ミステリー・ホラー・ファンタジーと重厚で読み応えのある作品を描く小野不由美。
ホラー作家の綾辻行人と結婚していることでも有名で、夫婦ともに作家というだけではない。作品がメディアミックスされたり、発売を待ち望まれたりと、コアなファンも多いのだ。
とくに『十二国記』シリーズはファンが若年世代から年配層まで幅が広く、発売が渇望されるほどの人気を誇っている。
今回は、そんな小野不由美の作品からぜひ読んでほしいおすすめ10選を紹介したい。
目次
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・ゴーストハント1〜7
『くらのかみ』
葉月智世
「―行者に祟られ座敷童子に守られているという古い豪壮な屋敷」を舞台に、大人たちは後継者選び、子どもたちは「四人ゲーム」を通じて様々な事件が発生し、解決するために少年探偵団が結成される物語。
座敷童子といえば、守り神のイメージが強いかもしれないが、見たいような見たくないような、ちょっと得体の知れないもの。
子どもたちの「四人ゲーム」では、いつの間にか1人増えている。大人たちの後継者選びでは、後継者の資格を持っている人物の食事に毒が入っているというロシアンルーレット的な怖さがある。
そんな怪異を果たして少年探偵団たちは解くことができるのか。その過程が面白く、読みやすい作品になっている。
ページ数 | 340ページ |
『鬼談百景』
葉月智世
学校や街の遺跡、廃墟、そんな場所にまつわる怪談はつきものではないだろうか。
学校であれば「誰もいないはずの教室に…」「音楽室の作曲家たちのポスターの目が…」なんて話を誰もが聞いたことがあるはず。そんな身近でちょっと怖い話を、百物語としてまとめたのが本作。
どこかで聞いたことがあるようで懐かしい気持ちになるものもあれば、思わずゾクっとするようなものもあり、寝物語に少しずつ読み進めるのにもいいかもしれない。
ホラーの描き手らしい表現と、読みやすさを兼ね備えているので、小野不由美の最初の一冊としてもおすすめ。
ページ数 | 336ページ |
『残穢(ざんえ)』
賃貸でも、取得でもいいが新しい家に引っ越すときは誰もがワクワクするだろう。
「部屋をこんな風にしたい」「新しい街はどんなところだろう」なんて期待を抱えて引っ越した部屋で怪異現象が起こったらどうだろう。途端に安らげるどころか恐怖の巣窟になってしまう。
この物語は引っ越したばかりの部屋で起こる怪異を機に、調査を進めていくのだが最後に分かった真実というのがまた恐ろしい。
「怨みを伴う死は『穢(けが)れ』となり、感染は拡大する」と銘打たれたこの言葉に、あなたはいったい何を感じるだろうか。山本周五郎賞も受賞したこの作品、長編でじっくり怖さを味わいたい人におすすめだ。
ページ数 | 359ページ |
『東亰異聞』
東京といえば眠らない大都会、というイメージが強いだろう。昼はサラリーマン、夜は若者やちょっと怪しい人たちが蠢く光と闇に溢れた街。そんな街に巣食うのは百鬼夜行的な存在だ。
例えば「人を突き落とし、全身火だるまで姿を消す火炎魔人」「人の魂を売る人」など、とても東京では見ることのなさそうなモノたちばかり。そんな怪異事件を新聞記者が追いかけていくうちに行きついたのは、鷹司公爵家のお家騒動だった。
鷹司家は平安時代の摂関藤原家の血を引く貴族の末裔。どうして怪異事件がそんな名門のお家騒動にたどり着いたのか。真相はあなたの目で確かめてみてほしい。
ページ数 | 443ページ |
『黒祠の島』
日本に限らず、世界では今でも信じられないような風習・習慣を持つ地域や民族・宗教が存在していることはたびたびニュースなどで報道されて知っているだろう。
舞台は九州北西部にある夜叉島。その島は葛木志保の故郷で、彼女が消えた理由を調べるために式部剛が島に行き、調べていくというストーリーだ。
調べていくうちに、奇妙な情報や風習が明らかになっていく過程はとても不気味で怖い。
真実にたどり着くまでの過程がたまらなく不気味で、背筋が凍りそうになる怖さは小野不由美の真骨頂ではないだろうか。
ページ数 | 479ページ |
『営繕かるかや怪異譚』
叔母から引き継いだ町家に暮らしている主人公が、さまざまな怪異に遭遇するのだが、他の作品に比べてかなり日常的で優しい描写になっている。
