平野啓一郎おすすめ作品10選【三島由紀夫の再来と名高い芥川賞作家!】

三島由紀夫の再来ともいわれている平野啓一郎。

彼は処女作『日蝕』で、当時最年少の23歳で芥川賞を受賞した。

その後も数々の賞を受賞し、日本の文壇をうならせている。

福山雅治主演の映画『マチネの終わりに』で、彼の名を知った方も多いだろう。

映画は見たけど、小説を読むのは抵抗がある。

三島の再来とも言われるくらいだから、堅苦しい文章は読み進められないと思う方もいるかもしれない。

今回はそんなあなたのために、平野啓一郎の魅力がつまった作品を10個紹介する。

どれもあなたを夢中にさせるに違いない。

『ある男』【『マチネの終わりに』を超える代表作】

故郷を離れ、宮崎に住む里枝(りえ)は、次男を2歳という若さで亡くしたという過去があった。

そのあと彼女は夫と別れ、長男とともに故郷へ戻っていた。

14年ぶりの故郷で彼女は大祐(だいすけ)に出会い、新しく女の子を授かる。

一見4人での幸せな生活が始まったように見えたが、ある日突然、大祐は事故で命を落としてしまう……。

そんな一家のもとに、大祐が全くの別人であるという衝撃の事実がもたらされる。

里枝が「ある男」について相談できるのは弁護士の城戸(きど)だけだった。

本当の夫は誰だったのか、という真実が明らかになった時、あなたは驚愕するだろう。

これはただのミステリーや推理小説などではなく、人はなぜ人を愛するのか、幼少期にひどく傷ついてもなお、人は愛を知ることができるのだろうか、という深いテーマが潜在している。

過去を変えて生きている者たちは、どう生きる希望を見出し、私たちは彼らとどう接していけばいいのだろうか。

第70回読売文学賞を受賞した、この世界の真実に触れる文学作品を、ぜひ堪能あれ。

『ドーン』【Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞の感動長編】

第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。

人類で初めて火星に降り立った宇宙飛行士・佐野明日人は、いちやく時の人となった。

しかし、宇宙船「DAWN」の中では、人類史を揺るがす事件が起きていた。

闇に葬られた秘密は、アメリカ大統領選挙を左右するスキャンダルへと繋がっていく。

アメリカの野党民主党は、選挙での劣勢を取り戻すべく、様々な試行錯誤をするが、一向に改善されない。

そんな中、与党共和党は東アフリカに赴き、武力を行使する。

そこでは使用が禁止されたはずの兵器が乱用され、なんとアメリカ国内でもその被害がでていたのだ。

その謎を解明していくうちに、「DAWN」との関係が暴かれていく。

宇宙とアメリカ大統領選挙の近未来を描き、矛盾だらけの世界に真の希望を問う、感動長編だ。

一見、SF小説のように感じるが、もっと深いところで、「愛」という永久のテーマを取り扱っており、完成された純文学作品でもあるため、未だかつてない壮大な力を秘めている。

『日蝕』【三島由紀夫の再来と評された芥川賞受賞作】

パリの大学で神学を学んでいた「私」は、異教徒の哲学者の写本を読み、興味を抱く。

写本は一部しかなく、「私」は完全版を求めてリヨンへ向かうのであった。

リヨンで出会った司教に勧められた、近くの村にいる錬金術師を訪ねてみると、そこには不気味な家族が待っていた。

「私」は錬金術を試みているピエェルに会い、たくさんの哲学者が並べられた書庫を自由に見させてもらうことになる。

ある時、ピエェルがいなくなる時間があることに気付いた「私」は、こっそりと森を抜け洞窟に入っていくピエェルを追いかけていく。

洞窟の先に待っていたものとは何か。

「日蝕」とは、何を表すものだったのか。

擬古文調で書かれ、読みづらいとされるが、内容を際立たせるための凄まじい技術である。

華麗な文体と、文学の奥深さ。

第120回芥川賞を受賞した本作品から、目が離せない。

『マチネの終わりに』【天才が葛藤する、至高の恋愛小説】

第2回渡辺淳一文学賞を受賞した、パリ、ニューヨーク、東京の大舞台で展開される、壮大な文学。

天才ギタリストの蒔野(まきの)と、国際ジャーナリストの洋子(ようこ)。

共にアラフォーを迎えた2人は、出会った瞬間から強く惹かれ合った。

しかし、洋子には、婚約者がいたのだった……。

ギタリストとしてスランプに陥り、必死にもがく蒔野と、体に不調を抱える洋子との間には、すれ違いが生じ、2人の関係は崩れていく。

40歳という、「人生の暗い森」を前に出会った2人の、切なすぎる恋の物語を中心に、「愛」という運命、芸術作品が及ぼすもの、「生」と「死」など、様々なテーマが潜在している。

果たして2人は再び巡り合えるのだろうか。

惹かれ合う愛の物語から、目が離せない。

福山雅治と、石田ゆり子が出演した映画から見てもいいだろう。

『マチネの終わりに』書影画像『マチネの終わりに』あらすじと感想【人の愚かさや醜さこそが、美しさだ】

『決壊』【許されぬ罪を巡り、幸福と絶望を問う衝撃の長編大作】

地方都市で妻子と平凡な生活をする沢野良介(さわの りょうすけ)は、東京に住むエリート公務員の兄と、人生への違和感を、ネットの匿名日記に残していた。

その一方で、いじめに苦しむ北崎友哉(きたざき ともや)は、殺人への夢想を描いているのだった。

ある日、全国で次々と、犯行声明とともにバラバラの遺体が発見され、その被害者の一人が良介だった。

良介は事件の当夜、兄と会っていたはずだったが、兄は恋人と密会していたことから、悲劇に巻き込まれていく……。

ただの事件のように思われたが、そこにはある真実が隠されており、私たちを「幸福」と「絶望」の狭間へ連れていく。

ドストエフスキーのような理論も展開され、圧倒的な文章と、偉大な物語構成に、あなたは虜になるだろう。

平成20年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞し、長編作家としての名を知らしめた、彼の代表作である。

