日本を代表するミステリー作家・東野圭吾。
読者をあっと驚かせる伏線回収やトリックを仕掛ける一方で、登場人物に寄り添ったドラマチックな魅力があるのも特徴です。
今回はそんな東野圭吾のおすすめ小説をランキング形式で36冊ご紹介します!
目次
- 東野圭吾のプロフィール
- 1位『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
- 2位『容疑者Xの献身』
- 3位『手紙』
- 4位『秘密』
- 5位『流星の絆』
- 6位『白夜行』
- 7位『マスカレード・ホテル』
- 8位『麒麟の翼』
- 9位『人魚の眠る家』
- 10位『真夏の方程式』
- 11位『時生』
- 12位『さまよう刃』
- 13位『変身』
- 14位『恋のゴンドラ』
- 15位『赤い指』
- 16位『仮面山荘殺人事件』
- 17位『プラチナデータ』
- 18位『夜明けの街で』
- 19位『分身』
- 20位『放課後』
- 21位『片想い』
- 22位『ラプラスの魔女』
- 23位『パラレルワールド・ラブストーリー』
- 24位『むかし僕が死んだ家』
- 25位『白銀ジャック』
- 26位『パラドックス13』
- 27位『新参者』
- 28位『歪笑小説』
- 29位『魔球』
- 30位『探偵倶楽部』
- 31位『希望の糸』
- 32位『沈黙のパレード』
- 33位『ある閉ざされた雪の山荘で』
- 34位『白鳥とコウモリ』
- 35位『透明な螺旋』
- 36位『使命と魂のリミット』
東野圭吾のプロフィール
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。
※2022年7月発売の最新文庫『希望の糸』に掲載された紹介文の引用です。
1位『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
第7回中央公論文芸賞受賞/累計1,000万部突破/山田涼介主演映画の原作
せり
悪事を働いた若者3人が逃げ込んだ古い家は、かつて悩み相談で人気を博した「ナミヤ雑貨店」でした。
主人公たちがああでもないこうでもないと口論していると、突然シャッターの郵便口に手紙が届きます。なんとそれは時空を超えて過去から送られてきた悩み相談の手紙だったのです。3人は当時の店主・浪矢雄治に代わり、数々の悩みに真摯に向き合い返事を書いていきますが…。
良い意味で東野圭吾らしくない1冊でした。ひとつひとつの文が繋がって最高の作品になっています。あんな奇跡が実際にあったら本当に素敵だろうな。
ナミヤ雑貨店は、迷いの中にいる人達の背中をひと押しして縁を繋ぐ、そんな場所だと思います。人生で1度は出逢っておきたい1冊です!
しおっち
すべての過去が今に繋がってると本当に思います。
この世にはいろんな人がいて、それぞれの人生が少しずつ交差しているのかもしれないし、もしかしたらその人生を変えてしまっていることだってあるかもしれないんです。それってすごくワクワクすることだなって思いました。
2位『容疑者Xの献身』
第134回直木賞受賞/第6回本格ミステリ大賞受賞/映画化
すでに答えがわかっているから涙する、愛の話。見所は「最初から犯人がわかっている」点。
これが、驚くべき真相がわかった時、そこに詰められた献身的な愛を読者の胸へ、深く突き刺していく要因となる。
「ガリレオ」シリーズの湯川と天才数学者の対決を描いたミステリー。
DVが原因で別れた元夫に付き纏われていた靖子はある日、性懲りなく押しかけてきた元夫をはずみで殺してしまいます。途方に暮れる彼女に手をさしのべたのは、アパートの隣人で数学の才に秀でた高校教師・石神でした。
シングルマザーの靖子に報われない想いを寄せる、石神のひたむきな献身ぶりがやるせないです。一方で石神が導き出した完全犯罪の解を、緻密なロジックを積み上げ打破していく湯川の頭脳の冴えには圧倒されます。
