法と正義は必要なのか?
そして、犯罪を犯罪たらしめるものとは?
世界の根幹を揺るがす、新たな戦いが始まる。
目次
こんな人におすすめ!
- 近未来SFが好きな人
- PSYCHO-PASSシリーズが好きな人
あらすじ・内容紹介
世界中で紛争が巻き起こる中、世界で唯一の安全な国家となった日本。
それを可能としたのは、厚生省が管轄する巨大監視ネットワーク、「シビュラシステム」だった。
シビュラは市民全ての精神状態を監視し、それぞれの適正や傾向に応じた未来を用意する。
更に、罪を犯す可能性「犯罪係数」が規定値を超えれば、「潜在犯」として、罪を犯すよりも前に逮捕、もしくは射殺される。
街の治安維持を担うのは、潜在犯であるが故に犯罪捜査に向いているとシビュラに判断され、犯罪者を追う「執行官」と、彼らを監視する厚生省のキャリア「監視官」で構成された、公安局刑事課。
長らく続いた日本の鎖国政策が終わり、入国者の存在が許されたシビュラ社会は、これまでに無い変革を迎え、期待と不安が渦巻いていた。
そして公安局刑事課1係にも新たに、胸にとある決意を秘めた2人の監視官が赴任する。
大人気アニメシリーズのノベライズ版‼︎
『PSYCHO‐PASSサイコパス3〈A〉』の感想・特徴(ネタバレなし)
個性豊かな新キャラクターたち
特A級メンタリスト・スキル。高度な共感により精神的ボーダーラインを越境する
本作は、大人気アニメシリーズ『PSYCHO-PASS』の3作目、『PSYCHO-PASS3』をノベライズしたものだ。
シリーズが続くに伴い、主人公をはじめとした各キャラクターたちも刷新された。
今作から登場する主人公・慎導灼(しんどう あらた)監視官は、「特A級メンタリスト・スキル」を持ち、他者の思考や感情をトレースすることで、まるで超能力のような洞察力を発揮する。
またパルクールという特技も持っており、障害物や高低差のある地形を難なく突破していく行動力もある、個性的な主人公だ。
更に、こちらも今作から登場するもう1人の主人公、紛争地帯での従軍経験を持つ入国者、炯・ミハエル・イグナトフ(けい–)監視官。
慎導灼とは幼なじみであり、そして互いの精神的な「ザイルパートナー」。
過去に起こった、とある悲劇的な事件の悲しみを共有し、そこに残された謎を解く為に監視官となった2人の主人公監視官。
個性溢れる新たな主人公たちが、物語をリードしていく。
そして彼らとともに事件を追う、新たな執行官たち。
ベテランで執行官たちのリーダー的存在の荒くれ者、廿六木天馬(とどろき てんま)。
シビュラから見捨てられた土地である廃棄区画生まれ、廃棄区画育ちの入江一途(いりえ かずみち)。
他の執行官とも馴れ合わないクールビューティ、如月真緒(きさらぎ まお)。
監視官への不信感を持ちながらも、ともに事件に向かっていく彼らの活躍にも、要注目だ。
過去作のキャラクターたちも、もちろん活躍
〈狐〉は他にもいる。──猟犬から逃れ続ける存在が
物語を引っ張ってゆくのは、新キャラクターたちだけではない。
第1作目から登場しているキャラクターたちの活躍も、しっかりと描かれている。
過去に復讐をやり遂げ日本から去り、外務省行動課として再び日本へと戻ってきた元監視官にして元執行官、狡噛慎也(こうがみ しんや)。
狡噛の親友であり、かつて事件を追う中で監視官から執行官となってしまい、現在は公安局を離れ外務省行動課に属する宜野座伸元(ぎのざ のぶちか)。
第2作目『PSYCHO-PASS2』から登場したホログラムの天才にして、かつての公安局1係が崩壊する事件を経て唯一1係に残った執行官、雛河翔(ひなかわ しょう)。
コンピュータ技術において右に出るものの居ない妖艶な美女、唐之杜志恩(からのもり しおん)。
最年少で監視官に抜擢され、現在では刑事課長を務める才媛、霜月美佳(しもつき みか)。
そして、「人殺しの元監視官」として投獄されている常守朱(つねもり あかね)。
彼らもまた、歴戦の猛者として物語をより魅力的に仕上げていく。
過去の謎と、現在の犯罪
アイム、ハッピー♪
そして何より『PSYCHO-PASS』の世界観を盛り上げてくれるのは、魅力的な「謎」だ。
第1期の『PSYCHO-PASS』で登場した、犯罪係数の上がらない「免罪体質者」槙島聖護(まきしま しょうご)や、第2期の『PSYCHO-PASS2』で登場したシビュラに認識されない、複数の人間の複合体とも言える鹿矛囲桐斗(かむい きりと)とも違う新たな敵、梓澤廣一(あずさわ こういち)。
彼の仕掛ける謎は、大多数が無意識的に関与することで1つの「事故」を起こし、ターゲットを死傷させる。
直接手を下さず、また生死を分ける最後の判断を被害者自身に下させることにより、自身の犯罪係数を上げずに済むという狡猾な犯罪は、シビュラの盲点を突く。
そして梓澤が属する「インスペクター」、その上位組織と思われる謎の存在「ビフロスト」。
その中心人物として描かれる3人の「コングレスマン」、法斑静火(ほむら しずか)、代銀遙熙(しろがね はるき)、裁園寺莢子(さいおんじ きょうこ)。
彼らの思惑もまた、謎に包まれている。
そして、2人の主人公が監視官を目指すきっかけとなり、また常守朱が投獄される理由ともなった過去の事件の謎。
複雑に絡み合った様々な謎が、物語を盛り上げる。
まとめ
社会を司るシビュラシステムと類似したシステムを持つ謎の存在「ビフロスト」と、そこから派生する様々な事件。
そして事件を追う、個性溢れる新旧のキャラクターたち。
『PSYCHO-PASS』シリーズの総決算とも言える巨大な事件の全貌は、『PSYCHO-PASS3〈B〉』で、更にその姿を垣間見せるだろう。
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