青春小説の金字塔『ぼくは勉強ができない』でお馴染みの直木賞作家・山田詠美。「でも、おまえ、女にもてないだろ」というような歯に衣着せぬ物言いが魅力的な登場人物たちが多く、文体も読みやすいのが特徴的。また、物事の捉え方や生き方について学べる作品ばかりなのも、老若男女問わず愛されている所以でしょう。
今回は読書好きの方19名に、Twitter上で山田詠美おすすめの1冊を選んでいただきました。その結果をランキング形式でご紹介します。
1位:放課後の音符
大人でも子供でもない、どっちつかずのもどかしい時間。まだ、恋の匂いにも揺れる17歳の日々―。背伸びした恋。心の中で発酵してきた甘い感情。片思いのまま終ってしまった憧れ。好きな人のいない放課後なんてつまらない。授業が終った放課後、17歳の感性がさまざまな音符となり、私たちだけにパステル調の旋律を奏でてくれる…。女子高生の心象を繊細に綴る8編の恋愛小説。
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MOO
中学生の頃、ちょっと背伸びして読んだ本。
この本に登場する、大人っぽくて同級生とはどこか違う雰囲気をもった女の子たちに憧れてました。
今読むと「もうこの時代には戻れない」って思う。ぜひ、10代に読んでほしい!
PSyche
高校時代に読んだ、私にとって初めての山田詠美作品。
登場人物は皆高校生。共感というより、私よりもずっと大人びていて、少々コンプレックスを感じながら読んでたな笑
間違いなく私の読書人生に影響を与えた1冊。やはり高校生におすすめしたい。
工藤
1人の少女が色んな女の子と出会っていく短編集。
少女から女へと素敵に成長していく様を、繊細かつ豊かな表現で描写されていて、読んだら「キュンと頬の奥が窪むような」素敵な恋をしたくなります。
女子中高生にはぜひ読んで欲しい!
ちょび♪
私が小説好きになったきっかけの本。
言葉の使い方に衝撃を受けました。慣れ親しんだ日本語なのに、初めて触れる文章でした。
内容も、思春期だった自分の琴線に触れるものばかりで、お気に入りの主人公が2人いました。
ページ数 | 224ページ |
2位:ぼくは勉強ができない
「ぼくは思うのだ。どんなに成績が良くて、りっぱなことを言えるような人物でも、その人が変な顔で女にもてなかったらずい分と虚しいような気がする」―時田秀美は17歳、サッカー好きの男子高校生。勉強はからっきしだが、めっぽうモテる。発表から四半世紀、若者のバイブルであり続ける青春小説の金字塔。
(Amazon商品説明より)
シャロン
中学の頃に出会った、今までもこれからもわたしのバイブル。秀美の生き方や周りの人たちのキュートさ、あざとさ、生き難さを全て自分の話だと思ってもう10年。
何十回も読んでいるので本はボロボロだけど、何度読んでも春には甘い香りがする気がします。
Ema
高校生の頃に勧められて読んだ本です。
当時は秀美くんのことを「変なやつだなぁ」くらいに思っていたけれど、大人になってから改めて読み返すと随分印象が違いました。
『ライ麦畑でつかまえて』っぽくもあり、今読むとなんだかとても眩しいです。
ぽんめ
主人公・秀美の何にでもまっすぐ向き合う姿が眩しい。
高校生らしからぬ名言がぽんぽん出てくるのも魅力。「自由にして窮屈」という言葉の意味が当初はわからなかったけど、「秀美=自由」という枠にはめられてたってことかなと今になって思う。
dhstm
学生のうちに出会えて良かったと思える一冊。
ページ数 | 269ページ |
3位:ジェントルマン
眉目秀麗、文武両道にして完璧な優しさを持つ青年、漱太郎。しかしある嵐の日、同級生の夢生はその悪魔のような本性を垣間見る―。天性のエゴイストの善悪も弁えぬ振る舞いに魅入られた夢生は、漱太郎の罪を知るただ一人の存在として、彼を愛し守り抜くと誓う。切なくも残酷な究極のピカレスク恋愛小説。
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とも雪
美しい狂気を描いた作品。
中学生の頃に読んで衝撃を受けました。刺激的な内容ですが、文章がとても綺麗なので読みやすかったです。
新しい世界に足を踏み入れた気分を味わいたい方はぜひ!