捜査陣の側に立ち、尊敬する親友・石神を追い込まざるをえない湯川の苦悩にも注目してください。
読後タイトルを見直して「そういうことだったのか!」と納得したい方は必読。
3位『手紙』
第129回直木賞候補作/山田孝之主演映画の原作/累計発行部数250万部突破
犯罪加害者の家族が、家族であることによりどういった立場に置かれるのかを描き切った、ずっしりと重たく苦しい1冊。
弟・直貴を大学進学させるため、肉体労働をする兄・剛志は、とあるきっかけで強盗に入り、殺人を犯してしまい…。
弟が何をしようとも、兄が犯罪者であるという事実が付き纏う点にリアリティを感じました。弟の心境の繊細な変化も見事に表現されていて感情移入できました。
本作ではあくまでも「兄弟」の話ですが、いつ、どこで、だれがこのような状況になってもおかしくないと戦慄しました。
色んな立場の人に読んでもらい、普段なら考えないような事に思考を巡らせて頂きたいです。余談ですが、原作小説には全くと言っていいほど救いがないので、映画版の視聴も強くおすすめします。
4位『秘密』
第52回日本推理作家協会賞受賞/広末涼子主演映画の原作
主人公は中年の会社員・杉田。ある日彼の妻子が乗ったバスが崖から転落し妻の直子は死亡、娘の藻奈美だけが助かります。ところが目覚めた藻奈美の体には直子の人格が宿っており…。
小学生の娘の体に宿った妻と生活する日常が丁寧に描かれている東野圭吾の出世作。
妻と娘が入れ替わった事実をひた隠す一方、どんどん老けていく自分を置き去り、もう一度青春をやり直す藻奈美(直子)にモヤモヤを募らせる杉田。このすれ違いが見所で、切なすぎる夫婦愛と親子愛に涙しました。ラストで藻奈美(直子)が下したある決断は、読者に衝撃を与えるはず。
愛するパートナーや子どもがいる人は、これを読んで杉田の心情に想いを馳せてください。
5位『流星の絆』
第43回書店新風賞受賞/二宮和也主演ドラマの原作/2009年本屋大賞9位
幼少時、流星の観測に出た際に両親を惨殺され、施設に送られた暗い過去がある3兄妹が主人公。
苦労を重ねて大人になった3人は、洋食店「アリアケ」を経営する傍らで金持ちを結婚詐欺にかけ始め…。
不幸な生い立ち故に犯罪に手を染めた3兄妹の絆が泣けるミリオンセラー作品です。
指導力に溢れたリーダーの長兄・功一、実行犯で変装名人の次兄・泰輔、サポート役の妹・静奈とそれぞれ役割分担がしっかりできており、彼らがどうやってターゲットを罠にかけるか、考え抜かれた詐欺の段取りにドキドキさせられます。
両親を殺害した真犯人に復讐の計画を立てるものの、そこからまた一波乱二波乱あり、すれ違ってしまうのが切ないです。
家族愛や兄弟愛に心震えるミステリーが読みたい方は必読!
私が東野圭吾にハマるきっかけになった作品。
事件の真実を知った時、作家に掌の上で転がされるって気持ちいい!って、ミステリーの楽しみを教えてくれた作品でもある。
6位『白夜行』
堀北真希主演映画の原作/累計発行部数200万部突破
ただただ切ない。ページをめくり出したら止まらない1冊。
大阪の廃墟ビルで1人の質屋が殺されますが事件は迷宮入り。被害者の息子・桐原亮司と、容疑者の娘・西本雪穂は、ある大きな秘密を共有することになり…。幼い2人が大人になるまでの歪んだ絆を描いたノワール小説です。
2人は別々の道を歩むのに、どこかでお互いの影を匂わせ複雑な絆で繋がっている、そこが東野圭吾らしくてたまりません。
著者の描く女性は美女ばかり。特に本作のヒロイン・雪穂は、美しさに得体の知れない妖しさが加わって、記憶に残る魅力的なキャラクターです。雪穂を影で守る亮司の愛は哀しいものを感じました。
800ページ以上の長編で、文庫本でもかなりの分厚さですが一読する価値は十分にあります!読了後は続けて『幻夜』も読んでほしいです。
7位『マスカレード・ホテル』
木村拓哉主演映画の原作
サービス業の極意を学べる、新感覚お仕事ミステリー!
