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京極夏彦おすすめ小説10選+2【緻密に組み立てられた、京極ワールドの魔力】

1994年に、鮮烈なデビューを果たした京極夏彦氏。デビュー作『姑獲鳥の夏』を持ち込まれた講談社の編集者は、作品を読み耽った挙句「著名な作家が編集部のリテラシーを試しているのでは」とまで邪推したという。

そんな強烈なエピソードを持った氏は、今に至るまで数多くの作品を生み出し続けている。陰惨な事件からくだらないギャグまで、全てが緻密に計算された圧倒的な筆力。物語に都度都度挟み込まれる、異様なまでの知識量と分析。1度でもハマってしまえば、その魅力から離れられなくなることは間違いのない作家である。

この記事ではそんな京極夏彦氏のおすすめ作品を、シリーズ作品5作、ノンシリーズ作品5作の計10作品を紹介する。

『姑獲鳥の夏』【百鬼夜行シリーズ】

姑獲鳥の夏

京極夏彦氏のデビュー作にして、代表作

言わずと知れた、デビュー作『姑獲鳥の夏』を含む京極夏彦氏の代表作。戦後間もない日本を舞台に起こる、多くの陰惨な事件を描いている。

これは京極夏彦氏の作品全般に言えることなのだが、氏の作品に対して「読み辛い」というイメージを持っている人は少なくないのではないだろうか。実際、緻密に組み立てられた文章と溢れ出る雑学、そして偏執狂的なまでに貫かれた「文章が頁を跨がない」という独自ルールは、読み手を選ぶ様にも感じるかもしれない。

しかし、特に今作は個性的なキャラクター達の活躍を楽しむ「キャラクター小説」的な側面が強い作品だ。出不精で陰気、更には失語症の気もある「如何にも不幸っぽい」作家、関口巽。本業の古本屋、家業の神主、そして副業の憑物落としという3つの顔を持つ中禅寺秋彦。「他人の記憶が見える」という特殊な能力を活かして探偵を生業とする、破天荒で支離滅裂な榎木津礼二郎。その榎木津の幼なじみにして、従軍時代の関口の部下、四角い顔と頑強な肉体を持つ根っからの刑事・木場修太郎。豊富なキャラクターたちが各々の想いによって行動し、懊悩し、事件に巻き込まれ、または事件に挑んでいく姿は、今作の大きな見どころだろう。

また、このシリーズでの謎解きの大きな特徴は、謎解きが「憑物落とし」の作法に則って行われる、という点。本作で謎解きをするのは探偵・榎木津礼二郎ではなく、憑物落とし・京極堂こと中禅寺秋彦である(そもそも榎木津に関しては、珍妙な言動で事件を更に混乱させることも多い)。彼は自宅にいながら、関口や榎木津、木場たちの話を聞き、あらゆる情報を把握、統合した上で事件の真相を見抜く。

そして事件とそれに潜む謎、事件に拘ったあらゆる人物の心に巣食う不安や苦しみなどに、京極堂は妖怪(憑物)の名前を与える。その妖怪に対して一番有効な方法をもって妖怪(憑物)を登場人物から払い落としていくことで、事件の真相を暴くだけでなく、拘った人間の心までもを救うのである。

通常のミステリー小説とは異なる、一風変わった謎解きは一読の価値がある。読み易さで言えば、京極夏彦氏の作品の中でも随一と言えるだろう。

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『旧怪談』【現代怪談シリーズ】

旧怪談

背筋に怖気が走る、不条理な短編集

「辞書」や「煉瓦」と呼ばれることの多い氏の作品群の中で珍しい、薄めの短編集。

本当に怖いものを追い求める男の話や、庭から生えている手首の話、情念が織りなす鬼の話など、其々に不条理さや得体の知れなさ、或いは理由を明確に説明出来ない様な恐ろしさが満ち溢れている。

『百鬼夜行シリーズ』とは打って変わり、抽象的であったり漠然としていたり、えも知れぬ不安や薄気味悪さを感じさせる作品が数多く収録された作品集だ。とは言え、決して不気味なだけの作品ではない。全ての文章は巧緻に組み立てられており、一切の無駄はない。理に則って不条理を描く、とでも言うべき手法は、京極夏彦氏ならではのものだろう。

怪しかったり儚かったり恐ろしかったり、様々な感覚を楽しめるシリーズだ。

『巷説百物語』【巷説百物語シリーズ】

巷説百物語

京極版、必殺(妖怪)仕事人!

