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中山七里おすすめ小説11選【ミステリー×社会問題で現代をあぶり出す!】

ミステリーからダークでシリアスなサスペンス、法律を用いた作品など幅広い作風を書く作家・中山七里。

「普通に続けるだけでは一発屋で終わってしまう、どうしたら長く小説家として続けられるだろうと必死に考えた結果、警察小説に音楽ミステリー、法廷ものやコージー・ミステリなど様々なジャンルに手を出してある程度保っておけば、どれかひとつが廃れても生き残っていけるだろうと考えたから」と過去にインタビューで答えていたこともある。

この記事では、幅広い作風を描ける中山七里のおすすめを11作品厳選して紹介する。

『さよならドビュッシー』

さよならドビュッシー

遺産相続争いに巻き込まれたピアニスト志望の少女の運命は?

#このミステリーがすごい!第8回大賞受賞 #橋本愛主演映画の原作

まさみ

ピアニスト志望の遥は突然の火事で、生まれ育った屋敷と最愛の祖父を失ってしまいます。失意のどん底に叩き落とされ、夢を諦めかけた遥に手をさしのべたのは、兄弟子にして新進気鋭のピアニスト・岬洋介でした。

クラシックをベースにしたミステリーに、一人の少女の再生を絡めたドラマチックな物語。演奏シーンは豊穣なイマジネーションが広がります。ピアニスト兼探偵である洋介もかっこよく、遥を助手に従え、クレバーな推理を繰り広げる姿に魅了されました。クラシックの名曲が事件解決の糸口になっているのも音楽通には嬉しく、タイトルに採用された曲を聴いてみたくなりました。

ピアノが好きな方はぜひ押さえてほしいシリーズです。

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『護られなかった者たちへ』

護られなかった者たちへ

震災の悲劇と生活保護の盲点が生んだ、哀しい事件の行く末は?

まさみ

東日本大震災から4年後、仙台市内のアパートで男性の変死体が発見されます。彼は福祉保健事務所の職員で、人格者として周囲に慕われていました。捜査に携わる刑事の笘篠は、事件の裏に生活保護制度が絡んでいることを見抜きますが……。

日本人なら誰しも忘れられない震災の悲劇と、生活保護制度の盲点をリンクさせた社会派ミステリー。良き父にして、完璧な善人だった被害者がなぜ殺されねばならなかったのか?最初に提示された疑問が徐々に明かされていくに従い、やりきれなさで胸が一杯になりました。被災者がなめた辛酸がこれでもかとリアルに描写されるため、許されざる犯人への同情をかきたてられます。

生活保護制度の不備や矛盾点を知りたい方はぜひ読んでみてください。

『連続殺人鬼カエル男』

連続殺人鬼カエル男

残虐非道なカエル男による猟奇殺人。犯人は誰?

#このミステリーがすごい!第8回大賞候補作 #工藤阿須加主演ドラマの原作

まさみ

埼玉県飯能市のマンションで女性の死体が発見され、そばにはカエル男の署名入りの犯行声明が残されていました。渡瀬と古手川の刑事コンビが執念の捜査を続ける中、第二第三の事件が発生します。

謎の連続殺人鬼を現場の刑事が追い詰めるミステリー。『ヒポクラテスの誓い』の光崎はじめ、他の人気シリーズのキャラクターが登場するのもファンにとっては嬉しいサプライズです。カエル男の正体は誰なのか、被害者4人の接点は何なのか、一進一退の攻防戦にハラハラしました。精神障害者への偏見や差別が苦い後味を残す一方、彼らの罪を問えず裁けない、社会の矛盾がやるせないです。叙述トリックのどんでん返しには度肝を抜かれました。

残虐非道な猟奇殺人鬼の正体に驚愕したい方はぜひ読んでください。

『贖罪の奏鳴曲』

贖罪の奏鳴曲

【御子柴礼司シリーズ】法律×サスペンス

#三上博史主演ドラマの原作

葉月

主人公の御子柴礼司は、どんな罪名で起訴されても、必ず執行猶予を勝ち取るだけでなく、手品のように減刑させ、時には無罪にまでしてしまうことで名の知れた新進気鋭の弁護士だ。

しかし、彼には誰にも知られていない過去があった。実は昭和60年8月に起こった福岡市内の幼女殺害事件の犯人で、〈死体配達人〉として世間を騒がせた男なのだ。

「主人公が変化していく物語と謎が解決していく物語を一緒に描きたい」と考えて執筆したと作者が語ったように、どんでん返しを含んだミステリーというだけでなく、少年法の是非・障害者を持つ家族の実態・贖罪の意味など様々な問題を投げかけてくる作品になっている。

単なる法廷を舞台にしたサスペンスではない。いろいろと社会問題を織り込み、考えさせられる深い作品。

『切り裂きジャックの告白』

現代に甦った切り裂きジャック!その恐るべき目的とは?

#沢村一樹主演ドラマの原作

まさみ

ある日臓器を摘出された若い女性の遺体が連続で発見され、警視庁の刑事・犬養隼人に担当が回ってきます。ところが犯人の実像が掴めず、捜査は暗礁に乗り上げました。現代の切り裂きジャックは何者なのでしょうか?