連続殺人事件の次の犯行予告場所となった、一流ホテル・コルテシア東京。
期待の若手刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査することに。フロントクラーク・山岸尚美が彼の教育係につきます。どの客も秘め事のありそうな曲者ばかりで捜査は難航。潜入捜査官とホテルマン、正反対の2人は通常業務をこなしながら難事件を解決することができるのか…。
事件そのものも気になりますが、ゲストからの無理難題をさばく一流ホテルマンの接客に惚れぼれします。もし自分だったらと思うと、普段の仕事ぶりが恥ずかしくなってくるほどです。
8位『麒麟の翼』
映画化
タイトルの意味が分かった時、思わず涙がこぼれる「加賀恭一郎」シリーズ9作目!
舞台は東京・日本橋。麒麟像の下で男性の刺殺体が発見されます。刑事・加賀恭一郎は、被害者の青柳が生前「七福神巡り」をしていたことを突き止めますが、家族はその目的に心当たりがないらしく…。
被害者が瀕死の状態で助けも求めず、わざわざ麒麟像まで移動した深い理由。青柳が命懸けで息子に伝えたかったこと。加賀が調べていくうちに明らかとなる悲しい真実の数々に泣かずにはいられません。
悲しい事件はなぜ起きたのか。胸を打ち、締めつけられ、人としての大切なものを突きつけられる作品です。
9位『人魚の眠る家』
篠原涼子主演映画の原作/累計発行部数110万部突破
東野圭吾デビュー30周年記念作品!「脳死」とは果たして人の「死」なのか。「いのち」について問われるヒューマンミステリー小説です。
主人公・薫子の娘で小学生の瑞穂が、プールで溺れ意識不明に。医師から告げられた残酷な現実は「おそらく脳死」ということでした。しかし不意に瑞穂の手が動き…。瑞穂の復帰を諦めきれない薫子のとった行動とは?
これぞまさに号泣必至の感動作。脳死に対する人々の倫理観の違いを、様々な角度から捉えていたのが印象的でした。
脳死した瑞穂の身体機能が衰えないよう施される最新技術の数々には、人間の体内機能に関する研究はここまで進んでいるのかと驚かされます。
小さな子どもがいる親御さんにとって、非常に考えさせられる内容なのでぜひ読んでほしいです。
10位『真夏の方程式』
映画化
「ガリレオ」シリーズ第6弾!
美しい海辺の町で夏休みを過ごすため、伯母が経営する旅館にやってきた少年・恭平。ガリレオこと湯川学も仕事で同じ宿に泊まります。翌朝、1人の宿泊客が死体で見つかる事件発生。事故かそれとも殺人なのか。ガリレオが導き出した真相とは…。
読後に感じた”むなしさ”が印象的でした。事件は解決しても、当事者とその家族は解決できないものを抱えて終わるからです。
大人たちの罪を、何も知らない子どもが背負わされるところに憤りを感じました。普段は人間味のない湯川ですが、少年を守るために彼なりの優しさを見せてくれます。
トリックもヒューマンドラマも両方楽しみたい方におすすめです。
11位『時生』
櫻井翔主演ドラマの原作
東野圭吾作品はどれも期待以上の衝撃や感動を与えてくれますが、中でも『時生』は最高傑作!こんなに素晴らしい物語に出逢えて幸せです!
殺人事件を扱う他の作品はどうしても嫌な読後感があるけど、この作品には涙はあれどそれ以上の温もりがある。
お子さんがいる人にぜひ読んでほしい。家族が愛おしくなるはず!
