばれていく。

「易きに流れる」という言い回しも有名だ。

物語に登場する川は、往々にして主人公の行き先を象徴している。

ずっと遡るか下っていけば必然的にゴールに辿り着く為、川上をめざすか川下に行くか、どちらの行動をとらせるかでキャラクターのおかれた境遇や心理の表現が可能だ。

小説に川の描写が出てきた時は、主人公の歩き方や行き先と照らし合わせて妄想すると楽しいかもしれない。

常に流れを止めない変化性の象徴

川は常に移り変わる変化性の象徴だ。

嵐の時は大荒れし、凪いでる時はきらきら輝く。

主人公のポーは川の流れに身を任せ、町から町へ、村から村へと旅していく。

長旅の過程でポーは様々な経験を積み、様々な人々と出会いと別れをくり返して成長していく。

川の流れを時間の流れに見立てる小説は多い。

小説内に川の描写が出たら、キャラクターの人生が決定的な変化を迎える前ぶれかもしれない。

やがて海へ帰る、母性の包容力

川はやがて海へと流れ込む。

世界中のどの川もゴールは母なる海だ。

ポーもやがて海に流れ着き、思いがけない結末を迎える。

死んだら海に散骨を望む人は少なくない。

時に葬送の場となって死を受け入れ、新しい命を孵す海は母性の底知れなさを体現しているようだ。

ならば海に注ぎこむ川とは、子宮と繋がったへその緒だろうか。

何も考えず川下をめざす時、そのキャラクターはへその緒を手繰り、母親のところへ帰ろうとしているのかもしれない。

そして母親はふるさととも繋がっている。

ボーッと川を眺めるキャラクターの背中が哀愁をかきたてるのは、彼らの多くが今ここに居場所がないと感じ、ふるさとに帰りたがっているように見えるからかもしれない。

海に近付くほど潮の香は濃くなり、川はゆるやかに広がっていく。

流れに逆らい引き返すか、身を委ねて海に抱かれるか、川はキャラクターの運命とリンクしているのだった。

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