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『墓地を見おろす家』あらすじと感想【一文ごとに恐怖を感じるモダンホラーの金字塔】

墓地を見おろす家サムネイル

墓地に囲まれた一角にある、とある家。

そこには様々な恐怖が渦巻いている。

白文鳥の死、テレビに映る影、徐々に増えていく犠牲者。

果たして、この土地に眠る恐怖の正体とは何なのか…。

ホラー小説のエポックメイキングたる名作モダン・ホラー。

こんな人におすすめ!

  • 王道な“怖い話”を読みたい人
  • 一文ごとに恐怖を感じたい人
  • 深夜の廃墟を1人で歩くような感覚を味わいたい人

あらすじ・内容紹介

東京N区にあるマンションの一棟を購入した、加納哲平(かのうてっぺい)と加納美紗緒(かのうみさお)。

娘の玉緒(たまお)や飼い犬のクッキー、更に白文鳥と共に越してきたこのマンションは、築浅で交通の便もよく、必要な施設も近隣に揃っており、何より格安という完璧な物件。

唯一、広大な墓地に囲まれていることがネックではあったが、それさえ気にしなければ何の問題の無い素敵な家。

忌まわしき過去から逃れ、この家で新しい生活が始まる、筈だった…。

しかし、引越しの初日に白文鳥が怪死。

それを皮切りに、一家は異様な現象に悩まされることとなる…。

テレビに写る不気味な影、何かを警戒する飼い犬、次々と退去していく住人、地下室に潜む不穏な闇。

果たしてこれらの現象は墓地と関係があるのか。

過去にあったという再開発はなぜ断念されたのか。

徐々に謎が明らかになり、壮絶な恐怖が幕を開ける。

『墓地を見おろす家』の感想・特徴(ネタバレなし)

王道ホラーが積み重なり生まれる完成度の高い恐怖

寿命だったのかな

今作は、「墓地に囲まれたマンションに引っ越してきた一家が、土地の因果故に恐怖を味わう」という、かなり分かりやすいストーリー展開となっている。

白文鳥の死から始まる不気味な現象の数々は、「テレビに映る黒い影」や「何かを警戒する飼い犬」など、極めて王道な“怖い話”だ。

個々の要素は体験すれば怖いだろうが、物語をリードするための要素としては、ともすれば有りがちとも捉えられかねない。

しかし、それらの現象が徐々にエスカレートしていく様子や、土地の歴史を調べる過程で発覚する事実、だんだんと存在感を増す意味ありげな地下室など、様々な要素が非常に丁寧に描かれており、それらが積み重なることで完成度の高い“恐怖”が組み立てられている。

巧緻に組み立てられた描写の数々には、まるで深夜の廃墟の中を1人歩いているような心許ない感覚を与えられる。

何処かから何かが襲ってくるかもしれない、この先に何か怖いものがいるかもしれない、という、暗闇に対する本能的な恐怖が刺激され、読者の中の不安をこれでもかというほど煽ってくるはずだ。

総じて、「有りがちな怖い話」を「王道を行く恐怖」として楽しめる作品となっている。

不安が煽られていく間接的な恐怖表現

俺にとって、ここを買ったということは、その……新しい……つまり、まったく新しい出発だったんだ。過去を振り返らないで生きるための……

加えて今作を構成する魅力の一つが、間接的な恐怖の表現だろう。

前述した直接的な恐怖描写以外にも、各所に織り込まれる細部の描写が、読者の不安を端的に煽る。

例えば近隣住民。

徐々に引っ越しをしていく同じマンションの住人の様子などは、直接的な恐怖描写こそ無いものの、不穏な想像を掻き立てられ、何とも言えない不安を読者に感じさせる。

また、そんな住民の中でも特に、加納夫妻に警告を発するとある瞑想家の発言は、常時であれば妄言とも捉えられかねない内容でありながらも、作中に漂う空気感故の奇妙な説得力を持っており、読者の不安を加速させる。

加えて、物語が進行するに連れて徐々に明かされていく、加納夫妻が抱えている悲惨な過去。

誰でも、後ろめたいことがあるときには些細なことにすら怯えてしまう、という経験があるかと思う。

今作では、そんな人の心理を見事にギミックとして扱い、更なる恐怖を煽る。

2人の過去に消えない罪があるが故に、罪に対する罰が怪現象を通じて迫っているかの様な圧迫感を与える手法は、見事の一言だ。

読者はきっと、自身が罪を犯した訳ではないにも関わらず、追ってくる過去からの罰に怯えさせられるはず。

直接的な恐怖描写に頼るだけでなく、登場人物の過去や言動を巧みに使い熟すことで間接的な表現により、作中に重く静かな恐怖が蔓延する。

1文ごとに恐怖を感じることが出来る作品だ。

「説明されないこと」で掻き立てられる不気味さ

俺はまだ生きてる

これは意見の分かれるところかもしれないが、ジャパニーズ・ホラーと呼ばれるジャンルにおいて特に重要な要素は、物語の“余白”にあると思う。

即ち、「全てを説明しない」という手法だ。

「恐怖の正体」を全て明かしてしまえば、例えそれが幽霊であろうが何であろうが、恐怖の正体が分からなかった時の、暗く、湿度の高い、不安を煽る恐怖は霧散してしまい、趣を異にする別種の恐怖へと変化してしまう。

その点において、今作のバランス感覚は神がかっている。

登場人物の調査によって土地に何かしらの因果があることは分かりながらも、それがどの様に作用しているのか、根本的な原因が何なのかは最後まで明かされない。

怪現象を織りなしているものの正体も、それが現れるようになった理由も、登場人物たちが巻き込まれた意味も、全てが曖昧模糊としているため、どのように動けば良いかも分からない閉塞感。

原因が分かれば解法も分かるはずなのに、まず原因がまるで分からないという不条理さは、もし自身に同じことが起きたらと考えるだけで悍ましいものがあるはずだ。

それ故に読者は、物語の最後まで得体の知れない恐怖を楽しむことが出来る。

正にジャパニーズ・モダンホラーのお手本の様な作品と言えるだろう。

まとめ

墓地に囲まれたマンションに引っ越してきた一家が、土地の因果によって恐怖を味わうという、分かりやすいストーリー筋の今作。

白文鳥の死から始まる「テレビに映る黒い影」や「何かを警戒する飼い犬」など、極めて王道な怖い話を、緩急織り交ぜた圧倒的な描写力で描いており、読者を恐怖に叩き落とす。

何か怖い本を読みたいと思ったならば、まず本書を手に取っておけば確実だ。

オチに賛否はあれど、「モダン・ホラーの金字塔」との呼び名も納得できる、まさにお手本のようなホラー小説と言えるだろう。

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