あらすじ(引用)
不治の病を患う息子に最期のときが訪れつつあるとき、宮本拓実は妻に、二十年以上前に出会った少年との想い出を語りはじめる。どうしようもない若者だった拓実は、「トキオ」と名乗る少年と共に、謎を残して消えた恋人・千鶴の行方を追ったー。
12位『さまよう刃』
寺尾聰主演映画の原作/竹野内豊主演ドラマの原作
「自分がどれほどの憎悪を受ける行為をしたのかを思い知らせてやりたい」
反省しない連続レイプ魔の未成年者VS.被害者の親。少年法による未成年の更生VS.被害者感情。
法は何を守るのか。正義とは何か。「正義の刃」はどこへ向かうのか。行き場のない遺族らの想いをどう果たすのか。物語の結末の是非も含め、深く考えさせる作品です。
大事な一人娘が凶悪な性犯罪者たちの餌食にされてしまった父親の復讐劇。
東野圭吾作品の中でも特に胸を抉られる物語で、描写もかなり生々しい…。だけどこれが現実にあることなんだ。目を逸らしちゃいけない。
父親を追う警察の苦悩。覚悟を決めた父親に東野圭吾がどんなラストを与えたのか、ぜひ読んで確かめてみて。
誰も救われない物語。
娘は汚され、殺された。あいつらが少年法に守られるなら、俺がこの手で裁いてやる。父親の狂気は鬼と化し、罪人の亡きがらを切り刻む。
この本を読み終えたとき、「人を殺してはだめ」とは言い切れない自分を発見した。あなたは刃を手にせずにいられるだろうか?
13位『変身』
累計発行部数125万部突破
画家を目指す平凡な青年・純一は交通事故で危篤に陥り、世界初の脳移植を受けました。結果、手術前とは別人のように生まれ変わった彼は、その原因がドナーの脳にあるのではと疑い出し…。
優しい恋人に支えられ幸せに暮らしていた純一が、望まず移植された他人の脳に自分の意志はおろか人生までも奪われ、じわじわ追い詰められていくスリルから目が離せません。ラストに明かされる真実と結末には戦慄!
他人の脳に言動をコントロールされる恐怖や、徐々に嗜好や記憶が上書きされていく違和感が、純一の苦悩を織り交ぜて克明に描かれており、実際起こり得るかもしれないリアリティに満ちていました。
14位『恋のゴンドラ』
浮気相手と旅行へ出かけた広太。ところがゲレンデ行きのゴンドラに東京で同棲中の婚約者が乗り込んできて、俄かに雲行きが怪しくなり…。
ゴーグルとマスクで素顔を隠しシラを切り通そうとするも、悪あがきが裏目に出てドツボにハマってく主人公が、どうしようもなさすぎて笑えました。
三角関係の行方を描いたドタバタラブコメとしても秀逸で、一話ごとに張り巡らされた伏線が綺麗に収束するラストには良い意味で裏切られます。キャラクターも皆いい味をだしており、美人なのに男運が悪かったりイケメンなのに不器用だったり、欠点まで含めて愛しくなりました。
人が死んだり殺されたりするミステリーが苦手な読者にも自信をもってすすめたい、楽しい小説です。
15位『赤い指』
ドラマ化
極限状況における親子の愛情と夫婦愛がテーマの「加賀恭一郎」シリーズ7作目!
見事なまでの構成と文章力で彩られる東野ワールドに、踊らされること間違いなし!
読んでいる間、「何が正しいんだ!」と、あなたは何回言うだろうか。東野作品は初めてという方に、入門書としてオススメしたい1冊です。
一般的な刑事ものの小説ではないと断言します。
人間は、陽と陰の部分を持っています。本作では、1日中陽の当たらない路地裏のような、人間の陰の部分がリアルに描かれています。
「人間はここまで残酷になれるのか…」と悲しくなります。しかし、最後の恭一郎と父の描写に少しだけ心が救われます。
ごくありふれた家族にふりかかる悲劇は、他人事では終わらせない強いメッセージが込められています。
「この家の真実は彼ら自身の手によって明かさなければならない」という加賀恭一郎の事件に立ち向かう姿勢が、結末の涙を誘います。
登場人物と設定がシンプルなので、重いテーマでありながらスラスラ読めますよ。
あらすじ(引用)
少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家族。一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身の手によって明かされなければならない」。刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の意味は?
16位『仮面山荘殺人事件』
ものすごくいい意味で期待を裏切ってくれる最高の作品!
終盤は「あぁなるほどね」なんて甘く見てたらとんでもないことになります!予想外というより、「全くそんなこと考えてなかったんだけど!」と衝撃が襲ってくる感じ!