硬派な刑事が活躍する人気シリーズの一作目。凄惨な猟奇殺人から幕を開けたかと思いきや、二転三転する展開に翻弄され、最後は衝撃の真実が明かされます。臓器移植に関する問題提起も興味深く、命の価値や人を救済する手段の是非を考えさせられました。犬養のキャラクターも魅力的で、現場に残された些細なヒントや緻密なプロファイリングをもとに、真犯人を追い詰める気迫に痺れます。

面白いミステリーをさがしている方は読んで損がないシリーズです。

『ヒポクラテスの誓い』

ヒポクラテスの誓い

ヒポクラテスの誓いを貫く天才教授と弟子たちの活躍

#第5回日本医療小説大賞ノミネート #北川景子主演ドラマの原作

まさみ

研修医の真琴は浦和医大の法医学教室に入り、法医学の権威・光崎教授に師事することに。解剖に回されてくるのは一見事件性のない死体ばかりでしたが、光崎の手にかかると予想外の真実が浮かび上がり……。

法医学の天才が解剖学の知識をもとに、事故死や自然死を装った殺人を看破していくミステリー。変人ぞろいの法医学教室を率いる光崎のキャラがとにかく立っており、傲岸不遜でエキセントリックな言動の数々が痛快でした。タイトルにもなってる「ヒポクラテスの誓い」とは医者が忘れてはいけない心得のことで、死者の尊厳を取り戻すためなら献身を惜しまない、光崎たちの信念に感動しました。

知られざる解剖の現場を覗ける、極上の医療ミステリーです。

『作家刑事毒島』

作家刑事毒島

【毒島シリーズ】

#佐々木蔵之介主演ドラマの原作

葉月

出版業界の闇を描いたコメディータッチのミステリー作品。

主人公・毒島真理(ぶすじま しんり)は、2年前に新人賞を獲りデビューした売り出し中のミステリ作家だ。雑誌に8本、新聞に2本の連載を持ち、既に10冊の単行本を上梓しているが、実は元警視庁捜査一課所属の刑事。

2年前のある事件で退官、すぐに刑事技能指導員として再雇用された過去を持つ不思議な男だ。温厚そうに見えて、実はとてもきつい毒を吐き、人にされた仕打ちは絶対に忘れない執念深さを持つ二面性がたまらなく読みたくさせてくれる。

刑事もの×ピカレスク(16世紀 – 17世紀のスペインを中心に流行した小説の形式で、悪漢小説や悪者小説のこと)という形式もまた、中山七里の真骨頂の一つと言える。エッジが効いたシリーズと言えるだろう。

『スタート!』

スタート!

映画業界×ミステリー

葉月

映画撮影現場を舞台とし、映画業界のリアルに挑んだミステリーと作品づくりのドキュメントが融合された作品。

主人公の宮藤映一は、つまらないバラエティ番組の仕事をしていたTV局に見切りをつけ、映画の世界に飛び込んで早5年。助監督として映画制作に関わってはいたものの、虚しさを感じていて…。

やりたかったことをやっているはずなのに、「何か違う」と思ったことはないだろうか?そんな誰もが思い当たる出来事をベースにして、映画業界を舞台に描かれるこの作品は共感しやすいのではないだろうか。

社会人の方にぜひ読んでもらいたい作品。

『総理にされた男』

総理にされた男

政治家×闘い

葉月

総理大臣が主人公の政治エンタメ小説。

チャップリンの1940年の映画『独裁者』を意識して執筆したと作者が言う通り、わかりやすく政治の世界を描いて国民の願いや怒りを代弁したり風刺した作品になっている。

主人公が戦う相手が「閣僚」「野党」「官僚」「テロ」「国民」とだんだん大きくなっていくのだが、これは各章のタイトルにもリンクしている。そういった面白い構成もみどころ。

「政治は難しいからちょっと…」と思ってしまいがちだが、この作品を読んでいると、思わずクスリと笑える楽しさと、分かりやすさがあってとてもとっつきやすい作品なので、ぜひ読んでもらいたい。

『嗤う淑女』

嗤う淑女

悪女に見えない悪女

葉月

蒲生美智留の悪女ぶりが凄まじいミステリー。

悪女と聞くと、どんなイメージを持つだろうか。いかにも悪そうな女か、それとも嘘が上手で何でもそつなくこなすスキのない女か。それぞれの悪女のイメージは違うだろうが、この作品の悪女である美智留もまた悪女に一見見えない美女だ。

ひとは見かけによらないもの。誰もが表と裏の顔(または本音と建て前)を使い分け、日々生活しているが、彼女の悪女ぶりは筋金入り。

善人と悪人、嘘と真は紙一重。本当に美智留が悪女なのか、ぜひ読んで確認してみてほしい。

『夜がどれほど暗くても』

夜がどれほど暗くても

親の責任はいつまで続く?

#上川隆也主演ドラマの原作

葉月

大学生の息子が犯罪に手を染めて自殺したことがきっかけとなり、逆に追われる立場となった大手出版社の副編集長・志賀倫成。

世間から猛烈なバッシングを受けて、家族にも見放された中で事件の真相に迫っていく過程を描いた小説だ。

子どもの不祥事で謝罪する親を見ることがある。例えば、芸能界で薬物などに手を染めて逮捕された子の親が謝罪することがあるが、どこまで親は子どもについて責任を持てばいいのだろうか。

この作品の中では、子どもは大学生だがもう充分大人として扱ってもいい年ごろ。世間はいつまでも親が責任を持たなければいけないかのように糾弾するが、果たしてそうだろうか。この作品を通して考えてみてほしい。

おわりに

以上、中山七里の作品を紹介してきたがバラエティに富んだ作品たちに心がワクワクしてしまう。

ミステリーと言っても、題材によってこんなにも面白く書けるのはこの人ならでは。

他にも作品はあるが、ここに挙げたものは絶対に読んでほしいマスト作品。

ぜひ、どの作品からでもいいので手を伸ばしてほしい。

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1 Comment

明日香

この10作を読むなら、ついでに「中山七転八倒」も読んで頂きたいです。
ご本人の日記が元になっているエッセイなのですが、先生の人柄の良さに隠れる、ちょっとダークな部分が垣間見えて、楽しいですよ。

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