京極版、必殺仕事人とでも言うべきシリーズ。

前述した『百鬼夜行シリーズ』が、不可解な出来事に妖怪(憑物)の名をつけ、理論立てて解き明かすことによってそれを落とすシリーズであるのに対し、こちらは理論立てて説明できる事柄を複雑に積み立てることで、妖怪の仕業に見せるという、妖怪に対する真逆のアプローチが行われている。

江戸時代を舞台に小悪党一味が、公には裁けない悪党どもに鉄槌を下すという、痛快なストーリー構成。特筆すべきはその鉄槌が、妖怪の伝承に則って行われる点だろう。

悪党相手に妖怪譚を徐々に刷り込み、下準備を念入りに行った上で、まるで妖怪の仕業としか思えない様な大胆な事件で悪党を懲らしめる。氏の作品の中でも、大きなカタルシスが得られる作品の1つだ。

『書楼弔堂 破曉』【書楼弔堂シリーズ】

書楼弔堂 破曉

「書」を巡って広がる世界

明治を舞台に描かれるのは、弔堂なる書店で繰り広げられる店主と客の会話劇。

客は、月岡芳年から泉鏡花、平塚雷鳥やジョン万次郎といった名だたる人物。歴史に名を残す以前の己の人生に、社会のあり方に、過去に、未来に思い悩む客達に向けて、本屋は彼ら彼女に必要な1冊の本を勧める。

その中で描かれる思想や歴史は、丁寧にして重厚。派手な事件こそ起こらないが、会話劇だけで充分に魅せる見事な作品となっている。

京極夏彦氏の中でも新しめのシリーズで、現状では『書楼弔堂 破曉』と『書楼弔堂 炎昼』が発刊されているのみなので、比較的手が出しやすい。

『ルー=ガルー 忌避すべき狼』【ルー=ガルーシリーズ】

ルー=ガルー

京極夏彦氏が描く、新感覚SFシリーズ

京極夏彦氏によるSFシリーズ。

「端末(モニタ)」の所持が義務付けられ、常に位置情報を把握される管理社会。ヒトとヒトとの繋がりも「端末(モニタ)」を通すことが当然となり、「物理接触(リアルコミュニケーション)」が希薄となった社会を舞台に繰り広げられる陰惨な事件と、その黒幕に立ち向かう少女達の戦いを描いている。

今作で描かれる近未来社会は、インターネット上で募集した様々な着想から作り上げたもの。様々な人間の多種多様なアイデアを過不足なく詰め込んで創り上げられた社会は、まるでそうとは思えない程に緻密な設定が為されており、氏の手腕が光るところ。

また、そこで起こる陰惨な事件は『百鬼夜行シリーズ』を思わせる猟奇的なもの。事件に関わってしまった大人たちが捜査を進める様子や、個性あふれる少女達が事件に挑んでいく様子など、見所は非常に多い。

特にラストバトルの様子は爽快感溢れるものとなっており、氏の作品の中では前述した『巷説百物語』と並んで大きなカタルシスが得られる作品だ。

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『虚実妖怪百物語』

虚実妖怪百物語

実在の作家たちが織りなす、新たな妖怪大戦争

今作はいわゆる実名小説。

登場するのは著者である京極夏彦氏を始め、『帝都物語』で有名な荒俣宏氏やクトゥルー系の作品を多く手がける小説家の黒史郎氏。さらには数々の名作怪談作品を生み出した編集者の東雅夫氏、日本でただ1人「妖怪研究家」を正式な肩書として食べていける多田克己氏、etc…。

そして忘れてはいけない、「妖怪」といえばこの人を抜きにして語れないであろう大漫画家、水木しげる大先生まで登場する。

そんな錚々たる面子が挑むのは、街に妖怪が溢れるという奇怪な現状。それに伴って蔓延する社会の全体主義化。陰惨極まる暴力的な世界観で、変わらず軽口を叩くマイペースな著名作家や編集者たちが、命の危険を感じてるのだか感じていないのだか分からない馬鹿な会話とともに事態の解決に当たる。