どんな急展開にもついていける自信があったはずなのに、こればかりは読後固まってしまいました…。
ラストで明かされる真相には驚愕必至。読み終わってから改めてタイトルを見ると、その秀逸さがわかります。
あらすじ(引用)
八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。七人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった…。
17位『プラチナデータ』
二宮和也主演映画の原作/累計発行部数160万部突破
近未来的な監視社会の歪みを描いた作品。
国民の遺伝子情報をもとに犯人を導き出すDNA捜査システムを操る龍平。そのシステム開発者でもある友人が殺され、現場に残された毛髪をシステムが分析した結果、自分が犯人と見なされます。龍平は冤罪を晴らす為、逃亡を企てるのですが…。
決死の覚悟で警察の包囲網をかいくぐり、奔走する龍平の姿に手に汗握ります。
事件の鍵を握る謎の言葉「プラチナデータ」とは何なのか。ダイナミックに二転三転する展開や、絶体絶命のピンチの連続にハラハラドキドキが止まりません。
逃亡中の龍平が様々な試練に遭い、信念を試されるストーリーも読みごたえたっぷり。人ならざるシステムが司る正義の是非や、その本質を考えさせられました。
18位『夜明けの街で』
岸谷五朗主演映画の原作
ただの不倫小説ではなく、ある意味とても深く、意味のある不倫…。いや、不倫だけの一言ではすまされない味わい深い1冊です。
あらすじ(引用)
不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなるー。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に墜ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉はその容疑者とされているのだ。彼女は真犯人なのか?渡部の心は揺れ動く。まもなく事件は時効を迎えようとしていた…。
19位『分身』
長澤まさみ主演ドラマの原作
北海道在住の女子大生・鞠子は子どもの頃から母に嫌われていると感じていました。
その思いは母が数年前に一家心中を起こし、亡くなった事で決定打となります。ある日鞠子は自分と生き写しの女子大生・双葉が、東京に住んでいる事実を知り…。
鞠子と双葉、同じ顔を持った女性たちの魂の絆がテーマのミステリー。
双子と思わせて実は…な出生の真相は予想を裏切るもので、料理の難しいSF要素をストーリーの核心部分に上手く落とし込んでいるのが素晴らしいです。鞠子と双葉のパートが交互に挟まれる構成も読者の興味を引き付け、どんでん返しに次ぐどんでん返しにハラハラ。
お互い突然母を亡くして立ち直れずにいた、鞠子と双葉の孤独が共鳴するシーンは感動です。
20位『放課後』
ドラマ化/第31回江戸川乱歩賞受賞
名門女子高の教師・前島は正体不明の犯人に3度襲撃を受けるも、学校のイメージダウンを恐れる校長に口止めされ、自分自身で犯人を捕まえる決断を下します。その矢先に生活指導の教師が校内で殺され…。
女子校を舞台にした東野圭吾のデビュー作。捜査線上に浮上する美少女たちがそれぞれ魅力的で、誰が犯人なのだろうとドキドキします。
前島を中心に錯綜する、複雑な人間関係にも注目。思春期の少女特有の潔癖な心理や、切ない片想いの心情がよく描かれていて唸りました。
さらに特筆すべきは誰もが驚愕するに違いない犯人の動機。果たしてこれを予想できた読者がいるでしょうか?ぜひとも度肝を抜かれてください。
21位『片想い』
中谷美紀主演ドラマの原作
大学アメフト部の同窓会に参加した哲朗は、性転換した当時のマネージャー・美月と再会。現在男になった美月はずっと性同一性障害で苦しんできた事実を告白したのち、「人を殺したんだ」と言い出して…。
LGBT問題が事件の核に根ざしたミステリー。トランスジェンダーである美月の造形が素晴らしく、好きな人に好きと言えず、素の自分を抑圧せざるをえなかった葛藤がひしひし伝わってきました。
事件をきっかけに再び団結するアメフト部の友情や、哲朗とその妻・理沙の絆の再生にもグッときます。
ヒューマンドラマが占める割合が多く、青春時代の回想シーンと現在のパートが交錯することでほろ苦い哀愁が漂っていました。読後、切なすぎるタイトルの意味を噛み締めたくなります。
22位『ラプラスの魔女』
広瀬すず主演映画の原作
理系作家・東野圭吾が専門知識を駆使して臨んだSFミステリー。
遠く離れた別々の温泉地で硫化水素による死亡事故が発生します。検証に赴いた地球化学研究者・青江の前に現れたのは、ミステリアスな美少女・円華でした。
「魔女」の異名に恥じないヒロイン・円華の圧倒的な存在感が見所!彼女の恐るべき能力や秘められた目的が判明する頃にはページをめくる手が止まらなくなります。
奇想天外な発想を詰め込み、ダイナミックなスケールで展開される物語は読みごたえ抜群!エンターテインメントとしても完成度が高く、大自然の脅威に挑む青江の覚悟や円華の復讐の行方にハラハラしました。
科学的なロジックをトリックに落とし込んだミステリーに挑戦したい方は、ぜひ読んでみてください!