古い家というのは、それだけで怪談や不思議なエピソードに事欠かない。ちょっとした不思議な出来事などが起こると真実のように言い伝えられていたり、実際に怖いというまではいかないが何かが起こったりするもの。
少しドキリとする怖さと、どこか優しさが同居した読みやすいストーリーなのでホラー初心者におすすめだ。
ページ数 | 288ページ |
シリーズ | 2021年4月現在で『営繕かるかや怪異譚 その弐』の2冊まで |
『屍鬼(一)』
かなり怖い、極上の和製ホラー作品。
舞台は人口1000人ちょっとの小さな村、外場村。外部から遮断されたような閉鎖的な村で、古い因習が残っているような隔絶された田舎。そんな場所で村人3人の死体が見つかり、事件性がないと片付けられたがどうも怪しいのだ。
調べていくうちに屍鬼(しき)の存在が明らかになる。それは死んだ後に蘇生し、超常的な力を得た人間で、外見は生きている人と変わらないが、生きた人間の血を啜らないと存在できない。
まるでヨーロッパに伝わる吸血鬼のようだ。壮絶な描写と、本当に起こるのではないかと思わせるような描写で恐怖に陥れてくれるので、ホラーが大好物な人におすすめだ。
ページ数 | 583ページ |
シリーズ | 『屍鬼(五)』まで全5巻 |
『ゴーストハント1 旧校舎怪談』
ラジオドラマ・漫画・アニメ化とメディアミックスされており、とても人気があるシリーズ。
シリーズ第1作となる本作は、高校1年生・谷山麻衣が主人公。彼女が通っている高校には旧校舎がある。そこには、「取り壊そうとすると祟られる」「夜になると窓に幽霊の姿が…」といったいかにもありそうな噂を聞くのだが、その噂は本当なのか?
誰もが学生時代に聞いたかもしれないような噂と、それを調べていく過程がおもしろい。
ぜひシリーズを通して読んでもらいたい作品だ。
ページ数 | 384ページ |
シリーズ | 『ゴーストハント7 扉を開けて』まで全7巻 |
『魔性の子 十二国記 0』
十二国記シリーズは、当初講談社X文庫ホワイトハートから刊行されていたが、現在は新潮文庫で刊行されている。ファンがとても多く、2019年に新作の長編が出た時には大いに盛り上がった。
主人公は高里要。現在は高校生だが、実は幼少時に神隠しに遭っていたこと、10歳で戻って来たが、それ以降彼の周囲で「祟り」が絶えないことで周りと馴染めずにいる。
その神隠しに遭って行きついていた先が十二国の世界なのだが、この「祟り」が起こる理由ともリンクしている。その理由はぜひ、シリーズを読んで確認してほしい。
なお、この作品は十二国記シリーズのエピソード0として位置づけられているが、入りとして読むことはおすすめではない。
ページ数 | 491ページ |
シリーズ | 2021年4月現在で『白銀の墟 玄の月』まで15巻(新潮文庫) |
『図南の翼 (となんのつばさ) 十二国記 6』
十二国記シリーズは、12の国が存在し、それぞれが侵し合うことは許されない世界だ。王は善政を敷いていれば不老不死、その王は麒麟が選ぶという不思議な世界になっている。
この物語の舞台は、そんな12の国のひとつである恭国。先王が斃れて27年経つが、新しい王が選ばれないままで治安は乱れるばかり。妖魔と呼ばれる化け物が日常的に出る始末だ。
王が即位したら妖魔もおさまり、気候も整うのだが王が現れないのだ。そんな中、12歳の少女である豪商の娘・珠晶が王に名乗りを上げるべく、麒麟に会いに行く話となっている。
この珠晶がとんでもなくワガママで周りの大人が振り回される。理不尽なことも多く起こる中、彼女が成長していく姿と王に選ばれるのかどうかという結末に注目だ。
ページ数 | 419ページ |
シリーズ | 2021年4月現在で『白銀の墟 玄の月』まで15巻(新潮文庫) |
おわりに
以上、小野不由美のおすすめ作品を紹介してきた。
主にホラー小説と、ゴーストハントシリーズ・十二国記シリーズだが、どの作品にもコアなファンがおり、とても読み応えのある作品ばかりだ。
なかなか新作は出ないが、その分新作が出た時は待ち遠しかった分、喜びもひとしおというファンも多い。
全ての作品を読んでもらいたいくらいだが、まずは気になった一冊を手に取ってみてほしい。
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