メジャー・マイナーも、古い新しいもの問わず、妖怪から怪獣まで登場する異様な小説。かなり分厚いが尋常でない勢いがあり、読みはじめたら一瞬で読み終えてしまうだろう。

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『厭な小説』

厭な小説

ただひたすらに「厭」なお話

ただひたすらに「厭」なお話が詰まっている異形の短編集。

不気味な子供、見知らぬ老人、奇妙な部屋、不可思議な仏壇、不可解な彼女、奇怪な家、薄気味悪い小説。其々に纏わる短編が、ただひたすら読者に「厭な思い」をさせる為だけに書かれている、かつてない作風の作品だ。

どことなく茫洋としたようで巧緻に組み立てられた文章が効いており、抽象的な「厭」が徐々に実体を持ちはじめる様子には、爽快感など微塵もない。読んでいてもただ厭な気分になる小説なのだが、そこで読む手を止めさせてくれないのは京極夏彦氏の筆力によるものだろう。

面白くはあるが、元気がないときにはあまりおすすめ出来ない作品となっている。

『どすこい』

どすこい

緻密に組み立てられたギャグ作品

打って変わって、こちらは様々な作品をパロったギャグ短編集。

タイトルからも分かる通り、なぜか全て「相撲」がキーワードとなっている。理屈立てた文章による世界観の構成は、その他の京極夏彦氏の作品と共通する部分ではあるが、それらが総じてギャグの為にあると言う稀有な作品だ。

元ネタは、森博嗣氏のミステリー小説『すべてがFになる』から小野不由美氏のホラー小説『屍鬼』、池宮彰一郎氏の歴史小説『四十七人の刺客』など、ジャンルを問わず幅広い。

当然この1冊だけでも充分面白いのだが、どの短編も其々の作品をしっかりと踏襲しており、元ネタを知っているとより楽しめる。その為、余力があれば元ネタの作品も把握しておくことをおすすめする。

『死ねばいいのに』

死ねばいいのに

陰湿に描き出される、人間の業

3ヶ月前に死んだ女・亜佐美について探る男と、6人の関係者との会話劇を描いた作品。

借金を負った母に売られ、情婦として扱われ、隣人からは逆恨みされた挙句、呆気なく死んでしまった女。その女を知る6人との会話劇を通じて、「人とは何たるか」を抉るように描いている。

側から見て明らかに不幸であった女は、果たして本当に不幸を感じていたのか。幸不幸の境目は、人とモノとの境目は何処にあるのか。そして絞り出すように放たれる、「死ねばいいのに」という言葉の意図するところとは?

哲学的なテーマを描きながらも、エンタメ性抜群の作品となっている。

『虚言少年』

虚言少年

嘘吐きが語る、普通の小学生生活

京極夏彦氏には珍しく、小学生の少年達を主役とした小説。

馬鹿馬鹿しく面白いことを求める3人の少年の愉快な嘘や小細工を描いた作品。

子供ならではのしょうもない下ネタや、学校内でのイベントが盛り沢山に描かれている。また、かなりメタな構造になっており、作中で作者(京極夏彦氏)について言及する始末。

氏の作品の中でも、『どすこい』と並んでギャグに振り切れた作品なので、重い作品に疲れた際に読んでみて欲しい。

番外編『いるのいないの』

いるのいないの

京極夏彦原作、恐怖の絵本!

京極夏彦氏と町田尚子氏による絵本。おばあさんの家での不気味な経験を描く。

「いるの?いないの?」という問いかけが延々と続く。

絵もついていることでかなりゾッとできる作品なので、是非とも読んでみて欲しい。

番外編『こちら葛飾区亀有公園前派出所 〜ぬらりひょんの褌〜』

ぬらりひょんの褌

こち亀外伝にして、出版社を跨いだまさかのコラボレーション作品

言わずと知れた『こち亀』の、オムニバス作品集に収められた1作。

刊行当時、『こち亀』を全巻読んでいた京極夏彦氏による作品だけあって、用いられる『こち亀』情報量は非常に多い。

また、なんと『百鬼夜行シリーズ』の後日談でもあるという驚きもある。氏のファンであれば見逃せない1作だ。

おわりに

京極夏彦氏の作品を12作紹介した。

その他にも氏の作品は数多く存在するのだが、本記事で紹介した作品だけでもミステリから怪談、SFやギャグなどジャンルが多岐に渡っており、どれだけ多才な人物なのかが伺い知れる。

もし1冊でも興味があれば、ぜひとも手に取ってみて欲しい。きっと、読み辛いというイメージは徐々に薄れていき、気がつけばあの理屈立てた文章を欲して止まなくなる筈だ。

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