23位『パラレルワールド・ラブストーリー』
玉森裕太主演映画の原作
心揺さぶられる小説が好きな方はぜひ!
恋愛における嫉妬や、理性で制御できない想い、消したい過去などの苦悩がリアルに描かれているSFミステリーです。
悲しいお話ではあるし、ハラハラさせられるけども、等身大な主人公の姿には誰もが惹きつけられるはず!
2つの空間が並行するだけに、何が本当で何が空想なのか分からない。それもまた面白い。
あらすじ(引用)
親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。「本当の過去」を取り戻すため、「記憶」と「真実」のはざまを辿る敦賀崇史。錯綜する世界の向こうに潜む闇、一つの疑問が、さらなる謎を生む。精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!?
24位『むかし僕が死んだ家』
「私」は、子供の頃の記憶がない元恋人・沙也加に頼まれ、過去を調べるために彼女が幼少期に住んでいた山奥の洋館に赴きます。洋館の探索中、2人は古い日記を発見し…。
一冊の日記帳をきっかけに断片的に過去が甦り、記述を繋ぎ合わせることで全体像が明らかになっていくのがスリリング!
至る所に張り巡らされた伏線が収束し、タイトル「むかし僕が死んだ家」の意味が判明するクライマックスには大興奮でした!
物語の進行に比例してトラウマを蒸し返され、情緒不安定さを増していく沙也加の言動も緊迫感を盛り上げます。
ほぼ2人きりという少ない登場人物や、閉ざされた空間で展開するミステリーが好きな方。後悔はさせません。
25位『白銀ジャック』
ドラマ化
スキー場を舞台に、ゲレンデパトロールとスノーボーダーが活躍するサスペンスシリーズ第1弾。
私はスキーもスノボも全く経験ないけど、長男が修学旅行でスキーに行くのをきっかけに、シリーズ読破しました。
ゲレンデでの疾走感が、事件のスリリングさを増してとても楽しめます!
作品が進むごとに、親密さを増していく主役たちにも注目してほしいです。
あらすじ(引用)
「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。警察に通報できない状況を嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。今、犯人との命を賭けたレースが始まる。
26位『パラドックス13』
生き残るためには常識を捨てねばならず、ときには仲間の安楽死すらいとわない。
極限の人間心理を描いた、怖いほどの臨場感があるSF小説。
文字を読んでいる感覚が徐々になくなっていき、気づけば手にしている本が消え、目の前に動画として再生され始める。これはもう読む映画だ。
あらすじ(引用)
13時13分13秒、街から人が消えた。無人の東京に残されたのは境遇も年齢も異なる13人の男女。なぜ彼らが選ばれたのか。大雨と地震に襲われる瓦礫の山と化した街。そして生き抜こうとする人達の共通項が見えてくる。世界が変れば善悪も変る。殺人すらも善となる。
27位『新参者』
ドラマ化
最後の最後まで犯人像が見えないにもかかわらず、殺人が起きたと思えないほど、日本橋が出す下町の雰囲気があり、そのアンバランスさに惹かれました。
クライマックスで、今まで全然別だと思ってた1つ1つの物語が全て繋がった時のスッキリ感、騙された感、納得感が味わえる1冊。
繋がってることに気づいた瞬間、これはすごい小説だと感動しました笑。
「加賀恭一郎」シリーズの中で1番好きな作品です。
