年賀状に子供の写真をプリントする家庭は多い。
親バカならずとも自分の子どもこそ世界で一番かわいいと感じるはずで、なればこそ最も魅力的な表情を撮りたいと思うのは、世の中のお父さんお母さんの願いだ。
されど子供は小さな怪獣、ひとときたりともじっとしていない。
結果写真はブレブレ、目鼻立ちすらわからない写真ができあがる。
今回は写真集『未来ちゃん』から、最高に魅力的な子供の写真を撮るコツを伝授していきたい。
全力で遊んでいるところを撮れ!
本作はある島で暮らす女の子、未来ちゃんの日常を切り取った写真集だ。
ちなみに未来ちゃんは本名ではない。
カメラマンはファインダーを覗き、被写体が「未来ちゃんになった」と思った瞬間にシャッターを切ったらしい。
未来ちゃんは大自然の中で元気いっぱい遊んでいる。
ある時はふかふかの新雪にダイブし、ある時は木によじのぼり、ある時は布団に見立てたティッシュをお人形さんにかけてと、実にフリーダムである。
撮影中じっとしているのは子供にとって苦痛だ。
子供は好奇心のかたまりであり、お澄まししてろと言うのは無理な注文。
ならばいっそ自由に遊ばせてあげたらどうだろうか。
アクティブに駆け回る姿を写真に撮れば、生き生きした表情をおさめられるはず。
カメラが視界に入ると気が散るなら、物陰に隠れてこっそりパシャリするといい。
小さいお子さんをお持ちなら、子供がスマホをいじっている時、偶然撮れた一枚に吹き出してしまったことがあるはずだ。
お互い失敗したくないと気負ってかしこまるせいで、かえって表情が固くなる。
良い写真を撮るには被写体にリラックスを促すのが先決。
存分に野放し、もとい遊ばせてあげてほしい。
部屋は散らかってる方がいい!
未来ちゃんの自宅は混沌係数が高い。常に物が散らかっている。
未来ちゃんがおじいちゃんの肩に乗った写真がいい例で、昭和レトロな部屋の様子と相俟って、なんともほのぼのした味わいを出している。
室内で写真を撮る時、体面にこだわって片付けてしまうのは親がよくやる失敗だ。
むしろありのままでいいのだ。
綺麗に片付いた部屋でカメラを向けられても、子供はその違和感が気になって上手く笑えず、素の魅力的な表情を出してくれない。
ゴミ屋敷レベルの見苦しさならさすがにどうかと思うが、オモチャや絵本で散らかっている方が見る方は親しみがわくし、子供もリラックスして撮ってもらえる。
バタバタ走り回って取り繕うのはナンセンス。
普段使いのオモチャや絵本は被写体を引き立て、オンリーワンの個性を演出する小道具だ。
大前提として、好きな物に囲まれている方が被写体はいい顔をする。
周囲のオモチャや絵本で子供の好みや親の人となりもわかるし、適度な生活感は魅力でこそあれ、恥じるには値しない。
子育て家庭においては部屋の散らかり具合も大きな魅力なのだ。
ちょっと位のイタズラは大目に見て!
未来ちゃんはイタズラの常習犯だ。カメラはその犯行現場をばっちりとらえている。
子供が一番輝くのはイタズラをしている時だ。
後始末をする親には迷惑千万だが、子供時代を思い返せば会心のイタズラで大人をあっと言わせた時が最もテンション上がったし、「計画通り」とドヤ顔を決めこめた。
頭ごなしに叱り付けるのはちょっと待った、決定的瞬間をカメラにおさめないのはもったいない。
YouTubeでは子供のイタズラ動画が再生数を稼いでいる。
トイレットペーパーを撒き散らかしクレヨンで壁に落書き、お母さんのメイク道具で化けた子供たちの表情はとても生き生きして、怒ろうと気構えた親の笑いを誘うほどだ。
大人になって社会に出たら失敗は許されない。
せめて子供のうちはだけは、笑って許してあげたらどうだろうか。
後片付けにてんてこまいの親御さんには同情するが、いい写真が撮れたと思えばちょっとはスッとするのではないか。
イタズラ大成功のドヤ顔を写真に残しておけば、「あんたこれ覚えてる?」とのちのち弱みに使えるかもしれない。
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