受賞 | 第65回野間文芸賞受賞 |
ページ数 | 256ページ |
4位:タイニー・ストーリーズ
当代随一の書き手がおくる、宝石箱のような短編小説集。アメリカ人兵士との恋愛を描く「GIと遊んだ話」から、街に立つ電信柱がその心情を語る「電信柱さん」まで21種のまったく異なる感情の揺らめきが、それぞれにまばゆい光を放ちます。ささやかなのに心をとらえて離さない、極上の物語たちをご堪能ください。
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ラマンボ
学生時代、学校の図書館で読んだ作品。笑えるところもあるけど、ブラックなラストに「こっわ!!」って思ったことを覚えてます(笑)
ちなみにこの中で一番好きな物語は「宿り木」です。短編集なので、活字をたくさん読むのが苦手な人にもおすすめ。
ページ数 | 348ページ |
5位:ラビット病
天涯孤独で大金持ちのわがまま娘・ゆりと、横田基地に勤めるアメリカ軍人・ロバートは、何もかもまるっきり違っているけれど、心も体もぴったり馴染んだ恋人同士。怖がりで涙もろい純情青年のロバちゃんは、気分屋で素っ頓狂なゆりちゃんに翻弄されてばかり。周囲に呆れられてもへっちゃらで、いつもうさぎみたいに寄り添ってくっついている二人の日々を描いた、スイートでハッピーな連作集。
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さやかちん
感想、「多幸感」です。
ページ数 | 232ページ |
6位:A2Z
恋は知らない時間を連れてくる。大人の極上の恋愛小説。読売文学少女賞の傑作。文芸編集者・夏美は、年下の郵便局員・成生(なるお)と恋に落ちた。同業者の夫・一浩は、恋人の存在を打ち明ける。恋と結婚、仕事への情熱。あるべき男女関係をぶち壊しているように思われるかもしれないが、今の私たちには、これが形――。AからZまでの26文字にこめられた、大人の恋のすべて。読売文学賞受賞作。
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かおらべ
この本には個人的な思い入れが強すぎてうまく説明できないけど、アルファベット26文字の小気味よいテンポで展開されていくストーリーに惹き込まれる。
現在の夫がまだ恋人になる前に贈りあった一冊ゆえに。25歳のわたしたちは恋愛小説が好きだった。
受賞 | 第52回読売文学賞受賞 |
ページ数 | 232ページ |
7位:風味絶佳
70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランマは、ガスステイションで働く孫の志郎の、ままならない恋の行方を静かに見つめる。ときに甘く、ときにほろ苦い、恋と人生の妙味が詰まった小説6粒。谷崎賞受賞。
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麩
肉体労働者たちの恋と人生を描いた短編集。
特に印象に残っているのは表題作で、これに登場するグランマはなかなか変わった人。でも彼女の言葉にはなんとも言えない恋の妙味が詰まっている。
読み返す度に味わい深く美しい文章にうっとりします。
受賞 | 第41回谷崎潤一郎賞受賞 |
ページ数 | 259ページ |
8位:4U
男が長いことつかっていたバスタブの湯は、はたして、スープか?毒きのこを食べに長野に出かけたマル、彼への桐子の暖かな想いを綴る「4U」。死んだ風変わりな少女の記憶を辿り、デビュー前の自らを思い起こす「眠りの材料」。右手のない渚子、彼女の義兄への激しい想いと、熾烈な自己愛を描く傑作「天国の右の手」他。9つの恋の化学反応(ケミストリー)。
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saki
読みやすい短編集。
男女の関係って「恋人」とか「夫婦」とか「浮気」とか記号をつけることは簡単。けど実際は、密やかで自分でも理解できなくてこの先はどうなるか解らない。そんな状況を受け止めて楽しむ余裕があるっていいなと思う。
ページ数 | 249ページ |
9位:風葬の教室
私の心を束縛し、私の自由を許さない美しき親友のえり子。彼女の支配から逃れるため、私は麦生を愛し、彼の肉体を知ることで、少女期からの飛翔を遂げる「蝶々の纏足」。教室という牢獄の中で、生贄となり苛めをうける転校生の少女。少女は自分を辱めた同級生を、心の中でひとりずつ処刑し葬っていく「風葬の教室」。少女が女へと変身してゆく思春期の感性をリリカルに描いた3編を収録。
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竹本ピストンピアノ
主人公は達観していますが、その年齢の子供たちにまさにありそうな世界。
転校生の少女やら、死やら、まさしく詠美ワールド溢れる一冊ではないでしょうか。
ページ数 | 215ページ |
10位:晩年の子供
メロンの温室、煙草の畑、広がるれんげ草の群れ。香り高い茶畑、墓場に向かう葬列、立ち並ぶ霜柱など。学校までの道のりに私が見た自然も人間もあまりにも印象的であった。心を痛めることも、喜びをわかち合あことも、予期しない時に体験してしまうのを、私はその頃知った。永遠の少女詠美の愛のグラフィティ。
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三白眼太郎
子供に死生観を託したことで、子供ゆえの純粋さがかえって危うさを助長させていると思う。小学生の時に「蟬」と「ひよこの眼」にゾッとした。
ページ数 | 222ページ |
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。
自分の大好きな1冊、懐かしい1冊、再読してみたくなった1冊、気になってはいたが読めていない1冊などはランクインしていましたか?
この記事が新たな作品との出会いのきっかけになればと願っております。
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