あらすじ(引用)
日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。手掛かりをくれるのは江戸情緒残る街に暮らす普通の人びと。「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へと繋がっていく。
28位『歪笑小説』
個性派が集う出版業界を面白おかしく描いた、ブラックジョーク小説集です。どんな作家からも原稿を手に入れる伝説の編集者や、ドラマ化の話に舞い上がる作家、自身の作風に悩む若手作家など、出版業界に飛び込んでは荒波に翻弄される人々を描いています。
成功すると億万長者になれるという夢があり、ほとんどの人が夢破れるという現実もある、光と影の両面を持ち合わせた出版業界。適度にユーモアを交えていますが、出版業界で悪戦苦闘する人たちの苦悩は切実です。それでも、登場人物はみな本が好きなのが伝わってきます。本作は、まさに本好きのための一冊といえるでしょう。
最後の広告欄も、実は本編の一部。登場したキャラクターの意外なその後が分かって想像が膨らみますよ。
29位『魔球』
甲子園のマウンドで、開陽高校注目のエース・須田武志が最後に投げたのは、揺れて落ちる不思議な球。大会前に地元で起こった企業の爆弾騒ぎ、そして大会後、開陽高校の捕手・北岡明が殺された殺人事件。2つの事件を結びつける手がかりは、甲子園の「魔球」にありました。一見関係のない事件が結びついていく論理展開が巧みです。
本作の一番の読みどころは、何と言っても須田武志のキャラクター。「天才」と呼ばれた彼は野球に対して強い信念があり、一匹狼的な性格で近寄りがたいとすら感じてしまいます。ところが、彼が背負ってきたものの重さを知るにつれ、読者は彼に対するイメージが変わってくることでしょう。彼が魔球を投げた、その覚悟には心をえぐられます。
30位『探偵倶楽部』
本作に登場する探偵は、VIP御用達の調査機関・探偵倶楽部に属する2人組の男女。ミステリアスで正体不明の2人が、隠された謎を解き明かす連作短編集です。
1作目の「偽装の夜」では、社長の死を隠蔽しようとする親族の企みを探偵が見破っていきます。ところが、隠蔽する前に社長の死体が消え去っていたことが判明し、謎は深まるばかり。周囲の人間たちが、人の死に触れても自らの利益を追うさまは悲しくも滑稽です。
探偵が人間らしさをあまり感じさせないところが、逆に探偵たちの謎めいたキャラクターを引き立てています。鮮やかな推理による活躍シーンよりも、死者とその周辺の人間模様が中心になっているのも新鮮で、探偵が中心の他シリーズとは違う魅力をもった作品です。
31位『希望の糸』
人気作、刑事「加賀」シリーズのスピンオフ!
喫茶店を営む女性が殺され、常連の男性に容疑がかかります。しかし、捜査を進める中で災害で子供を2人失くした彼の過去が判明し……。
被害者と加害者、その周辺人物たちも一筋縄ではいかない家庭の悩みを抱えており、特に不妊治療を巡る問題提起には考えさせられました。
加賀のいとこにあたる松宮の出生の秘密や刑事としての成長ぶりにも注目です!
捜査を進めるうちに見えてくる血の繋がりをこえた「親子」の絆や、人と人との巡り会いから生まれるドラマにはほろりとさせられます。
切なすぎる事件のあとに残された「希望の糸」とは何なのか、ぜひご自身の目で確かめてください。家族関係や親子の関わり方に悩んでいる方は指針をもらえます。
32位『沈黙のパレード』
映画化
探偵ガリレオこと湯川学が活躍する人気シリーズの第9弾!
