原作小説・映画共に大ヒットを記録した『君の膵臓をたべたい』でお馴染みの小説家・住野よる。歌詞を聴くような感覚で読める心地よい文体や青春期の若者たちの心の葛藤、価値観の変化の描写が繊細な点などが特徴です。
今回は読書好きの方15名に、Twitter上で住野よるおすすめの1冊を選んでいただきました。その結果をランキング形式でご紹介します。
1位:君の膵臓をたべたい
まさみ
高校生の「僕」は病院で一冊の本を拾います。「共病文庫」と題されたそれは同級生・山内桜良の落とし物で、彼女は膵臓の難病を患っていました。
クラスに馴染めない少年と人気者の美少女が恋に落ちる物語。微妙な距離感の表現がとても巧みで、繊細な心理描写にうっとり。他人と関わるのに臆病だった主人公の変化も見所で、桜良に必要とされることで自分の価値を知り、一歩前に踏み出す展開に涙しました。余命幾ばくもないヒロインと主人公が旅先で共有する情景は美しく、想像だけで泣けてきます。
2人が絆を強めた終盤に起きる事件には衝撃をうけること確実。桜良を襲った残酷すぎる運命には、青春の儚さを感じました。泣ける恋愛小説をさがしてる方はぜひ読んでみてください。
Earl Grey
「うわははっ。」という桜良の笑い方が大好きだ。豪快で底抜けで悩みなど何も無いかのような。お涙頂戴系は勘弁なんだけど、この本はまるで違う。桜良がよく笑うから。けれど終盤に差し掛かると不本意ながらも嗚咽…。だが後味はとても良い不思議な1冊。
あも
最後は感情移入しすぎて涙が止まりませんでした…。今でも泣きたいときに読み返します。
ともも
桜良自らが病気であるのに、全力で人生を楽しんでいるところが本当にすごいと思いました。私だったら、諦めたり、気持ちが沈んでいくと思います。1日1日を大切に過ごさないとなあと思わせてくれるような1冊でした。
受賞 | 2016年本屋大賞2位 |
ページ数 | 328ページ |
メデイア化 | アニメ化、実写映画化 |

2位:麦本三歩の好きなもの
図書館勤務の20代女子・麦本三歩には好きなものがたくさんあります。彼女の日常は平凡そのもので、ドラマチックな事は何も起きませんが、だからこそ特別なのです。今日も三歩は好きな本や漫画を読み、お散歩に繰り出します。
どこにでもいそうな女の子の日常を描いたほっこりストーリー。三者三様の職場の先輩との掛け合いには吹き出してしまいました。ラーメンを食べた後に、たい焼き屋に立ち寄る食いしん坊なところや、自由気ままなライフスタイルも素敵で、一章読み終える都度ハマっていきました。
たまに落ち込むことがあっても美味しいもので回復し、メンタルを整え仕事に行く。三歩の等身大の悩みや喜びに共感し、柔軟な感性に癒され、読後は元気をもらえます。
「好き」を沢山持っている三歩がとにかくかわいい!
ページ数 | 296ページ |



3位:青くて痛くて脆い
大学1年生の主人公は周囲から浮いているものの誰より真っ直ぐな少女、秋好寿乃に惹かれていきます。やがて2人は世界平和を志す秘密結社「モアイ」を起ち上げ……。
タイトル通り、青くて痛くて脆い若者たちの心情がセンシティブに描かれ、自分が実際そこにいて、モアイの活動に参加しているような一体感を覚えました。好きな人が周囲の干渉を受け、あるいは他人に感化され変わってしまった時、その現実を受け入れられるのか?理想と妥協の二者択一で前者をとった主人公の決断は賛否が分かれるもので、ヒロインの方に共感した読者も少なくないはず。
青春時代を振り返りたい方はぜひ読んでください。読後の喪失感は格別です。
青春期の他者への期待と失望とままならなさが、ミステリー仕掛けで壮大なネタバレのあるラストシーンへと繋がる面白さがたまりません。まさに、青くて痛くて脆い。タイトルに偽りなしの名作!実写映画もおすすめです。
ページ数 | 352ページ |
メデイア化 | 実写映画化 |



4位:また、同じ夢を見ていた
賢くて正しい小学生・奈ノ花。彼女は同級生より高校生の南さん、キレイなアバズレさんや木の家のおばあちゃん、そして黒猫の彼女と過ごす日々がお気に入りです。自分は孤独だと気づいていない奈ノ花は、彼女たちとの時間の中で幸せとは何かを考えます。
人生は決断の連続で、幸せは自分で選択すべきものというテーマが流れる小説です。3人プラス1匹は奈ノ花を導く使者として描かれ、彼女たちが何者なのかという謎解きより、その涙の訳に心を掴まれました。リリカルなタイトルが印象的な住野よる作品の中、ピカイチな余韻を放つこのタイトルが「あなたは今、幸せですか」と問いかけてきます。進学やキャリアなどの選択に迷う夜に読んでください。
主人公の「人生とは◯◯のようなもの」という口癖が好きで、◯◯にどんな言葉が入るのかワクワクしながら読みました。
他者との交わりの中で生きる幸せとは。大切な時に動けるか、一生後悔するか。そんなことを考えさせられる、ほんのり苦くて温かい作品です。
この本がきっかけで住野よる先生のファンになりました!不思議なお話でしたが、読むにつれてそれが解明されていきとても引き込まれたし、読んでいて本当に楽しかったです!ほんっとにとってもオススメです!
ページ数 | 304ページ |



5位:よるのばけもの
夜になると、僕は化け物になる。寝ていても座っていても立っていても、それは深夜に突然やってくる。ある日、化け物になった僕は、忘れ物をとりに夜の学校へと忍びこんだ。誰もいない、と思っていた夜の教室。だけどそこには、なぜかクラスメイトの矢野さつきがいて―。大ベストセラー青春小説『君の膵臓をたべたい』の著者が描く、本当の自分をめぐる物語。
(Amazon商品説明より)
いじめを見て見ぬ振りをする昼間の「俺」と、ばけものになっていじめられた子と出会う夜の「僕」。本当の自分とは?何故ばけものが生まれてしまったのか?
色々と思うことがあり、読み終えるまですごく時間がかかりました。住野先生の作品は描写が丁寧で好き。
ページ数 | 288ページ |



おわりに
住野よるさんのおすすめ小説ランキングを紹介しました。
自分の大好きな1冊、懐かしい1冊、再読してみたくなった1冊、気になってはいたが読めていない1冊などはランクインしていましたか?
この記事が新たな作品との出会いのきっかけになればと願っております。他にもたくさんの作家さんのまとめ記事があるので、ぜひ覗いてみてください!
この記事を読んだあなたにおすすめ!
・住野よるさんの小説、私も好きです。
特に か「」く「」し「」ご「」と「」が好きです。