『空白を満たしなさい』【死者が生き返り、真の幸福を問う作品】

ある夜、勤務先の会議室で目覚めた土屋(つちや)は、そのまま自宅へ戻ると、妻から謎の言葉をかけられる。

それは、「あなたは3年前に死んだはず」というものだった。

彼の死因は自殺とされていた。

妻や息子は、彼の自殺で深い傷を負ったのだが、3年前を回想すると、自分が「幸せ」だったことを思い出し、誰かに殺されたのではないかと疑いだすのだった。

彼だけでなく、世界各国で死者が生き返ったというニュースが溢れかえり、世の中は混沌としていく。

なぜ自分は死んでしまったのか、死者は生き返ることを許されたのか。

そこに浮かび上がる犯人の記憶に、驚愕するだろう。

「生」と「死」には、どんな意味があるのか。

近年増え続けている、「自殺」という問題に、立ち向かった渾身の作品だ。

『かたちだけの愛』【恋と愛の核心に迫る、平野文学の結晶】

事故によって片足を失った久美子(くみこ)と、彼女の義足をつくることになったデザイナーの郁哉(ふみや)。

二人は次第に惹かれ合い、複雑な感情の中で、「愛」を育む。

しかし彼らには絶望が立ちはだかり、「愛」に傷ついてしまう。

なぜ「愛」は存在するのかだろうか。

自分のことを愛せない者が、他者を愛することなどできるのだろうか。

「人を愛するとは、かたちではなく、相手を想う自分をも好きだと感じられることだ」という作者自身の考えには、一体どういった背景が隠されているのだろうか。

彼らが見つけ出した「愛」のかたちに、胸がうたれるだろう。

「愛」というテーマに限らず、「愛」を通して導かれる、人と人との関係や、幸せの在り方は、私たちの気持ちを、晴れやかにしてくれる。

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『葬送』【華麗な芸術の時代を描く雄編】

舞台はロマン主義の全盛期。

十九世紀のパリ社交界に突如として現れた、音楽家のショパン。

彼は、その華麗な才能で、いちやく寵児となった。

その一方、近代絵画を確立した巨人ドラクロワ。

ジャンルは違えど、彼らは同じ「天才」として扱われていた。

歴史的人物が織りなす、天才ゆえの葛藤は一体どんなものだったのだろうか。

一つ一つの、心の奥底まで描き切った人間心理の描写には、脱帽せざるを得ないし、彼らを取り巻く膨大な人物関係からも、目が離せない。

膨大な知識をもとに描かれているため、一冊の歴史書を読んでいる気分になり、まるで自分がその時代に生きているのかのような錯覚すら生まれる。

繊細すぎる精神は、孤高の天才を支え、美しくもあり儚いものへと変貌していく。

偉大な人物が築き上げた、至上の愛に注目したい。

『透明な迷宮』【孤独な現代人の悲喜劇を描く官能小説】

深夜のブタペストで監禁された初対面の男女は、見世物として、愛し合うことを強制され演じることになる。

彼らに襲い掛かる数々の悲劇。

それを乗り越えようと、二人は本物の愛を築き上げることによって、喜劇をつくろうと、激しく互いを求め合う。

人は誰かを愛する時、何を好きになるのだろうか。

相手の存在そのものを愛しているのか、相手と共に過ごした経験を愛するのだろうか。

人は孤独になると、愛する対象を求めるが、思うままに手に入らないと、膨大な欲望が湧きおこる。

その精神状態では、孤独と葛藤し、漠然とした不安や、焦燥感を覚える。

「愛」と「孤独」という、相反するようなテーマに差し迫る、究極の官能小説だ。

新潮文庫版には、他にも3作の中編が収録されているので、あわせて読むことをおすすめする。

『顔のない裸体たち』【禁断の恋愛にのめり込んでしまう現代社会の罠】

女教師の吉田希美子(よしだ きみこ)は、ある日、赤いロープで縛られ、四つん這いになっている女の画像を発見する。

顔にはモザイクがかけられていたが、それは明らかに自分の姿だった。

彼女は出会い系サイトで出会った男性と、性行為にのめり込んでいくが、その男の趣味は、性行為の撮影。

彼女はその泥沼にはまっていくことになる。

アパートの駐輪場、大阪城、新幹線のトイレの中。

数多の性行為がアダルトサイトに投稿され、彼女は辱めの中で生きていく。

顔にはモザイクがかかっていて、誰にもバレないはずだったのだが、ある事件を境に状況が一変してしまう……。

タイトルにある、「顔のない裸体たち」は、まさにモザイクのかけられた、彼女たちそのもので、ネット社会という恐ろしさに、翻弄されていく。

芥川賞作家が、ネット社会の罠を描いた話題の問題作。

おわりに

以上、平野啓一郎のおすすめ10作品を紹介した。

難解のようにも思えるが、そこには社会や人間の真実が隠されており、のめり込むと抜け出すことができなくなるほど、奥深い作品ばかりだ。

彼は小説だけではなく、彼自身の考え方が書かれた評論や、エッセイも書いているので、あわせて読んでみると、作品をより理解できるだろう。

あなたの時間を、彼の作品に使っていただきたい。

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