町のパレード当日にある男が殺されます。彼は23年前に少女殺害事件の犯人として逮捕されるも無罪を勝ち取り、現在は別の女性の殺人に関与している疑いを持たれていました。天才物理学者・湯川は警察に協力を乞われ、男を手にかけた犯人を推理します。
読者の意表を突く大がかりなトリックもさることながら、湯川のクレバーな洞察力やエキセントリックな立ち振る舞い、時折見せる優しさが大変印象的でした。
卑劣な犯罪によってかけがえのない存在を奪われ、私刑を下す復讐者とならざるえなかった普通の人々の苦悩に胸が痛みます。それに理解を示しながらも追及の手を緩めない湯川のストイックな信念を、ぜひ目に焼き付けてください。
33位『ある閉ざされた雪の山荘で』
最後の最後まで、ドキドキ&ハラハラが止まらない!!
あらすじ(引用)
早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、 1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?
34位『白鳥とコウモリ』
著者の代表作『手紙』を彷彿とさせる、簡単に答えが出せない「罪と罰」について言及されている作品。
優秀だと評判の一人の弁護士の遺体が発見された。警察が捜査を進めると、倉木達郎という人物が容疑者と浮上し、すぐに彼は自分が犯人だと自供。倉木の自供の内容に矛盾点が見つからないことから、検察も彼が犯人だと認識し、起訴する方向で話を進めていた。しかし、倉木の自供内容に不審な点があると主張する二人が現れたことで、事態はやがて予想外の展開を迎えることとなる。
作中では、倉木容疑者の息子である倉木和真と、被害者の白石健介の娘である白石美令が事件の真相を突き止めるため奔走する。
弁護側も検察側も、2人の話に耳を傾けようとせず、倉木容疑者を犯人としたまま裁判を進めていこうするが、やがて思いもよらぬ結末へとたどり着く。
被害者側や加害者側など、様々な人物からの視点で物語は進んでいき、登場人物の心理描写も鮮明に書かれているので、事件の真相に近づいていくたび、胸が締め付けられるような感覚に。
倉木容疑者が犯行を認めたままだと救われる人がいる。その真相に近づくにつれ、登場人物たちへの見方も変わっていく様は、小説ならではの醍醐味であり、最後までページをめくる手が止まらない。
35位『透明な螺旋』
ファン待望の「ガリレオ」シリーズ第10弾!
千葉県房総沖で男性の遺体が発見され、失踪中の恋人の行方をたどると、なんと関係者として天才物理学者・湯川学が浮上!すぐに警察が湯川のもとを訪ねますが…。
人と人との関係は数字で表すことができない。本作は、殺人事件が起こるれっきとしたミステリーであると同時に、物理的に証明できない「人間同士の結びつき」を描いた物語です。
実際に起きてしまいそうなほどのリアリティに加え、悲劇的な事件と切ない真相が印象的でした。
慈愛に満ちたラストシーンでは、謎が解けるミステリーの快感を味わえるとともに、心がじんわりと温かくなるでしょう。
ガリレオの家族構成や、生い立ちを知りたい方はぜひ読んでみてください。
36位『使命と魂のリミット』
石原さとみ主演ドラマの原作
運命という「腐れ縁」の強さを痛感させられる1冊。
心臓バイパス手術、自動車のリコール問題など、犯人の動機が実際にありえそうで、胸が苦しくなりました。
主人公・夕紀の父親、氷室健介が放った言葉、「人は生まれながらに使命を持っている」という言葉が重くのしかかります。
あらすじ(引用)
「医療ミスを公表しなければ病院を破壊する」突然の脅迫状に揺れる帝都大学病院。「隠された医療ミスなどない」と断言する心臓血管外科の権威・西園教授。しかし、研修医・氷室夕紀は、その言葉を鵜呑みにできなかった。西園が執刀した手術で帰らぬ人となった彼女の父は、意図的に死に至らしめられたのではという疑念を抱いていたからだ…。
おわりに
東野圭吾のおすすめ小説ランキングを紹介しました。
大好きな1冊、懐かしい1冊、再読してみたくなった1冊、気になってはいたが読めていない1冊など、ランクインしていましたか?
「ガリレオ」シリーズが有名な東野圭吾ですが、知られざる初期作品も安定の面白さです。SFやファンタジー要素を取り入れた作品や少年犯罪をテーマにした社会派ミステリーも書いており、手がけるジャンルの幅広さには脱帽するしかありません。
今回の記事で希代のエンターティナー、東野圭吾の作品に少しでも興味が湧いたなら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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